リモートワークの普及や、長時間のデスクワークによる肩こりなどの体の不調を和らげてくれる場所として人気な整体院。そんな整体院を開業したいと思った時に、開業場所として候補に上がるのが、テナントやマンション、そして自宅です。
そんなとき「整体院は、自宅で開業はできるのだろうか?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか?実は、自宅で整体院を開業すると、開業費用がおさえられたり、自分のペースで営業できたりと、さまざまなメリットがあります。
そこで今回は、自宅で整体院は開業できるのかについてと、開業のメリットやステップなどもあわせて解説していきます。
自宅で整体院を開業することは可能?
結論から申し上げますと、自宅で整体院を開業することは可能です。
整体院の開業において、特別な条件や開業に必要な資格などはありません。そのため、十分な施術スペースや、しっかりとした技術があれば、自宅でも整体院の開業は可能です。また、自宅に同居している方がいる場合、その方々の理解や同意を得ることも大切になります。
自宅で整体院を開業するにあたっては、テナントなどと同様に開業のステップや注意点などをしっかりと理解することが重要です。しっかりと準備期間を設け、理想の整体院の開業を目指しましょう。
自宅で整体院を開業するメリット
自宅で整体院を開業するメリットには次のようなものがあります。
開業費用を抑えられる
自宅で整体院を開業する最大のメリットの1つは、開業費用を大幅に抑えられることです。
自宅を利用するため、テナントを借りる必要がなく、敷金や礼金、数ヶ月分の家賃といった初期費用が不要になります。これにより、開業時に必要な経費を数十万円から数百万円程度節約できるのです。
開業直後は、設備費用や広告宣伝費など、様々な出費が発生します。この時期に大幅な費用削減ができることは、自宅で整体院を開業する大きなアドバンテージと言えるでしょう。浮いた資金を設備の充実や宣伝活動に充てることで、より円滑な開業が可能になります。
高い利益率
自宅で整体院を開業するもう1つの大きなメリットは、高い利益率を実現できることです。
自宅を活用することで、施術スペースのための賃貸料や従業員の人件費など、固定費を大幅に抑えることができます。その結果、売上に対する利益の割合が高くなり、効率的に収益を上げることが可能になります。
例えば、テナントを借りて整体院を開業する場合、家賃だけで月数十万円かかることもありますが、自宅開業ならその分が丸々利益となるのです。
限られた売上の中でも、高い利益率を維持できることは、自宅で整体院を開業する大きな魅力の1つと言えるでしょう。
自由な働き方ができる
自宅で整体院を開業する3つ目のメリットは、自由で柔軟な働き方ができることです。
自宅で仕事をするため、通勤時間が不要になり、急な予約にも迅速に対応できるようになります。また、仕事と家庭のバランスを取りやすくなるのも大きな利点です。
家事や育児に時間を割く必要がある場合でも、自宅で働けば隙間時間を有効活用してこなすことができます。これにより、効率的に仕事を進めながら、プライベートな時間も確保しやすくなります。
自宅で整体院を開業するデメリット
一方で自宅で整体院を開業するデメリットもあります。以下で詳しく解説します。
プライバシーの確保が難しい
自宅で整体院を開業する際の大きなデメリットの1つは、プライバシーの確保が難しいことです。
自宅の一部を施術スペースとして使用するため、玄関や廊下など、生活空間の一部をお客様に見られてしまう可能性があります。気になる部分は、パーティションを設置したり、カーテンを活用したりして目隠しする必要があるでしょう。
また、集客の際に整体院の所在地を示すことは、自宅の住所を公開することにつながります。これにより、自分の意図しないところで個人情報が拡散したり、望まない人物に知られたりするリスクが生じます。このような問題を防ぐために、予約確定後に住所をお伝えするなどの工夫が求められます。個人情報の管理を徹底し、プライバシーを守るための対策をすることが大切です。
集客が難しい
自宅で整体院を開業する際のもう1つの大きなデメリットは、集客の難しさです。
自宅での開業では、立地を自由に選ぶことができません。そのため、整体院の場所が分かりづらかったり、最寄り駅からのアクセスが良くなかったりと、集客面での課題が生じる可能性があります。
特に、住宅街の中で目立たない場所に自宅がある場合、新規のお客様に見つけてもらうことが難しくなってしまいます。また、駐車場の確保が困難な地域では、車で来院するお客様の利便性が低下し、集客に影響を与える恐れがあります。
このようなデメリットを克服するためには、SNSやチラシを活用した積極的な集客活動が不可欠です。整体院の魅力を効果的に発信し、潜在的なお客様の興味を引くことが求められます。
自宅で整体院を開業する際のステップ
では、自宅で整体院を開業したいと思った時、どのようなステップになるのでしょうか。具体的な流れは次の通りです。
- ターゲットを決める
- 開業資金を準備する
- 施術に必要なものを揃える
- 集客をする
- 開業届を税務署に出す
以下で詳しくご説明します。
ターゲットを決める
自宅で整体院を開業する際、最初に取り組むべきことはターゲットの設定です。
ターゲットとは、整体院にどのような人に来てほしいのか、どのような人に向けて宣伝や集客を行っていくのかを決める重要な要素です。
例えば、最近の肩こりに悩まされている40代の女性をターゲットにするとしましょう。さらに、職業や収入、家族構成などの詳細な属性を設定することが重要です。
ターゲットを具体的に描写することで、そのニーズが明確になり、競合他店との差別化も図りやすくなります。また、ターゲットを詳細に設定することで、その人物のライフスタイルや抱えている悩み、求めているサービスなどが見えてきます。この情報をもとに、ターゲットに刺さるサービスの提供や、効果的な宣伝方法の選択が可能になるのです。
開業資金を準備する
次に開業資金を準備します。自宅で整体院を開業する場合は、内装工事費、備品購入費、広告宣伝費の3つが最低限必要です。これらを合わせて最低でも、50〜150万円程度は準備しておくと良いでしょう。
特に内装工事費や備品購入費は、こだわればこだわるほど高額になります。資金と相談しながら、可能な範囲で投資しましょう。経営が軌道に乗り、収入が安定してからお金をかけるなど、計画的にお金をかけることが大切です。
また、開始資金を自己資金でまかなうのが難しい場合、融資や補助金・助成金などの利用も視野に入れておくのがおすすめです。特に補助金や助成金は返済義務がないものがほとんどのため、利用できるものがあればぜひ利用しましょう。その場合、国や自治体のサイトをチェックするのがおすすめです。
施術に必要なものを揃える
次に施術に必要なものを揃えましょう。最低限次のようなものが必要です。
- お客様が施術中に着用する着替え
- 施術用のベッド、シーツ、枕
- 施術用の椅子
- タオル
- 消毒用アルコール
- スリッパ
- 手荷物入れ
- カーテンなどのしきり
- 施術者が着用するユニフォーム
施術に使う備品などの清潔感や使い心地はお客様の満足度に直結するため、なるべく新品で質の低すぎないものを用意するのが良いでしょう。また、お客様の肌に触れるシーツや着替えなどは、触り心地の良いものにすることがおすすめです。
集客をする
具体的な準備が整ったら、いよいよ集客をしていきましょう。
集客は、ホームページ作成やSNS、インターネット広告などのオンラインのものや、チラシやポスティング、フリーペーパーへの掲載などのオフラインのものとさまざまあります。
そんなたくさんある集客方法の中から、ターゲット層に合わせた集客を行うことが重要です。
例えば、40代女性であまりSNSなどをしない方に対しては、チラシやポスティングが有効な集客手段です。また、20代や30代の若い世代には、SNSやインターネット広告を使った集客がおすすめです。
集客を行なう際には、集客によるお客様の来店の増加率などをしっかりと分析し、都度最適な集客方法を模索することが大切です。
自宅での整体院開業と似た隠れ家サロンの集客については以下の記事で解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
開業届を税務署に出す
開業したあとは、税務署に開業届の提出が必要です。
新たに事業を始めた場合、その地域の管轄の税務署に届出を提出する必要があります。
開業届の提出に必要なものは開業届とマイナンバーカード(ない場合は、本人確認書類とマイナンバーがわかるもの)のみです。
開業届は国税庁のwebサイトからダウンロードすることができるので、事前にダウンロードして記入しておくと良いでしょう。
ちなみに開業届は、開業日から1ヶ月以内に提出する必要があるため、忘れずに提出しましょう。
自宅で整体院の開業を成功させるコツ
いざ、自宅で整体院を開業させたら、成功するためには以下のようなポイントを意識すると良いでしょう。
定期的に通いやすい価格設定にする
自宅で整体院を成功させる重要なポイントの1つは、お客様が定期的に通いやすい価格設定にすることです。
整体は継続的な施術を受けることで、より大きな効果が期待できるという特性があります。そのため、料金が高すぎると、お客様が定期的に通うことが難しくなってしまいます。そのため、お客様が無理なく通える価格帯にすることが大切です。
ただし、通いやすさを重視するあまり、安さ重視の価格設定にしてしまうと、目標とする売上の達成が困難になる可能性があります。
理想的な価格設定を行うには、目標売上からの逆算に加えて、競合となる整体院の料金も参考にすることがおすすめです。周辺の地域で似たようなサービスを提供する整体院の価格を調査し、自院の強みや独自性を踏まえた上で、適切な料金設定を行うことが重要です。
生活感を出さないようにする
自宅で整体院を成功させるためのもう1つの重要なコツは、生活感を極力出さないようにすることです。
自宅での開業は、自宅の一部を施術スペースとして使用するため、生活感が出てしまうことがあるかもしれません。しかし、お客様はプロのサービスを受けるために料金を支払っているので、整体院としての専門的な空間を提供することが求められます。
ターゲット層の好みに合ったインテリアを取り入れたり、施術スペースの整理整頓を徹底したりすることで、清潔感のある環境を作り出すことができます。
特に、自宅特有のにおいは自分では気づきにくいものですが、生活感を強く印象づける要因の1つです。ディフューザーを設置して心地よい香りを漂わせたり、定期的に換気を行ったりすることで、生活臭を防ぐよう心がけましょう。
また、生活感が漂うと、お客様が施術に集中しにくくなる恐れがあります。例えば、お子様がいる場合、自宅での開業だと学校から帰宅する音や、施術中の様子を目撃されるのではないかと不安を感じ、リラックスできなくなってしまう可能性があります。
このような状況が予想される場合は、施術時間帯を調整したり、施術中は家族の協力を得て静かな環境を保ったりするなどの工夫が必要でしょう。
自宅で整体院を開業する際の注意点
そしてここでは、自宅で整体院を開業する際の注意点について解説します。
治療目的の場合は資格が必要
自宅で整体院を開業する際の注意点の1つ目は、治療を目的とした施術を提供する場合は、資格が必要になることです。
あはき法という法律において、あん摩マッサージ指圧師やはり師、きゅう師などの有資格者以外が治療目的の施術を行った場合、法律違反となってしまいます。
そのため、資格を持たない場合、リラクゼーションを目的としたもみほぐしの施術のみ提供できます。
賃貸物件の場合は確認する
自宅で整体院を開業する際の注意点として、自宅が賃貸物件の場合、大家さんや管理会社に確認が必要であることが挙げられます。
自宅が賃貸物件の場合、事業用として使用できない物件である可能性があります。事業用で使用できない物件で整体院を開業した場合、賃貸契約違反となり、最悪の場合退去しなければならなくなる場合があります。
そのようなリスクを避けるために、自宅が賃貸物件の場合、開業前にあらかじめ大家さんや管理会社に確認しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、自宅で整体院は開業できるのか?というタイトルで、自宅で整体院を開業するメリットや開業のステップなどを解説しました。自宅での整体院開業は、開業費用がおさえられるだけでなく、自分の時間を有効活用できる開業形態になります。
自宅で整体院を開業したいと思っている方はぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。
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