エステサロンの経営には、開業時の初期費用や、運営に必要な設備投資など、さまざまな費用がかかります。それらの費用負担を軽減するために、補助金や助成金の活用が現在注目されています。補助金や助成金は、国や自治体などが行っている支援制度の一つで、条件を満たせば返金の義務なしで資金を受けることができます。
そこで今回は、エステサロンで使える補助金・助成金をご紹介します。自分のサロンに合ったものを見つける参考にしてみてください。
補助金と助成金との違いは?
補助金・助成金という言葉を知っていても、それぞれの違いを知らない人も多いのではないでしょうか。補助金・助成金は、管轄・目的だけではなく、給付される金額や要件の厳しさなどが異なります。
まずは、補助金・助成金の違いをチェックしてみましょう。
補助金 | 助成金 | |
管轄 | 経済産業省 | 厚生労働省 |
目的 | 国や自治体の政策のため(例:クリーンエネルギー自動車導入促進補助金) | 労働者のため(例:雇用調整助成金) |
給付金額 | 100万〜10億円程度(高額) | 10万〜1000万円(少額) |
要件の厳しさ | 審査される | 要件を満たせば受給可能 |
返済の有無 | 返済なし | 返済なし |
エステサロン開業・運営に使える補助金
まずは、エステサロン開業・運営に使える補助金をご紹介します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、制度変更に対応する小規模事業者を支援する補助金です。採択率が高いため、比較的取りやすい補助金であるといえます。
補助金は後払いであり、課税対象になることを注意しておきましょう。
小規模事業者持続化補助金の要件は
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業と見なされるエステティック業では、常勤の授業員が20人以下である
- 課税所得の直近3年間の平均額が15億円を超えていないこと
などです。他の補助金と比べて要件が満たしやすいため、エステサロンにおすすめの補助金ですよ。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは。その名の通り、中小企業が事業を再構築を行うことを支援する補助金です。事業の再編や、業態・業種転換を行い、エステサロンを新たに始めたいと思っている人におすすめの補助金です。
事業再構築補助金の要件は、簡単に言うと
- 事業再構築を行っていること
- 事業計画を金融機関などと策定していること
- 補助事業終了後3〜5年で、付加価値額を従業員数で割ったものが年平均成長率3.0~5.0%であること
などがあります。つまり、元々エステサロンを営んでいる人は使用できない点に注意しましょう。
対象となる経費は以下があります。
- 建物費
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 外注費・専門家経費
- 広告宣伝費・販売促進費
- 研修費
参考:事業再構築補助金「第12回公募の概要」
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、制度変更の対応が強いられている中小企業を支援する補助金です。サービスの開発や施設投資などに対して支援してもらえます。
ものづくり補助金の事業計画書の策定および実行をした中小企業個人が要件を満たすことが可能です。事業計画書に必要事項を示し、実施していくことが必要になります。要件が未達の場合、補助金の返却をしなければなりません。
補助対象となる経費には以下があります。
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運送費
- クラウドサービス利用火
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等管理費
つまり、エステサロンに使用する機械の導入や、エステサロンで使用する原材料に使うことが可能です。
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業「公募要領(18次締切分)1.1版」
地域商業機能複合化推進事業補助金
地域商業機能複合化推進事業補助金は、商店街の活性化を目的とする補助金です。エステサロンを出店する場所が、商店街や商業施設と考えている場合は、こちらの助成金を使用できます。
地域商業機能複合化推進事業補助金は、商店街などでエステサロンを開業したい人は要件を満たすため、必要書類を提出することで応募することが可能です。
補助対象の経費には、以下があります。
- 旅費
- 会議費
- 店舗等賃借料
- 内装・設備・施工工事費
- 備品費
- 借料・損料
- 消耗品費
- 外注費
テナントを借りるお金や、内装工事などを補助してくれるため、お店の内装にこだわって出店できます。
創業者向け補助金
創業者向け補助金は、それぞれの都道府県・市町村がビジネスを始める人を応援するための補助金です。
各市町村によって申請要件が異なるため、自分の住んでいる市町村の制度をホームページなどで確認することをおすすめします。
例えば、さっぽろ新規創業促進補助金の場合、以下のような条件があります。
- 新たに会社を設立したもの
- 他の事業を営んでいないこと
- 登録免許税を支払っているもの
J-Net21の公式サイトで、創業者向け補助金がまとめて紹介されているので、自分の住んでいる自治体の補助金を確認してみてはいかがでしょうか。
エステサロン開業・運営に使える助成金
エステサロン開業・運営に使える助成金をご紹介します。以下でご紹介する助成金は、従業員がいる・従業員を雇うつもりがある人が使用できるものです。
一人でエステサロンを営んでいる人は使用できないため、注意が必要です。
両立支援等助成金
両立支援等助成金は、従業員が子育てや介護で仕事を辞めてしまう環境を変えようとしているオーナーを支援する助成金です。
「従業員に育休を取ってもらい、子育てが落ち着いたらもう一度働いて欲しい」と考えている人におすすめです。
育休取得時または職場復帰時に30万円支給など、都度支援を受けられる点が特徴です。何度ももらえるわけではなく、人数制限などはある点に注意です。
地域雇用開発助成金
地域雇用開発助成金とは、雇用機会が不足している地域で求職者を雇うオーナーを支援する助成金です。雇用機会が不足している地域には、高知県土佐市・福岡県糸島市などがあります。
- 計画書を労働局長に提出すること
- 計画書の内容を実施すること
- 創業の場合は2人、すでに創業している場合は3人以上雇うこと
などの要件があります。エステサロンを拡張したいと考えている人におすすめの助成金です。
「雇用機会が不足している地域」に自分の住んでいる地域が入っているかどうかをチェックしてみてはいかがでしょうか。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、非正規雇用の労働者を雇っているオーナーが、労働者を正社員にしたり、給料をあげたりする際に使用できる助成金です。エステサロンのオーナーのキャリアアップに使用できる助成金ではないことに注意しておきましょう。
キャリアアップ助成金には、大きく分けて正社員化支援・処遇改善支援のふたつの制度があります。
どちらのコースもキャリアアップ計画の作成が必要不可欠です。 正社員化支援・処遇改善支援コースでは、就業規則の改善や労働者の正社員化などの取り組みを実施したあと、助成金の支給申請を行えます。
従業員のキャリアアップを考えている人は、キャリアアップ助成金を確認してみましょう。
自治体独自の助成金も確認してみよう
「要件を満たす補助金や助成金がない」という人は、自治体独自の助成金を活用することをおすすめします。
自治体の助成金は、その地域に住んでいる人以外は使用することはできません。たとえば、大阪に住んでいるのに東京の助成金を使うことはできないため、注意しておきましょう。
東京都の場合、「TOKYO補助金サーチ 見える化ボード」と呼ばれるものがあり、利用者区分・補助金の分野などで絞ることが可能です。自分が使える補助金を知りたい都民は使ってみてはいかがでしょうか。
東京には、空き家を活用する中小企業支援の助成金や、クラウドファンディングを使ったベンチャー企業への助成金などがあります。
さまざまな種類の助成金があるため、自分の住んでいる自治体の助成金を調べて活用することをおすすめします。
エステサロン開業・運営に使える補助金や助成金を活用しよう
本記事では、エステサロン開業・運営に使用できる補助金や助成金をご紹介しました。
興味を持った補助金や助成金が見つかったら、公式サイトに移動して応募してみましょう。書類作成や事業の計画書の作成など、負担がかかることは多いと思いますが、自分のエステサロンのために時間を見つけて準備することをおすすめします。
本記事を参考に、エステサロン開業・運営に使える補助金や助成金を見つけて、活用してみてはいかがでしょうか。
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