【徹底解説】エステサロン開業に開業届は必要なのか?

業種別

コロナ禍の現在、個人で事業を始める人が増加しています。特に個人でネイルサロンやエステサロンの開業を検討される方も増えています。しかし、「開業してみたいけど手続きが難しそう」「何をする必要があるの?」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。今回はそんな方向けに、開業の際に必要な書類や届出について詳しく解説します。

そもそも開業届とは?

開業届とは、個人で事業を立ち上げた方が、事業を始めたことを税務署に報告するために提出するものになります。

税法において、開業届を提出することは義務とされており、開業した全員が提出しなければならないものです。その届出は事業の開始の事実があった日から1か月以内に提出することと定められています。

ただし、開業届を出さなかった場合への具体的な罰則は定められていないため、開業届を出さなかったとしたも、罰金や事業停止などのペナルティを受けることはありません。

「なら手続きも面倒だし、出さなくてもいいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しか、実は開業届の提出によって得られるさまざまなメリットも。

今回の記事では個人でエステやネイルサロンなどを開業される方に向けて、開業届けを提出するメリットについて解説します。

開業届を提出するメリット

開業届を提出するメリットは以下になります。

  • 青色申告ができるようになる
  • サロンの銀行口座が開設できる

それぞれを詳しく説明します。

青色申告ができるようになる

青色申告とは?

青色申告とは、事業に関連する一定の帳簿書類を備え付けて、正規の簿記もしくは簡易簿記に基づいて確定申告を行うことです。白色申告より複雑な帳簿の作成が必要になりますが、その分、節税効果が得られるというメリットがあります。

サロンなどを個人で運営されている方がこの青色申告を行うためには、開業届を提出が必要です。加えて、開業届とは別に青色申告承認申請書というものを提出する必要があります。

青色申告承認申請書の提出期限は、基本的に開業届を出してから2か月以内になります。

青色申告をしたい方は、開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出しておくのがオススメです!

青色申告をするメリット

控除が受けられる

青色申告をしている方は、10万円から最大65万円の青色申告特別控除が受けることができます。白色申告と比較して、非常におおきな控除額となっているのが特徴です。

従業員の給与が必要経費にできる

青色申告では、家族などの身内を事業専従者として雇用した場合、その給料を必要経費として計上することができます。

青色申告者の場合、専従者控除の上限額がなくいくらでも必要経費として計算できるため、大きな節税効果になります。

一方で、白色申告者の方は上限額が決まっておりますので注意してください。

赤字が繰り越せる

個人で運営するサロンの場合、ライフスタイルの変化や、最近では新型コロナウイルスなどの影響もあるため、毎年の利益が安定しないという場合も考えられます。一時的に赤字になる、というケースもあるでしょう。

そんな時でも、青色申告でれば、ある年の決算において赤字となっても、その赤字を翌年以降3年間、繰り越すことができます。これは節税面で大きなメリットがあります。

具体的には、所得税の調整に有効です。例えば、昨年度の事業収支が赤字、今年度が黒字だったとします。このときに今年度の所得税額は、昨年度の赤字分を差し引いた所得をベースにできるため、節税につながるというわけです。

サロンの銀行口座が開設できる

一般的には1人あたりに複数の口座を開設することができませんが、開業届を提出することでその屋号(エステの名前)で事業を行っていることが公的に証明できるようになり、銀行などで屋号名義の口座を開設することができます。

個人的な口座以外で、事業専用の口座が作れるのは、確定申告や経費精算などの面においても便利なため、ぜひ開設することをオススメします。

開業届提出の流れ

1. 提出書類を集める

開業届に必要な書類は住んでいる地域の税務署、または国税局のHPからダウンロードすることができます。提出用と控え用がありますので、両方用意しましょう。

こちらからダウンロードすることも可能です。

また、記入する際にマイナンバーが必要になるので、マイナンバーカードもしくは通知書などを用意しておくと良いでしょう。

2. 開業届を記入

開業届の記入方法は、以下の流れに沿って進めましょう。

  1. 「個人事業の開業・廃業等届出書」の「開業」のところに〇をつける
  2. 開業届を提出する所轄の税務署の名称と、書類の提出日を記入
  3. 納税地(自宅の場合は自宅住所でOK)
  4. 氏名、生年月日、マイナンバー、職業、屋号を記入
  5. 「届出の区分」にて「開業」を選択
  6. 「所得の種類」にて「事業所得」を選択
  7. 開業日を記入
  8. 「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」の「青色申告承認申請書」又は「青色申告の取りやめ届出書」にて、青色申告をするまたはした方は「有」を選択
  9. 「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」の消費税に関する「課税事業者選択届出書」又は「事業廃止届出書」にて、基本的に「無」を選択
  10. 事業の内容を記入
  11. 「給与等の支払の状況」欄には、届出日現在における給与の支給人員と給与等の支払の状況及びそれらの状況からみて源泉徴収をすべき税額があるかどうかを記載します。

3. 記入した開業届を提出する方法

開業届を提出したら税務署に提出します。提出先は、納税地を管轄する税務署です。

税務署に提出するのが難しいという方は郵送での提出も可能です。郵送で送るものは以下の5つです。

  1. 記入した開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)
  2. 開業届の控え……開業届と同じ内容を記載した届出書(控用)またはコピーを同封。後日、税務署の受領印が押された控えが返送される
  3. 返信用封筒・返信用切手……開業届の控えの返送用に、自分の住所を書いて切手を貼った返信用封筒を同封
  4. マイナンバー/本人確認書類……マイナンバーカード確認書類および本人確認書類(免許証、パスポート等)
  5. 青色申告承認申請書……青色申告を行う場合は同封

また、郵送以外にもe-Taxを利用したオンラインでの提出も可能です。なお、開業届はサロン名義の銀行口座を開設する際などに必要になりますので、受領されたもののコピーなどをとっておくと安心かもしれません。

その他開業関連の届出

開業する際には、場合によっては開業届以外にも提出しなければならない書類があります。

ご自身の開業する形態などによって、どの書類を出すのかチェックしておきましょう。

営業許可の申請

営業許可申請とは開業する前に事前に保健所へ提出する申請書になります。

該当するのは国家資格を必要とする施術を行なっていて、国などが定める特別な衛生環境を満たさなければならない事業の方です。

基本的にはエステサロンを開業する際に国家資格は必要なく、開業時に特別な衛生基準もありませんので提出する必要はありません。

しかし、エステの施術の内容によっては該当する場合もありますので不安な方は確認や問い合わせを行いましょう。

営業許可が必要なお店例

上記の通り、国家資格が必要な施術が含まれるメニューがあるサロンなどになります。

  • 美容院
  • まつげサロン
  • 眉カットサロン
  • シェービングサロン
  • 治療目的の施術が行われているサロン

まとめ

いかがでしたか?

今回はエステサロンにおいての開業届やその他届出などについて詳しく解説しました。

一見難しそうで複雑そうな手続きですが、書類はあまり多くなく、書いた後出して役所に届けるだけであまり専門的な知識は必要ありません。

開業届を出すことで得られるメリットもたくさんありますので、この記事が開業する際の手続きのお役に立てたら嬉しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました