店舗やサロン、クリニックを運営するオーナー様、責任者様へ。あなたは今、このような悩みを抱えていませんか?
「予約の無断キャンセルが多くて、売上への影響が深刻だ…」
「直前のキャンセルで、用意していた材料やスタッフの時間が無駄になってしまう」
「キャンセル料を請求したいけれど、お客様との関係が悪化するのが怖い」
「そもそも、法的に有効なキャンセルポリシーの作り方が分からない」
その悩み、痛いほどよく分かります。
この記事でご紹介するのは、単なるキャンセル料徴収のためのルールではありません。あなたのビジネスを守り、本当にサービスを必要としているお客様との信頼関係を深め、結果として事業を安定させるための「戦略的なコミュニケーションツール」としてのキャンセルポリシーです。
本記事では、キャンセルポリシーの法的な位置づけや作成の基本といった基礎知識から、美容サロン、飲食店、クリニックなど7つの業種別に「そのまま使える」具体的な例文まで、網羅的に解説します。
さらに、お客様に不快感を与えずにポリシーを伝え、スムーズに同意を得るための実践的なテクニックもご紹介します。
この記事を最後まで読めば、あなたは自信を持って自社の状況に最適なキャンセルポリシーを作成・運用できるようになり、キャンセルに関するストレスから解放される第一歩を踏み出せることをお約束します。
目次
- キャンセルポリシーとは?その重要性と法的根拠を深く理解する
- 【作成前に必読】効果的なキャンセルポリシーに必須の5つの要素
- 【コピペで使える】美容サロン(美容院・ネイル・エステ)向けキャンセルポリシー例文
- 【予約トラブル回避】整骨院・治療院向けキャンセルポリシー例文
- 【食材ロス削減】飲食店(レストラン・居酒屋)向けキャンセルポリシー例文
- 【月謝・回数券対応】教室・スクール、ヨガ・ピラティス向けキャンセルポリシー例文
- 【信頼関係を構築】クリニック・診療向けキャンセルポリシー例文
- キャンセルポリシーを顧客に上手に伝え、同意を得るための3つのステップ
- まとめ│キャンセルポリシーは、ビジネスと顧客を守る「信頼の架け橋」である
- スモールビジネスの予約システムには、freee予約がおすすめ!
キャンセルポリシーとは?その重要性と法的根拠を深く理解する

キャンセルポリシーについて具体的な例文を見ていく前に、まずはその本質的な意味と、ビジネスにおける重要性、そして法的根拠について正しく理解しておくことが不可欠です。
この土台となる知識が、お客様に納得していただける、実効性の高いポリシーを作成するための鍵となります。
ポリシーを単なる「規則」ではなく、お客様との「約束事」として位置づけることで、その運用はよりスムーズになるでしょう。
なぜ今、全てのビジネスでキャンセルポリシーが不可欠なのか?
現代のビジネス、特に予約をベースとしたサービス業において、キャンセルポリシーはもはや「あれば良いもの」ではなく「なくてはならない経営基盤」の一部です。その理由は大きく3つあります。
第一に、「機会損失の防止と売上の安定化」です。一つの予約枠は、あなたの商品そのものです。予約がキャンセルされ、その枠が埋まらなければ、その時間とリソース(人件費、光熱費、準備した材料費など)は全て損失となります。
特に無断キャンセルは、他のお客様をご案内できたはずの機会を奪うだけでなく、売上予測を大きく狂わせ、経営の不安定化を招きます。
明確なポリシーは、安易なキャンセルを抑制し、売上の安定に直接的に貢献します。
第二に、「顧客の質の向上とリソースの最適化」です。しっかりとキャンセルポリシーを提示することは、あなたのサービスを真剣に受けたいと考えているお客様を選別するフィルターの役割を果たします。
時間や約束を守る意識の高いお客様が集まることで、スタッフはより質の高いサービス提供に集中でき、全体の顧客満足度向上にもつながります。結果として、優良なリピーターの育成にも繋がるでしょう。
第三に、「サービス提供者と顧客間の公平性の担保」です。キャンセルポリシーがない、あるいは曖昧な状態では、一部の無責任な予約によって、本当にサービスを受けたい他のお客様が予約を取れないという不公平が生じます。
また、ルールを守っているお客様とそうでないお客様が同じ扱いを受けることになり、真面目なお客様の不満にも繋がりかねません。明確なルールは、すべてのお客様に対して公平なサービス機会を提供するための基盤となるのです。
キャンセルポリシーの法的な位置づけと効力
キャンセルポリシーに基づいてキャンセル料を請求することは、法的に認められた正当な権利です。お客様が予約をした時点で、サービス提供者とお客様との間には「契約」が成立したと見なされます。
キャンセルポリシーは、その契約内容の一部です。お客様が予約をキャンセルするということは、契約の一方的な破棄(債務不履行)にあたり、それによって生じた損害を事業者が請求することは、民法第415条の「債務不履行による損害賠償」の考え方に基づいています。
ただし、注意すべきは「消費者契約法」の存在です。この法律は、事業者と消費者との間の情報格差などを考慮し、消費者を不当な契約から保護することを目的としています。キャンセル料に関しては、同法第9条で「平均的な損害の額を超える部分」については無効とすると定められています。
つまり、実際に生じるであろう損害額(例えば、確保していたスタッフの人件費、準備した材料費、その予約枠が埋まっていれば得られたであろう利益など)を著しく超えるような、高額すぎるキャンセル料を設定することはできません。
常識的な範囲内で、損害額の根拠を説明できる金額を設定することが極めて重要です。
顧客に「厳しい」と思わせないための基本マインドセット
キャンセルポリシーを作成し、運用する上で最も大切な心構えは、これをお客様を罰するためや、儲けるための手段と捉えないことです。あくまで、質の高いサービスを継続的に、そして公平に提供するために必要な「双方の約束事」であるというスタンスを貫くことが重要です。
お客様にポリシーを提示する際は、「お願い」「ご協力のお願い」という丁寧な姿勢で伝えましょう。
「当サロンでは、一人ひとりのお客様に最高のサービスをご提供するため、お時間の確保を徹底しております。そのため、直前のキャンセルや変更は、他のお客様のご迷惑となる場合がございます。
つきましては、以下の点にご協力いただけますよう、何卒お願い申し上げます」といった形で、ポリシーの目的がお客様全員の利益に繋がることを伝えるのです。
この「なぜなら」という理由付けが、お客様の納得感を引き出し、単なる厳しい規則という印象を和らげる効果があります。
このマインドセットを持つことが、トラブルを未然に防ぎ、お客様との良好な関係を維持しながら、ビジネスを守るための第一歩となります。
参考:【例文6選】予約時間に来ないお客様へのメール返信│関係を壊さず伝える催促・確認の書き方
【作成前に必読】効果的なキャンセルポリシーに必須の5つの要素
実際にキャンセルポリシーの文章を作成するにあたり、ただ漠然と「キャンセル料を取ります」と書くだけでは不十分です。
お客様との無用なトラブルを避け、いざという時にその効力を正しく発揮させるためには、いくつかの必須要素を網羅的に、かつ明確に記載しておく必要があります。
ここでは、どんな業種にも共通する、効果的なキャンセルポリシーに盛り込むべき5つの重要な要素を詳しく解説します。
これらの要素を一つひとつ丁寧に言語化していくことで、あなたのポリシーは格段に分かりやすく、そして実用的なものになります。
1. キャンセル・変更の連絡方法と期限
まず基本となるのが、お客様が予約をキャンセル、または変更したい場合に「いつまでに」「どのように」連絡すれば良いのかを具体的に示すことです。
ここが曖昧だと、後々のトラブルの原因となります。
- 連絡方法: 電話、メール、予約システムの管理画面、公式LINEアカウントなど、受け付ける連絡手段を全て明記します。「お電話または予約サイトのマイページよりお手続きください」のように具体的に記載しましょう。営業時間外の連絡をどう扱うか(例:「メールでのご連絡は、当院の翌営業日の受付時間をもってキャンセル受付とさせていただきます」)も決めておくと、より丁寧です。
- 期限の設定: 「予約日の〇日前まで」「予約時間の〇時間前まで」と、誰が見ても解釈に迷いが生じないように、期限を明確に数字で示します。例えば、「ご予約のキャンセル・ご変更は、予約日の前日18時までにお願いいたします」といった形です。業種やサービスの特性に合わせて、1日前、2日前、あるいは1週間前など、適切な期限を設定することが重要です。この期限が、次に説明するキャンセル料発生の基準点となります。
参考:お店側からの予約変更メール例文7選|誠意が伝わる書き方とクレームを防ぐポイント
2. キャンセル料が発生する条件と金額(段階的な設定)
ポリシーの核となる部分です。どのような場合に、いくらのキャンセル料が発生するのかを、お客様が事前に正確に理解できるように記載する必要があります。
- 発生条件: 「上記期限を過ぎてからのキャンセル・変更の場合」「ご連絡なくご来店されなかった場合(無断キャンセル)」など、キャンセル料が発生する具体的な条件を明記します。
- 金額の設定: 金額は「予約メニューの料金の〇%」という割合で示す方法と、「一律〇〇円」と定額で示す方法があります。高額なコース予約などでは割合、比較的安価なサービスでは定額が用いられることが多いです。
- 段階的な設定の推奨: お客様の納得感を得やすく、より公平性を保つために、キャンセル料を段階的に設定することをおすすめします。「予約日の前日:予約料金の50%」「予約日当日および無断キャンセル:予約料金の100%」のように、予約日時に近いほどキャンセル料率が高くなるように設定すると、お客様も予定を調整しやすくなり、事業者側の損害額とのバランスも取りやすくなります。
3. 返金ポリシー(事前決済の場合)
オンライン予約システムなどを利用し、事前決済を導入している場合は、返金に関するルールを明記することが必須です。
- 返金手数料: クレジットカード決済などを利用している場合、返金処理に手数料がかかることがあります。その手数料をお客様負担とするのか、事業者負担とするのかを明確にしておきましょう。「返金の際、振込手数料(または決済手数料〇%)を差し引いた金額をご返金いたします」といった一文を入れておくと安心です。
- 返金方法: 銀行振込、クレジットカードへの返金処理など、どのような方法で返金が行われるのかを記載します。
- 返金不可のケース: キャンセル料が100%発生する場合(当日キャンセルや無断キャンセルなど)は、「ご返金はいたしかねますので、あらかじめご了承ください」と明確に記載しておくことが重要です。
4. キャンセル料の請求方法
キャンセル料が発生した場合に、具体的にどのような手順で請求するのかをあらかじめ示しておくことも、スムーズな運用のために大切です。
- 請求手段: 後日、請求書を郵送するのか、予約時に登録されたクレジットカードに請求するのか、あるいは次回来店時に合算して請求するのか、具体的な方法を記載します。「当サロンにご登録のクレジットカードへご請求させていただきます」「別途、ご請求書をご登録住所へ郵送いたしますので、期日までにお支払いください」など、分かりやすく示します。これにより、お客様も心の準備ができ、請求に対する驚きや不満を軽減できます。
5. 免責事項(やむを得ない事情への配慮)
キャンセルポリシーを厳格に運用することは重要ですが、一方で杓子定規な対応は顧客離れを引き起こす原因にもなり得ます。
お客様との良好な関係を維持するためにも、配慮を示す条項を入れることを強く推奨します。
- やむを得ない事情の例示: 「ただし、自然災害、交通機関の著しい遅延、ご本人様やご家族の急な体調不良など、やむを得ない事情と当方が判断した場合は、この限りではございません」といった一文を加えることで、ポリシーに柔軟性を持たせることができます。
- 証明の要否: 必要であれば、「その際は、可能な範囲で結構ですので、証明できるもの(遅延証明書など)をご提示いただく場合がございます」と付け加えておくことも可能です。
この免責事項があることで、ポリシーが冷たい規則ではなく、血の通ったコミュニケーションツールとして機能し、お客様からの信頼を得やすくなります。
ポリシー運用を自動化!予約システムの活用という選択肢

ここまで効果的なキャンセルポリシーの必須要素を解説してきましたが、こうしたルールを日々運用し、お客様への周知徹底や予約管理を行うのは、多忙なビジネスオーナーにとって大きな負担となり得ます。
そこで、こうした運用を劇的に効率化するのが「予約システム」の活用です。
「freee予約」は、まさにそうした課題を解決するために開発された、アプリから誰でも簡単に使える予約システムです。
スマホやタブレット一つあれば、専門知識がなくても洗練された予約サイトをスピーディーに作成でき、すぐにネット予約を導入することが可能です。
この記事で解説したようなキャンセルポリシーの事前同意を得るチェックボックスの設置や、うっかり忘れを防ぐリマインドメールの自動送信機能なども、簡単な設定で実現できます。
キャンセル対応のストレスを軽減し、本来の業務に集中するためにも、ツールの力を借りてみてはいかがでしょうか。
以下のリンクからアプリをインストールして、まずは無料でお試しください。
【コピペで使える】美容サロン(美容院・ネイル・エステ)向けキャンセルポリシー例文

美容サロン業界は、お客様一人ひとりに比較的長い時間を確保し、専門的な技術を提供するビジネスモデルです。
そのため、一人のキャンセルが売上に与えるインパクトは非常に大きく、質の高いキャンセルポリシーの策定が経営の安定に直結します。
ここでは、お客様との良好な関係を維持しつつ、しっかりとビジネスを守るためのキャンセルポリシー例文を「丁寧な表現」と「シンプルな表現」の2つのパターンでご紹介します。
自店のブランドイメージや顧客層に合わせて、最適なものを選び、カスタマイズしてご活用ください。
例文テンプレート(丁寧な表現)
こちらは、リピーターのお客様が多く、丁寧なコミュニケーションを重視するサロン様向けの例文です。お客様への配慮を前面に出し、協力をお願いする姿勢を明確にしています。
ご予約のキャンセル・ご変更についての大切なお願い
平素より当サロンをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
当サロンでは、お客様一人ひとりとの時間を大切にし、最高品質のサービスをご提供するため、完全予約制とさせていただいております。
ご予約のキャンセルやご変更をご希望の場合は、他のお客様へのご案内が可能となりますよう、できる限りお早めにご連絡いただけますと幸いです。
つきましては、以下の通りキャンセルポリシーを設けさせていただいております。何卒ご理解ご協力いただけますよう、お願い申し上げます。
■ご予約のキャンセル・ご変更
ご予約のキャンセルや日時のご変更は、ご予約日の前日18:00までに、お電話または当サロン公式LINEにてご連絡をお願いいたします。
上記期限を過ぎてからのキャンセル・ご変更、およびご連絡なくご来店いただけなかった場合は、誠に恐れ入りますが、以下の通りキャンセル料を申し受けます。
■キャンセル料について
・ご予約日前日 18:00以降 ~ ご予約日当日のキャンセル・ご変更
ご予約メニュー料金の 50%
・ご連絡のない無断キャンセル
ご予約メニュー料金の 100%
■ご予約時間への遅刻について
やむを得ないご事情でご予約時間に遅れる場合は、分かり次第、お早めにご連絡ください。
ご連絡なく15分以上遅れた場合は、無断キャンセルとさせていただく場合がございます。また、遅れてご来店された場合、施術時間を短縮させていただくことや、ご希望のメニューをご提供できないことがございますので、あらかじめご了承ください。
■キャンセル料のお支払いについて
キャンセル料が発生した場合は、後日ご請求書をお送りするか、次回ご来店時に合算してお支払いをお願いしております。
なお、天候不良や交通機関の乱れ、急な体調不良など、やむを得ない事情と当方が判断した場合は、この限りではございません。その際は、無理せずお早めにご相談くださいませ。
皆様が気持ちよくサロンをご利用いただけますよう、今後もサービスの向上に努めて参ります。皆様のご理解とご協力に心より感謝申し上げます。
ポイント解説:リピーターを大切にするための配慮
この例文のポイントは、冒頭で「お客様一人ひとりとの時間を大切にするため」というポリシーの目的を明確に伝えている点です。
これにより、単なる規則ではなく、サロンのサービス品質を維持するための協力依頼であるというニュアンスが伝わります。
また、キャンセル料が発生する条件を箇条書きで分かりやすく示しつつ、最後に「やむを得ない事情」への配慮を明記することで、お客様に安心感を与え、一方的な印象を和らげています。
遅刻に関する規定も具体的に盛り込むことで、当日のオペレーションをスムーズにする効果も期待できます。
例文テンプレート(シンプルな表現)
こちらは、新規のお客様が多い、Webサイトや予約アプリでの表示を主とするサロン様向けの、要点を押さえたシンプルな例文です。分かりやすさと簡潔さを重視しています。
キャンセルポリシー
当サロンは完全予約制です。ご予約の際は、以下のキャンセルポリシーにご同意いただいたものとみなします。
■キャンセル・変更期限
ご予約のキャンセル・変更は【予約日前日の18:00まで】にお願いします。
※期限内のご連絡は、予約サイトのマイページ、またはお電話にて承ります。
■キャンセル料金
以下の場合は、規定のキャンセル料が発生いたします。
・前日18:00以降のキャンセル・変更: 施術料金の50%
・当日キャンセル・変更: 施術料金の80%
・無断キャンセル: 施術料金の100%
■遅刻について
ご連絡なく15分以上遅刻された場合は、無断キャンセル扱いとさせていただきます。
■注意事項
事前決済の場合、規定のキャンセル料を差し引いた金額を返金いたします(返金手数料お客様負担)。
無断キャンセルを繰り返された場合、今後のご予約をお断りすることがございます。
ご理解・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
ポイント解説:Webサイトや予約アプリでの表示に適した書き方
こちらの例文は、見出しを使って情報を整理し、お客様が必要な情報を素早く見つけられるように工夫されています。
特に、キャンセル料の発生条件と金額を時系列で明確に区別し(前日/当日/無断)、太字や【】を活用して視覚的な分かりやすさを高めているのが特徴です。
事前決済や無断キャンセルへの厳しい対応も簡潔に記載することで、予約に対する責任感を促します。
Web上の限られたスペースでも、要点を的確に伝えることができるため、予約フォームの近くに記載するのに最適です。
参考:美容室の予約システム比較12選!業態別の選び方や導入のコツもご紹介。
参考:【2025年最新】ネイルサロン向けの予約アプリ8選|導入するメリットや選び方も解説
【予約トラブル回避】整骨院・治療院向けキャンセルポリシー例文

整骨院や鍼灸院、カイロプラクティックなどの治療院では、一人の患者様のために専門的な知識を持つ施術者が時間を確保しています。
また、キャンセルが出た枠を「他の痛みや不調に悩む患者様が利用できたかもしれない」という機会損失の側面も持ち合わせています。
そのため、キャンセルポリシーは経営を守ると同時に、本当に治療を必要とする他の患者様への配慮という大義名分も伝えることが重要になります。
ここでは、患者様への共感を示しつつ、円滑な院の運営にご協力いただくための例文をご紹介します。
例文テンプレート(患者への配慮を重視)
患者様との信頼関係を第一に考える治療院向けの、丁寧で理解を促す表現を用いた例文です。
ご予約のキャンセル・変更に関するお願い
いつも〇〇整骨院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
当院では、患者様お一人おひとりに責任をもって治療をさせていただくため、完全予約制を採用しております。
現在、多くの患者様からご予約のご希望をいただいており、キャンセル待ちをされている方もいらっしゃいます。そのため、無断でのキャンセルや直前でのご変更は、他の患者様が治療を受ける機会を失うことにも繋がります。
つきましては、皆様が円滑に治療を受けられる環境を維持するため、以下のキャンセルポリシーについて、ご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
■ご予約のキャンセル・変更について
ご予約のキャンセルや日時の変更をご希望される場合は、【ご予約日時の24時間前まで】に、お電話にてご連絡をいただけますようお願いいたします。(休診日を挟む場合は、その前の診療日の受付時間内までにご連絡ください)
■キャンセル料について
上記の期限を過ぎてからのキャンセルや、ご連絡のないままご来院されなかった場合には、以下の通りキャンセル料を申し受けます。
・ご予約日時の24時間前を過ぎてからのキャンセル・変更:
施術料の 50%
・ご予約日時の当日キャンセル・変更:
施術料の 80%
・無断キャンセル:
施術料の 100%
■ご予約時間への遅刻について
ご予約時間に遅れてご来院された場合、治療時間が短くなることがございます。また、ご連絡なく15分以上経過した際には、無断キャンセルとして対応させていただく場合がございますので、ご注意ください。
■ご理解のお願い
キャンセル料をいただくことは、当院の本意ではございません。皆様の健康をサポートする貴重な予約枠を、一人でも多くの必要な方にご利用いただくためのルールとして、何卒ご理解いただけますと幸いです。
なお、急な体調不良や事故など、やむを得ない事情の場合は、可能な限り柔軟に対応させていただきますので、ご無理なさらず、まずは一度お電話にてご相談ください。
ポイント解説:他の患者への影響を伝え、理解を促す
この例文の核心は、「キャンセル待ちの方もいる」「他の患者様が治療を受ける機会を失う」というフレーズで、キャンセルが自分一人の問題ではなく、コミュニティ全体に影響を与えることを示唆している点です。
これにより、患者様はルールを守ることに社会的な意義を見出しやすくなります。
また、「キャンセル料をいただくことは本意ではない」と明言することで、治療院側の苦渋の決断であることを伝え、金銭目的ではないというメッセージを強調しています。
最後にやむを得ない事情への配慮を示すことで、患者様に寄り添う姿勢を崩さず、信頼関係を維持することを目指しています。
例文テンプレート(回数券・コース契約者向け)
回数券や長期の治療コースを契約している患者様向けに、特化したルールを設けることは非常に重要です。
消化ルールを明確にすることで、契約後のトラブルを未然に防ぎます。
回数券・コースをご利用の方のキャンセルポリシー
回数券・コース契約をご利用いただきありがとうございます。計画的な治療をスムーズに進めるため、以下のキャンセルポリシーを定めております。
■キャンセル・変更期限
ご予約のキャンセル・変更は【予約日前日の診療時間内まで】にお電話でご連絡ください。
■キャンセル時の取り扱い
期限内のご連絡: ペナルティなく別日への振替が可能です。
■期限を過ぎてのご連絡(当日キャンセル含む):
回数券1回分を消化とさせていただきます。ご返金はいたしかねます。
■無断キャンセル:
回数券1回分を消化とさせていただきます。今後のご予約にも影響が出る場合がございます。
■有効期限について
回数券・コースには有効期限がございます(ご購入日から〇ヶ月)。期限内にご利用いただけなかった場合の返金・延長は原則として致しかねますので、計画的にご予約をお取りください。
■注意点
このポリシーは、ご契約時にご同意いただいたものとします。ご不明な点がございましたら、スタッフまでお気軽にお尋ねください。
ポイント解説:契約書への明記の重要性
回数券やコース契約者向けのポリシーで最も重要なのは、「キャンセル料(金銭)」ではなく「回数券1回分の消化」という形でペナルティを設定することです。これは患者様にとって分かりやすく、事業者側も金銭請求の手間が省けるため、双方にとって運用しやすい方法です。
この例文のポイントは、そのルールを簡潔かつ明確に示している点にあります。
「ペナルティなく振替可能」な条件と、「1回分消化」となる条件を対比させることで、期限を守ることのメリットが分かりやすくなっています。
このようなルールは、口頭での説明に加えて、必ず契約書にも明記し、署名をもらうことで、後の「言った・言わない」のトラブルを確実に防ぐことができます。
参考:接骨院・整骨院に最適な予約システムを徹底調査!【予約優先制対応】
【食材ロス削減】飲食店(レストラン・居酒屋)向けキャンセルポリシー例文

飲食店にとって、予約のキャンセルは席の損失だけでなく、そのお客様のために仕入れた食材のロスという二重の打撃をもたらします。
特に、コース予約や団体予約の無断キャンセルは、経営に深刻な影響を与えかねません。ここでは、お客様に予約の重みを理解していただき、飲食店の正当な利益を守るためのキャンセルポリシー例文を、予約形態に合わせてご紹介します。
昨今ではグルメサイト経由の予約も多いため、Web上での分かりやすさも意識した内容となっています。
例文テンプレート(コース予約・団体予約向け)
高額なコース料理や、大人数での宴会予約など、事前の準備と仕入れが重要な予約形態に特化した例文です。損害額が大きくなるため、比較的厳格な内容となっています。
コース予約・団体予約のキャンセル規定
この度は、当店にご予約いただき、誠にありがとうございます。
お客様に最高のお食事と時間をお楽しみいただくため、お席と食材を万全に整えてお待ちしております。
つきましては、コース料理のご予約、ならびに【〇名様以上】の団体でのご予約に関しまして、以下の通りキャンセル規定を設けさせていただいております。大変恐縮ではございますが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
■ご予約のキャンセル・人数変更の期限
ご予約のキャンセル、および人数のご変更は【ご予約日の3日前まで】にお電話にてご連絡ください。
■キャンセル料について
上記期限以降のキャンセル・人数変更につきましては、以下のキャンセル料を申し受けます。
・ご予約日の2日前:
ご予約コース料金(または想定お会計額)の 30%
・ご予約日の前日:
ご予約コース料金(または想定お会計額)の 50%
・ご予約日当日(ご連絡あり):
ご予約コース料金(または想定お会計額)の 80%
・ご連絡のない無断キャンセル:
ご予約コース料金(または想定お会計額)の 100%
※人数変更の場合、減少した人数分のキャンセル料が発生いたします。※ご予約時にご登録いただいたクレジットカードへのご請求、または後日ご請求書をお送りする形でお支払いをお願いしております。
■ご確認のお願い
食材の準備の都合上、ご理解とご協力をいただけますと幸いです。アレルギーや苦手な食材に関するご相談は、キャンセル期限前までにお知らせください。
ポイント解説:具体的な金額や割合の明示
この例文のポイントは、キャンセル料の発生時期を「3日前」「2日前」「前日」「当日」と細かく段階設定している点です。
これにより、事業者側は準備の進捗度合いに応じた損害額を請求でき、お客様側も早めに連絡するインセンティブが働きます。
「想定お会計額」という表現は、席のみの団体予約でコースが決まっていない場合に利用できる便利なフレーズです。また、キャンセル料の対象が「減少した人数分」にも適用されることを明記することで、当日の大幅な人数減による損害を防ぐことができます。
「食材の準備の都合上」という理由を明確に伝えることで、お客様の納得感を得やすくなるでしょう。
例文テンプレート(席のみ予約向け)
席のみの予約では、コース予約ほどの直接的な食材ロスは少ないかもしれませんが、無断キャンセルによる機会損失は同様に深刻です。
比較的少額でもペナルティを設定することで、予約の無断キャンセルを抑制する効果が期待できます。
お席のみご予約のキャンセルについて
お席のみのご予約につきましては、キャンセル料は原則として頂戴しておりません。
ただし、一人でも多くのお客様にお食事を楽しんでいただくため、以下の点にご協力をお願いいたします。
■キャンセル・変更のご連絡
ご都合が悪くなった場合は、分かり次第、お早めに予約サイトまたはお電話にてキャンセル・変更手続きをお願いいたします。
■無断キャンセルについて
ご連絡なく、ご予約時間を15分過ぎてもご来店されない場合は、やむを得ず「無断キャンセル」として扱わせていただき、お席を他のお客様に解放させていただく場合がございます。
また、無断キャンセルをされたお客様につきましては、誠に不本意ながら、以下のキャンセル料を申し受けます。
無断キャンセル料:お一人様あたり 2,000円
■今後のご予約について
無断キャンセルを繰り返された場合、今後のご予約をお断りさせていただくことがございますので、あらかじめご了承ください。
皆様のご理解とご協力が、お店の支えとなります。よろしくお願い申し上げます。
ポイント解説:無断キャンセルのリスクと対策
席のみ予約の場合、事前の連絡さえあればキャンセル料は発生しない、というスタンスを示すことで、お客様の心理的ハードルを下げ、連絡を促す効果があります。
この例文のポイントは、ペナルティを「無断キャンセル」に限定し、その場合のキャンセル料を「お一人様あたり〇〇円」と明確に設定している点です。
ランチタイムであれば1,000円、ディナーであれば2,000円~3,000円などが相場感となります。これは、席を確保したことによる機会損失に対する損害賠償という位置づけです。「今後のご予約をお断りする」という一文は、金銭的なペナルティ以上に、悪質なユーザーへの抑止力として機能します。
グルメサイトの予約システムでは、無断キャンセル客の情報を記録し、予約をブロックする機能が備わっていることもあり、こうした毅然とした対応が店舗運営を守る上で重要になります。
参考:飲食店予約システム比較12選!「無断キャンセル」と「送客手数料」をゼロにする最強の選び方
【月謝・回数券対応】教室・スクール、ヨガ・ピラティス向けキャンセルポリシー例文

料理教室、英会話スクール、ヨガ・ピラティススタジオなど、月謝制や回数券制を採用しているビジネスでは、予約のキャンセルをどのように扱うかが運営の根幹に関わります。
定員制のクラスでは、一人のキャンセルが他の生徒の参加機会を奪うことになり、インストラクターや講師の稼働にも影響します。
ここでは、生徒・会員との良好な関係を保ちながら、公平で円滑なクラス運営を実現するためのキャンセルポリシー例文を、料金体系別に解説します。
例文テンプレート(月謝制・グループレッスン向け)
月謝制のスクールやスタジオでは、レッスンの振替制度を設けることが一般的です。
キャンセルポリシーと振替制度をセットで明確に規定することが、生徒の満足度と運営の安定を両立させる鍵となります。
レッスン予約のキャンセル・振替に関するルール
会員の皆様が快適にレッスンを受講できるよう、ご予約のキャンセル・振替に関して以下の通りルールを定めております。ご理解とご協力をお願いいたします。
■予約のキャンセル・変更期限
ご予約されたレッスンのキャンセル・変更は【レッスン開始時刻の24時間前まで】にお願いいたします。
会員専用サイトの予約ページよりお手続きが可能です。
■期限を過ぎたキャンセルについて
レッスン開始時刻の24時間前を過ぎてからのキャンセル、またはご連絡なく欠席された場合は【レッスン1回分消化】扱いとなり、振替レッスン等の対象外となりますのでご注意ください。
■振替制度について
期限内にキャンセル手続きをされた場合に限り、そのレッスンを別の日に振り替えて受講することが可能です。
・振替期限: 該当月の末日まで(または翌月〇日まで)
・振替回数: 月に〇回まで
・振替予約方法: 会員専用サイトより、空きのあるクラスをご予約ください。
■休会・退会について
休会・退会をご希望の場合は、希望月の前月〇日までに所定の用紙にてお手続きください。お電話やメールでの手続きは承っておりません。期日を過ぎますと、翌月分の月謝が発生いたしますのでご注意ください。
皆様が計画的にレッスンに参加し、目標を達成できるようサポートして参ります。ご不明な点がございましたら、いつでもスタッフにご相談ください。
ポイント解説:振替制度との組み合わせ
この例文の最大のポイントは、「ペナルティ」ではなく「振替の権利」という視点でルールを構築している点です。
「期限内にキャンセルすれば振替できる」というポジティブな表現を用いることで、生徒はルールを守ることにメリットを感じやすくなります。
逆に、期限を過ぎると「1回分消化」となり、その権利が失われるというロジックは、非常に明快で受け入れられやすいでしょう。振替の期限や回数制限を設けることで、無期限・無制限の振替による運営の複雑化を防ぎます。
また、月謝制ビジネスでトラブルになりがちな休会・退会の手続きについても、期限と方法を明確に記載しておくことが、未然に金銭トラブルを防ぐ上で極めて重要です。
例文テンプレート(チケット・回数券制向け)
都度払いやチケット(回数券)制のプライベートレッスンや少人数クラス向けの例文です。
消化ルールを明確にすることが、公平性を保つ上で不可欠です。
ご予約とキャンセルに関する規約
当スタジオ(スクール)のご利用にあたり、以下の規約にご同意をお願いいたします。
■ご予約の確定
ご予約は、チケットのご購入・ご利用をもって確定となります。
■キャンセル・日時変更の期限
ご予約のキャンセルおよび日時のご変更は【予約日前日の20:00まで】に、予約システムまたはお電話にてご連絡ください。
■キャンセル時のチケットの取り扱い
・期限内にご連絡いただいた場合:
ご利用予定だったチケットは消費されず、別日のご予約に再度ご利用いただけます。
・上記期限を過ぎてご連絡いただいた場合(当日キャンセル):
理由の如何を問わず、チケット1回分を消化とさせていただきます。ご返金は致しかねますので、ご了承ください。
・ご連絡なく欠席された場合(無断キャンセル):
チケット1回分を消化とさせていただき、今後のご予約をお断りする場合もございます。
■チケットの有効期限
ご購入いただいたチケットには有効期限がございます(券面に記載)。期限を過ぎたチケットは無効となりますので、計画的にご利用ください。
この規約は、すべての利用者の皆様に公平にサービスを提供するために設けられております。何卒、ご理解ご協力をお願い申し上げます。
ポイント解説:消化ルールの明確化
チケット制の場合、そのシンプルさゆえにルールも簡潔かつ厳格に設定することが可能です。
この例文では、「期限内連絡→チケット消費なし」「期限後連絡→チケット1回分消化」という二者択一のルールを明確に打ち出しています。
「理由の如何を問わず」という一文を入れることで、個別の事情による例外対応の要求を抑制し、スタッフの判断のブレを防ぎ、全利用者への公平性を担保する効果があります。
月謝制と異なり、より個人の裁量で利用するチケット制では、こうした毅然としたルールが円滑な運営に繋がります。
有効期限についても改めて言及し、チケット失効に関する後のトラブルを防ぐことも重要なポイントです。
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【信頼関係を構築】クリニック・診療向けキャンセルポリシー例文

医療機関、特に自由診療を中心とするクリニック(美容皮膚科、審美歯科、カウンセリングなど)や、専門的な検査で長時間枠を確保する診療所にとって、予約のキャンセルは深刻な経営課題です。
医療機器や専門スタッフの時間を確保しているため、キャンセルによる損失は他の業種よりも大きくなる傾向があります。
しかし、医療機関としての信頼性や患者への配慮も同時に求められます。
ここでは、丁寧な言葉遣いで、医療機関としての品位を保ちながら、必要なルールを伝えるための例文と、保険診療における注意点を解説します。
例文テンプレート(自費診療・専門外来向け)
カウンセリング、美容医療、インプラント治療、特殊な検査など、高額で長時間の予約枠に適用する例文です。
患者様のご事情に配慮しつつも、経営を守るための明確なルールを示します。
ご予約のキャンセルについて(自費診療・専門外来)
平素は〇〇クリニックにご来院いただき、厚く御礼申し上げます。
当院では、患者様お一人おひとりに十分な診療時間を確保し、質の高い医療をご提供するため、完全予約制にて診療を行っております。
ご予約の時間枠は、他の患者様のご予約をお断りして確保しております。そのため、直前のキャンセルや無断でのキャンセルは、診療をお待ちの他の患者様のご迷惑となるだけでなく、当院の運営にも支障をきたすこととなります。
つきましては、大変心苦しいお願いではございますが、自費診療および専門外来のご予約に関し、以下の通りキャンセルポリシーを定めさせていただきます。何卒、ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。
■キャンセル・ご変更の連絡期限
ご予約のキャンセルや日時のご変更は、【ご予約日の2診療日前まで】にお電話にてご連絡ください。
(例:金曜日のご予約の場合、水曜日の診療時間内まで)
■キャンセル料について
上記期限を過ぎてからのキャンセル・ご変更、およびご連絡なくご来院されなかった場合は、以下のキャンセル料を申し受けます。
・予約日の前診療日のキャンセル: 予約診療費の 30%
・予約日当日のキャンセル: 予約診療費の 50%
・無断キャンセル: 予約診療費の 100%
■お願い
キャンセル料を頂戴することは当院の本意ではございません。すべての患者様に適切な時期に必要な医療をお届けするためのやむを得ない措置として、ご理解いただけますと幸いです。
なお、ご本人様の急な体調不良や不測の事態など、やむを得ないご事情につきましては、可能な限り配慮いたしますので、お早めにお電話にてご相談ください。
ポイント解説:丁寧さと医療機関としての信頼性の両立
この例文のポイントは、徹底して丁寧な言葉遣いと、医療機関としての社会的責任を背景に説明している点です。
「他の患者様のご予約をお断りして確保している」「診療をお待ちの他の患者様のご迷惑となる」といった表現は、クリニックが自分本位でルールを決めているのではなく、他の患者様への公平性を保つために必要であるという大義を示しています。
キャンセル料の発生期限を「2診療日前」と設定しているのは、土日祝などの休診日を考慮した、クリニックならではの現実的な設定です。
最後にやむを得ない事情への配慮を盛り込むことで、患者に寄り添う医療機関としての姿勢を示し、信頼関係を損なわないように細心の注意を払っています。
保険診療におけるキャンセルポリシーの注意点
一方で、国民皆保険制度下にある「保険診療」においては、キャンセル料の請求は原則として認められていません。
これは、保険診療の料金(診療報酬)が国によって細かく定められており、その中に「キャンセル料」という項目が存在しないためです。
なぜ保険診療ではキャンセル料が請求しにくいのか
保険診療は、診察や治療といった「行われた医療行為」に対してのみ対価(診療報酬)を請求できる仕組みです。
予約をキャンセルされた場合、医療行為は行われていないため、保険診療の枠組みでは請求の根拠がありません。
もし保険診療でキャンセル料を徴収した場合、地方厚生局の指導対象となる可能性があり、非常にリスクが高い行為と言えます。
保険診療での対策はどうすれば良いか
では、保険診療のクリニックでは泣き寝入りするしかないのでしょうか。いいえ、対策はあります。
- ルールの周知徹底: キャンセル料は請求できなくても、「無断キャンセルや直前のキャンセルが続いた場合、今後のご予約が取りにくくなる場合がございます」「予約時間通りにご来院いただけない場合、診察の順番が前後することがございます」といったルールを院内に掲示し、口頭でも丁寧に伝えることは有効です。ペナルティは金銭ではなく、「予約の優先度」とすることで、間接的にキャンセルを抑制します。
- 予約金の預かり(自費分として): 厳密にはグレーゾーンですが、初診時などに「予約金」として自費で一定額(例:1,000~3,000円)を預かり、来院時に返金、または会計から相殺するという方法を取るクリニックもあります。無断キャンセル時にはこの予約金をキャンセル料として充当(返金しない)する形です。ただし、この運用は患者への丁寧な説明と同意が不可欠であり、あくまで自費部分の損害補填という位置づけを明確にする必要があります。
保険診療におけるキャンセル問題は非常にデリケートです。金銭請求に踏み切るのではなく、丁寧なコミュニケーションとルールの周知によって、患者様のマナー向上を促していく地道な努力が最も重要となります。
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キャンセルポリシーを顧客に上手に伝え、同意を得るための3つのステップ

どれほど完璧なキャンセルポリシーを作成しても、それをお客様が認識し、内容に同意していなければ、いざという時にその効力を発揮させることはできません。
それどころか、「そんなルールは知らなかった」というクレームやトラブルに発展しかねません。
キャンセルポリシーは、作って終わりではなく、お客様に「上手に伝え、納得して同意してもらう」までがワンセットです。
ここでは、お客様に不快感を与えず、スムーズにポリシーを周知徹底させるための具体的な3つのステップをご紹介します。
ステップ1:Webサイトや予約フォームの見やすい場所に明記する
お客様が予約行動を起こす際に、必ず目に入る場所にキャンセルポリシーを明記しておくことが、周知の第一歩であり、最も重要なステップです。
後から「見つけられなかった」と言われないよう、戦略的に配置しましょう。
Webサイトへの掲載場所
- 独立したページを作成する: 「ご利用案内」「初めての方へ」「よくあるご質問(FAQ)」といったメニューの中に、「キャンセルポリシーについて」という独立したページを設けます。ここに、本記事で紹介したような詳細なポリシー全文を掲載します。
- 各サービスの料金ページの末尾: 施術メニューやコース料金を記載しているページの末尾に、関連情報としてポリシーを記載するのも効果的です。お客様は料金とセットでルールを認識しやすくなります。
- フッターメニュー: 全てのページの下部に表示されるフッターに、「キャンセルポリシー」へのリンクを設置しておくことで、お客様がいつでもアクセスできるようになります。
- 予約フォームへの組み込み:
オンライン予約システムを利用している場合、予約を完了させるプロセスの中にポリシーを組み込むことが極めて重要です。予約ボタンの直前など、お客様が最後に見るであろう場所に、ポリシーの要約を記載するか、全文へのリンクを設置します。「例:ご予約のキャンセル・変更は前日18時までにお願いします。以降はキャンセル料(料金の50%)が発生します。詳細は<こちら>」のように、重要なポイントだけでも記載しておきましょう。
ステップ2:予約確認メールやリマインドメールに記載する
予約が完了した直後にお客様へ自動送信される「予約確認メール」は、ポリシーを再確認してもらう絶好の機会です。予約内容(日時、メニュー、料金)のすぐ下に、キャンセルポリシーに関する一文を必ず含めるようにしましょう。
- 予約確認メールへの記載例:
「【キャンセル・変更について】
ご予約のキャンセルや日時のご変更は、予約日の前日18時までにお願いいたします。
期限を過ぎてからのご連絡、および無断キャンセルの場合は、規定のキャンセル料が発生いたしますのでご注意ください。
▼キャンセルポリシー詳細はこちら
[ポリシーページのURL]」
さらに効果的なのが、予約日の1日~3日前に送信する「リマインドメール」やSMS(ショートメッセージサービス)です。うっかり忘れによるキャンセルを防ぐ効果があるだけでなく、ここでも再度キャンセルポリシーに触れることで、期限が迫っていることをお客様に優しく念押しすることができます。リマインドメールに「ご都合が悪くなった場合は、本日〇時までにご連絡ください」と具体的な期限を記載すると、お客様は行動を起こしやすくなります。
ステップ3:予約時に同意チェックボックスを設ける
キャンセルポリシーの効力を法的に最も確実なものにするのが、予約時に「同意」の意思表示を得るステップです。これはオンライン予約において特に有効な方法です。
- チェックボックスの設置:
予約情報を入力し、最終的に「予約を確定する」ボタンを押す直前に、以下のようなチェックボックスを設置します。
「□ キャンセルポリシーに同意する」
このチェックボックスにチェックを入れないと予約ボタンが押せないように設定します。「キャンセルポリシー」の文言には、ポリシー詳細ページへのリンクを貼っておくのが親切です。
このステップを踏むことで、お客様は能動的にポリシーを確認し、その内容に合意した上で予約を完了した、という明確な記録が残ります。
万が一、キャンセル料の支払いを拒否されるなどのトラブルが発生した場合でも、「ご予約時にポリシーにご同意いただいております」と、事業者側は正当性を主張することができます。
これは、お客様との無用な論争を避け、ビジネスを法的に守るための強力な盾となります。
口頭での予約受付がメインの場合でも、初回来店時にポリシーをまとめた書面に目を通してもらい、署名をいただくといったアナログな方法も有効です。
まとめ│キャンセルポリシーは、ビジネスと顧客を守る「信頼の架け橋」である

この記事では、「キャンセルポリシーとは何か」という基本的な問いから、その法的な根拠、作成に必要な5つの必須要素、そして美容サロン、治療院、飲食店、スクール、クリニックといった7つの主要な業種別に、そのまま使える具体的な例文まで、包括的に解説してきました。
さらに、作成したポリシーをお客様にスムーズに伝え、同意を得るための実践的な3つのステップについてもご紹介しました。
改めて強調したいのは、キャンセルポリシーが単にキャンセル料を請求するための、冷たい規則ではないということです。それは、あなたのビジネスの価値を守る「盾」であると同時に、サービスを真剣に求めるお客様との健全な関係を築くための「信頼の架け橋」なのです。
明確で公平なポリシーを事前に提示することは、あなたのサービスに対する真摯な姿勢をお客様に示すことに他なりません。それは、「私たちは、お客様一人ひとりのために、時間とリソースを大切に準備しています。
だからこそ、お客様にもそのお時間を大切にしていただきたいのです」という、静かですが力強いメッセージとなります。このメッセージは、安易なキャンセルを抑制するだけでなく、あなたのビジネスの価値を理解し、尊重してくれる優良な顧客を引き寄せる効果さえ持っています。
本日ご紹介した例文は、あなたのビジネスに合わせてカスタマイズすることで、すぐにでも活用できるものです。ぜひ、自店の客層、サービスの価格帯、予約の混雑状況などを考慮し、最もフィットする言葉を選び、あなただけのポリシーを完成させてください。
そして、完成したポリシーを、Webサイトや予約メール、そしてお客様との対話の中で、自信を持って伝えていきましょう。
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