整体院は、健康志向の高まりから需要が増えている業界ですが、一方で開業して間もなく廃業に追い込まれるケースが多いのも事実です。
立地条件や広告宣伝の仕方、同業者との差別化など、整体院経営には様々な成功のカギがあります。しかし、これらのポイントを押さえられずに失敗してしまう開業者が後を絶ちません。
一体、整体院が失敗しやすい理由はどこにあるのでしょうか。また、開業から軌道に乗せるには、どのような対策が必要になるのでしょうか。
そこで今回は、整体院は失敗しやすいと言われる理由と、整体院を成功させるための対策について解説します。
整体院の開業が失敗する原因は?
なぜ、整体の開業は失敗してしまうのでしょうか?以下では、整体院の開業が失敗する原因について詳しくご紹介します。
周辺に同業他社が多い
周辺に同業他社が多い場合、お客様が分散してしまい十分な売り上げを期待できない可能性があります。
あん摩、マッサージおよび指圧を行う施術所 | 18,155 |
鍼および灸を行う施術所 | 32,103 |
あん摩、マッサージおよび指圧、鍼ならびに灸を行う施術所 | 33,966 |
その他の施術所 | 2,660 |
柔道整復の施術所 | 50,919 |
合計 | 137,803 |
出典:厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、「あん摩、マッサージおよび指圧を行う施術所等数」は、合計14万もの施術所があることがわかります。
コンビニ7社の店舗数は「55,713 店舗」(令和3年12 月末時点)であり、コンビニの3倍もの同業他社がいることがわかります。
参考:日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計調査年間集計」
このように、たくさんのライバルがいるため、集客がうまくいかず廃業する可能性が高いのです。
悪い口コミが多い
近くに1箇所以上の整体院があるお客様は、どの整体院に行くかを比較して来店します。
比較指標として「口コミ」をよく見るお客様は多く、Googleマップなどにある口コミ評価をチェックされていると考えていいでしょう。
悪い口コミが散見されるお店と、「すごく丁寧な施術だった」といい口コミがある整体院では、必ず後者が選ばれます。
整体院に悪い口コミがあると、選ばれないお店になってしまうことを覚えておきましょう。
ターゲットを絞っていない
ターゲットを絞れていない曖昧な経営をしている場合も、お客様に選ばれない可能性があります。
ターゲットとは、マーケティング用語で「来店されることを想定できる顧客のこと」。ターゲットを明確にすることで、ターゲットにあったメニューや料金を決めることができます。
例えば、オフィス街にある整体院で「高齢者にあったメニュー」を出している場合、ターゲットの分析が足りていないです。
周辺に住んでいる人はどんな人なのか、どんなメニューがあれば来てくれるのかなど分析をしっかり行わないと、効果的な集客はできません。
お客様に知ってもらえていない
整体院を開いていたら勝手にお客様が来てくれると思っている人もいるのではないでしょうか。
そもそも整体院であることがわかりにくい外観であることや、奥まったところにあり立地が悪いなどの原因でお客様に存在を認知されていない可能性もあります。
また、仮に特別なスキルを持っていたとしても、お客様に知ってもらえていないのなら、せっかくのスキルを発揮できず、もったいない状態になってしまいます。
スキルが足りない
初めて来てくれるお客様は多いけれど、リピーターが少ないという整体院は、単純に他店と比べてスキルが足りていない可能性があります。
「前に行ったXXのほうがやっぱりよかったわ」とお客様が思ってしまうと、次はありません。お客様が施術後に満足いかない表情をしている場合は、スキルが足りない可能性が高いですよ。
コミュニケーションを疎かにしている
コミュニケーションを疎かにしている場合、「感じが悪い」「適当に返事をされた」と悪い印象を与えてしまうこともあります。
また、適当に会話をしているとお客様の要望を聞き逃し、理想と現実がかけ離れた施術をしてしまうことも。
コミュニケーション不足はお客様の満足度低下に繋がってしまうことを覚えておきましょう。
整体院の運用資金が少ない
整体院の運用資金が少ない場合、備品や家賃を払うことで精一杯な経営を行ってしまいます。
運用資金が足りないと、マーケティングや予約システムなどにかける資金がなく、お客様を増やせないことも。また、お客様にお店を知ってもらうための期間はどうしても低収入になってしまいます。初月から莫大な利益がでると考えていると、見通しが甘く短期間で開業を失敗してしまうでしょう。
そもそもどのくらい?整体院の廃業・倒産件数
整体院の廃業率は95%を超えると言われていますが、具体的な根拠を示すデータはありません。
以下では、根拠のあるデータをご紹介し、整体院の廃業・倒産件数についてご紹介します。
出典:新日本法規「特別企画:整骨院・療術・マッサージ業者の経営実態調査」
新日本法規「特別企画:整骨院・療術・マッサージ業者の経営実態調査」を見てみましょう。整体院・療術・マッサージ業者の倒産件数は、年々増加していることがわかります。
特に、2016年からの倒産件数は徐々に伸びており、医療職であっても経営はうまくいくとは限らない様です。
整体院の開業で失敗しないための7つの対策
「整体院の開業をするつもりだったけれど自信がなくなってしまった」という人もいるのではないでしょうか。
整体院の開業を成功させるためには集客を行う真摯な姿勢が大切です。やるべきことをしっかりやっていれば、お客様からの評判がいい整体院にすることも可能です。
以下では、整体院の開業で失敗しないための7つの対策についてご紹介します。
自分の整体院の強みを明確にする
すでにご紹介した様に、お客様は同地域の同業他社と比較して、来店する整体院を選んでいます。そのため、お客様に「猫背を改善することが得意です」「腰痛なら任せてください」のように、アピールする必要があります。
自分の整体院の強みがわかっていないとお客様にアピールすることはできません。
まずは、他の整体院と比べて何が優れているか、何を重視しているのかを明確にしましょう。
悪い口コミと真摯に向き合う
悪い口コミに「なんでそんなことを言うんだ!」と反論するのではなく、真摯に向き合い改善していく姿勢が大切です。
例えば「時間通りに来たのに10分も待たされた。最悪」などという口コミが来たとき、
- 原因と対策を従業員全体で話し合う
- お客様に不快な思いをさせたことを謝罪する
- 今後の対応や、改善策を伝える
などと誠意ある対応を行いましょう。
悪い口コミが来ると落ち込んでしまう気持ちもわかりますが、成長するためのいい機会であると受け止めるといいですね。
以下の記事では、口コミに対する対応や実際の例文なども解説していますので、参考にしてみてください。
ターゲットを絞る
整体院に来てくれると想定するお客様(ターゲット)を決めていない整体院は、まずはターゲットを決めましょう。
ターゲットは、年齢・性別・趣味嗜好・整体院に使用できるお金・給料などを深く掘り下げて決める必要があります。
ターゲットを絞っていないと誰にも魅力的でない整体院になってしまいます。以下では例を使って、ターゲットを決めることの重要性をご紹介します。
- 20代をターゲットにしたお店
- 30代をターゲットにしたお店
- 40代をターゲットにしたお店
- 20〜40代をターゲットにしたお店
上記の様なターゲットを絞ったお店があったとき、20代は20代をターゲットにしたお店、30代は30代をターゲットにしたお店を選びます。
そのため、20〜40代をターゲットにしたお店は、どの年代からも選ばれません。こちらの例は年代というひとつの属性で絞った極端な例ですが、このようにターゲットを絞っていないと誰にも選ばれないお店になってしまいます。
まずは、自分の整体院によく来てくれる人の属性を分析し、その属性にあったメニューや内装、マーケティングを行いましょう。
SNSやホームページでマーケティングを行う
整体院の開業で失敗しないためには、SNSやホームページを活用したマーケティングが重要になります。
SNSでは、自院のサービス内容や施術の様子、スタッフ紹介など、整体院の魅力を効果的に発信できます。投稿をこまめに行うことで、顧客とのコミュニケーションを密に取ることができ、リピーター獲得に つなげられます。
また、ホームページでは施術メニューや価格設定、アクセス方法などの基本情報を掲載するだけでなく、予約フォームの設置や施術の流れの解説など、顧客の利便性を高める工夫が求められます。
日々自己研鑽を行う
医学の進歩は盛んで日々新しい研究成果が発表されています。現状のスキルや知識に甘んじていると、努力をしている人に一瞬で抜かされ「他のお店がいい」と言われる結果になってしまいます。
現状の満足するのではなく、日々自己研鑽を行いましょう。
自分に足りないスキルを身につけたり、すでに持っているスキルを極めたりして、毎日勉強を行ってみてはいかがでしょうか。
コミュニケーションを勉強する
整体院の開業を成功に導くためには、お客様とのコミュニケーションを大切にする必要があります。
単にテクニックが優れているだけでは不十分で、お客様一人ひとりの症状や体調に真摯に耳を傾け、寄り添った対応が求められます。施術前のカウンセリングでは、じっくりと要望を聞き出すことが大切です。
また、施術中や施術後にも、お客様の不安や疑問に丁寧に答えるなど、きめ細かいコミュニケーションが信頼関係の構築に繋がります。
さらに、SNSやメール、お手紙などを使って、定期的に体調フォローをすることも有効です。温かみのあるコミュニケーションにより、お客様の満足度は格段に向上するはずです。
予約システムを導入する
ネットでスムーズに予約できる現代、わざわざ電話をかけて予約をすることはハードルが高い人も多いです。
電話やメールではなく、ネットで簡単に予約できる様にネット予約システムを導入しましょう。ネット予約システムは、予約・キャンセルなどをすべてネット上で完結できるため、予約にかける労力が減る点もポイント。
ネット予約システムを導入したい人は、予約システムアプリ tol(トル)がおすすめです。 tol(トル)は、ネット予約や予約管理、顧客管理などをスマホひとつでできる優れたアプリ。いつでもどこでも予約を確認できるので、出先でも安心です。
基本的な予約機能は無料で使用できるため、多くの整体院・サロンに愛されています。
詳しい内容を知りたい人は、公式サイトをチェックしてみてくださいね。
>>「予約システムアプリ tol(トル)」の公式サイトはこちら
整体院の開業で失敗しないように日々努力を積み重ねよう
いかがでしたか?
本記事では、整体院の廃業・倒産件数や、失敗する原因、その対策について詳しくご紹介しました。
整体院の開業で失敗する原因は努力や工夫をしっかりと行うことで解決できます。もちろん、整体のスキルを身につけ磨くことは大切ですが、それ以外のコミュニケーションスキルやマーケティングなどの経営スキルも身につけることも重要です。
本記事でご紹介した、整体院の開業で失敗しないための対策を行い、経営を成功させてみてはいかがでしょうか。
コメント