ネイリストとしてキャリアを重ねるにあたって、自分のサロンを持ちたいと思うネイリストの方は多いのではないでしょうか。しかし、自分のお店を持つとなると資金面での不安や生計を立てていけるのか、不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
ネイルサロンを成功させるためには、しっかりとした計画と準備が必要です。この記事では、サロン経験なしでネイルサロンを開業するためのポイントやおすすめ資格、開業するために必要なことなどを紹介します。
サロン経験なしでもネイルサロンを開業できる?
結論、これまでネイルサロンで働いたことがない方でもネイルサロンを開業することは可能です。ネイルスクールなどで技術を学んでからすぐ独立する方も一定数います。
しかし、ネイルサロン勤務経験のある方と比べると技術や知識が少ない方も多いので、不利にならないようしっかり準備や計画を立てることがとても大切になってきます。
ネイリストとして開業するとき知っておくべきこと
ネイルサロンを成功させるには、施術はもちろん、経営も同時に行わなければなりません。
サロン経験のあるネイリストは、前の店で店の運営方法やネイル技術を磨いた状態で独立できるのである程度経営のイメージをつけられます。一方、サロン経験がないと1からのスタートのため、苦労が多いことは頭に入れておきましょう。
以下でネイルサロン経験がない場合想定される困難なポイントを紹介します。
店を継続するのは非常に難しい
ネイルサロンを開業しても、すぐに利益を出すのは簡単ではありません。開業初期は固定費などかかる一方で、お客様を集客するのに時間がかかってしまい、多くのサロンが赤字となってしまいます。
そのため、ネイルサロンは、せっかく始めても3年以内に廃業してしまう店が90%以上にも達すると言われています。
数値から見ても店を経営することの難しさがおわかりいただけたのではないでしょうか。
他のネイルサロンとの競合が多い
ネイルサロンは非常に競合の多い業界です。開業に必須資格がないため比較的参入しやすく、特に人口が多い地域で多くのお店が経営されています。
サロン経験がない状態でこのような激戦区に開業すると、お客様から技術への信頼が得られていない段階から他のネイルサロンとの競合をしなければなりません。
そのため、他店との差別化ポイントを明確にしてから店を始める、比較的競合の少ない地域から始めるなどの対策が効果的でしょう。
集客が難しい
どんなに他の店とは違うサービスを提供しても、お客様がこなければ経営は立ち行かなくなってしまいます。
しかし、サロン未経験だとブランド力もないため、最初はそもそもサロンを知ってもらうことが難しいです。
知ってもらうためにSNSやブログなどを活用して多くの人に認知してもらう努力は日々重ねる必要が出てきます。
サロン経験がないネイリストが気をつけるポイント
サロン経験がなくてもネイルサロンを始められることはご理解いただけたのではないでしょうか。
しかし、開業する上で気をつける必要があるポイントもいくつかあります。
開業目的や目標を明確にしてから始める
ネイルサロンを始める際に、将来設計をせずやみくもに始めてしまうと後々自分の作りたかった店の雰囲気とずれてしまったり、経営が立ち行かなくなったりする原因になります。
そのため、何のために開業するのか、どんな店を目指すのか、将来的にどの規模の店にしたいのかなど見通しを立てた上で開業するのをおすすめします。
他の競合サロンと差別化できる部分を作る
最近はネイルをする方が増え、それに伴いネイルサロンも多く存在します。
そのため安定した経営を行うには、固定客、新規客ともに獲得し続ける必要があります。
行ってみたい、また行きたい、と思ってもらうためには、その店ならではかつ、他の店にはないサービスをアピールするのが不可欠です。
アピールポイントは店によって異なりますが、施術の技術で勝負するのか、店の雰囲気やサービス内容で売り出すのかを決めてから開業するようにしましょう。
集客を工夫する
個人でネイルサロンを始める上で壁になりがちなのが、集客が難しい、ということです。
できるだけ多くの方に知ってもらうためには、複数手段を用いて集客するのがおすすめです。
集客方法としては、オンライン型とオフライン型があります。例えばオンライン型だと
- SNS
- ホームページやブログ
- インターネット広告
オフライン型だと
- チラシ
- 新聞広告
などが挙げられます。
どちらかに宣伝方式が偏るとお客様の層も偏ってしまいがちになるので、いくつかの手段を併用すると良いでしょう。
SNSやHPで宣伝する際には、お店の雰囲気が伝わるように一貫した投稿を心がけると効果的です。
チラシなどを作る場合は、手書きなのかアプリ等を使って制作するのかで出る雰囲気が左右されるので、お店のコンセプトと合うものを選択してみてください。
技術を高めてから開業する
サロン経験がなくてもネイルサロンを始めることは可能ですが、いざ始めると経験のあるネイリストがライバルになるため、技術がないとそれ以外の項目で勝負する必要が出てきます。
店の雰囲気やサービス内容で付加価値をつけることはもちろん大切ですが、お客様の信頼獲得のためにもスクールに通ったり資格を取ったりして技術をつけると良いでしょう。
ネイルサロンを開業する上であると便利な資格
ネイルサロンを開く上で必須となる資格は特にありません。しかし、資格を持っておくことで効率的に知識をつけられるだけでなく、お客様から見た時の技術力の証明になります。
そのため資格保有はネイルサロン開業に役立つ手段の一つと言えるでしょう。
以下で持っておくといい資格を紹介します。
ジェルネイル技能検定試験
ジェルネイル技能検定試験は日本ネイリスト協会が行っているジェルネイルの知識や技術をテストする資格です。
ネイル系の資格では定番の一つと言えるでしょう。
初級、中級、上級で構成されており級が上がるのに比例して難易度も高まります。
より高い技術力をアピールしたい場合は上級を目指すのがおすすめです。
ネイリスト技能検定試験
ネイリスト技能検定試験は日本ネイリスト検定試験センターが運営する試験です。ジェルネイル技能検定試験とともにネイリストの代表資格として知られています。
1級、2級、3級とあり1級が最も難しくトップレベルの技術や知識が求められます。
2級では「サロンワークで通用するネイルケア、リペア、チップ&ラップ、アートに関する技術および知識」が求められます。そのため、開業をするなら2級以上の取得がおすすめです。
ネイルサロン衛生管理士
ネイルサロン衛生管理士はネイルサロンの衛生面や安全面について十分な知識があるか証明する資格です。
ネイルサロンの衛生面は厚生労働省がガイドラインを定めるなど、非常に重要視されているので保有しておくとお客様の安心につながります。
講習を受け筆記試験に合格すると取得でき、早ければ1日で取得できるため初めての資格取得にもおすすめです。
フットケア理論検定
フットケア理論検定はネイリストのフットケアに対する正しい知識や技術を測る試験です。
ネイルサロン衛生管理士と同様、講習と筆記試験に合格することで取得できます。
ネイリストにとっては手の爪と同じくらいフットケアも大切になるため、自分の強みを増やすためにもおすすめの資格です。
ネイルサロン技術管理者
ネイルサロン技術管理者は、サロン運営における技術管理に関する知識だけでなく材料学についての知識も問われる資格です。
他の資格とは異なり筆記試験は特になく、講習を受講すれば取得できますが、受講するための条件が限られているのが特徴です。
- 講習会を受けるための条件
- 20歳以上
- ネイル関連の実務経験3年以上
- ネイリスト技能検定試験2級を保有
- ジェルネイル技能検定試験初級を保有
- ネイルサロン衛生管理士を保有
以上のように実務経験やいくつかの資格を保有するなどネイリストとしての広範な技術がないと取得できませんが、ネイルサロンオーナーを目指す方はぜひ取りたい資格と言えるでしょう。
ネイルサロンを開業するステップ
ネイルサロンを開業する流れは大まかに以下の通りです。
- スクールに通う・資格を取得する
- 開業場所を決める
- 資金を準備する
- 集客を行う
- 税や経営の知識をつける
- 開業届を提出する
スクールに通う・資格を取得する
独学でもネイルの勉強は可能ですが、講座を受講したり、資格を取ったりすることでより効率的に知識をつけられます。
特に資格は、経験なしのネイリストにとって自分の技術を客観的に証明する大きな要素となるでしょう。
開業場所を決める
お客様を獲得するために、どこに店を構えるかは非常に大切です。
人通りや店の間取りなどを店の雰囲気に合わせて決めましょう。
また、賃貸物件を借りるのか、レンタルスペースから始めるのかなど、資金や希望のサロン規模に合わせて経営形態も検討が必要です。
資金を準備する
サロン運営には、賃貸料などの初期費用と備品補充費などのランニングコストがかかります。
初期費用では物件の賃貸料金、敷金礼金や、内装工事費が発生します。
ランニングコストでは、ネイルに使う薬剤などの備品代や従業員を雇う場合人件費などが発生します。
これらの費用を将来的な経営計画を立てた上で準備しましょう。
集客を行う
新しくサロンを始める上で、集客は非常に重要なステップです。
できるだけ多くのお客様に認知してもらえるよう、SNSやインターネット広告、チラシなどできるだけ複数の媒体を使って宣伝しましょう。
詳しくはサロン経験がないネイリストが気をつけるポイントの「集客を工夫する」の項目をご覧ください。
税や経営の知識をつける
ネイル関係の知識を学ぶことはもちろん大切ですが、店を経営するためにはお金関係の知識も不可欠です。
たとえ小規模なサロンでも、できるだけ経費を抑えて効率的な運営をすることでお客様により良いサービスを還元できます。
独学に自信がない方は、経営ノウハウが学べるセミナー等を受講するのも良いでしょう。
開業届を提出する
ネイルサロンを経営するネイリストは個人事業主の扱いになり、毎年確定申告を行う必要があります。
開業届をサロン開始後1ヶ月以内に提出することで、確定申告で税控除が受けられます。
また、店名義のクレジットカードが作れるなどのメリットもあるのでできるだけ提出するのがおすすめです。
まとめ
ここまで、サロン経験なしでネイルサロンを開業するためのポイントやおすすめ資格、開業するために必要なことなどを紹介しました。
自分のネイルサロンを持つことで、自由な働き方ができたり自分の理想を形にできたりとさまざまな魅力があります。
経験なしでネイルサロンを始めることは可能ですが、技術の取得や経営における集客など、成功するために乗り越えたいポイントがいくつかあります。そのため、一つずつ意識しながら着実に進めることが大切です。
この記事で紹介したポイントを押さえ、計画的に準備してみてください。
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