エステサロンの広告における規制ガイドラインとは?【要チェック】

ノウハウ

エステサロン業界では、サービスの宣伝をする際に守るべきガイドラインがあるのはご存知でしょうか?例えば、お客様に誤解を与えてしまうような表現や、医療行為と勘違いされてしまうような表現が対象です。

そこで今回は、エステサロンにおいて広告や宣伝をする際に守るべきガイドラインについて徹底解説します。エステサロンのオーナー様や、マーケティング担当の方必見の記事です。

なぜエステサロンで広告表現が規制されているのか?

エステサロンが出す広告には、なぜいくつもの規制がかけられているのでしょうか。

エステサロンはたくさんのお客様を集めるために、時に大げさな表現で広告を出してしまう可能性があります。その際に、過度な広告表現によってお客様に不利益が出てしまわないよう、いくつかの法律で表現が規制されているのです。

例えば、エステサロンではお客様の体にサービスを提供しますが、それらは医療行為ではありません。そのため、医療行為のような誤解をお客様に与える広告が制限されています。

また、エステのサービスの価格についても、お客様が広告を見てお店に行きサービスを受けたものの、思っていた料金と違ったというような誤解を与えないようにしなければなりません。

エステサロンに限らず、他の業界にも共通しますが、ルールに基づいて広告を出す必要があります。

広告作成の際に気をつけるべきガイドラインとは?

それではエステサロンが広告を出す際に気をつけなければならない法律、ガイドラインはどのようなものがあるか説明していきたいと思います。

薬機法

薬機法(やっきほう)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品などの品質、有効性や安全性の確保のために必要な規制を行う法律です。

規制の対象となるのは以下の5つです。

  • 医薬品
  • 医薬部外品
  • 化粧品
  • 医療機器
  • 再生医療等製品

この法律により、行政の承認や確認、許可、監督のもとでなければ、医薬品や化粧品などの製造や輸入というような営業ができません。販売や広告に関しても細かくルールが定められています。

元々は「薬事法(やくじほう)」と呼ばれていましたが、2014年に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と変わり、略して薬機法と呼ばれています。

薬機法の中でエステサロンと関わりが大きいのは医療機器の部分だと思われます。サロンでは美容機器は扱えますが、医療機器は使用できません。また、医療機器を用いているかのような広告も出すことはできません。

医療機器とは薬機法で、「ヒトまたは動物の疾病の診断、治療又は予防を目的とし、ヒトまたは動物の構造・機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具」と定められています。

薬機法の規制となる例

レーザー脱毛器

脱毛に使うレーザー脱毛器は強さによって医療機器となるものがあるので、注意が必要です。

美容機器

また、美顔器のような美容機器はお客様の体に直接触れますが、医療機器には該当しません。ただ、疾病の治療または予防を目的とする表現は医療機器だけに許されています。

そのため、美容機器を使っているのに「シミやそばかすを除去できる」、「小顔効果がある」、「肌の新陳代謝を高める」というような体の一部に変化を与えたり、肌の機能に影響を与えたりする表現をしてしまうと、薬機法に違反する可能性が出てきます。

大袈裟な広告

薬機法の第66条では、誇大広告が規制されています。効能、効果に関して「明示的であると暗示的であるとを問わず」という一文があるので、エステサロンが使う表現にも注意が必要です。

例えば「アンチエイジング効果がある」、「30分でシワが消える」というような表現は使えません。

また、薬機法の第68条では、承認前の医薬品、化粧品、医療機器などの効果の広告を禁止しています。エステサロンでは医療機器は使えませんが、それでも「細胞が若返る」、「脂肪が分解される」といった表現は避けた方が良いです。

もう一つ、エステサロンでは化粧品を販売するケースがあると思います。化粧品についても、広告でお客様に誤解を与えないような表現が必要になります。

医師法

医師法は医師の職務や資格などの全般を規定する法律です。

医師免許を持たない人が医療行為をすることができないということも定められています。エステサロンのエステティシャンもその対象です。

そのため、エステサロンの広告に関する部分では、医療行為だと誤認される表現は規制の対象となります。例えば、「治す」、「効く」、「療法」、「永久脱毛」、「部分痩身」など、これらの表現は医師法に反する可能性があります。

医師法の規制となる例

痩身エステでの施術

治すというのは医療行為に該当します。「部分痩身」というように体の一部が確実に痩せるという表現も脂肪吸引といった医療行為が関係するので言葉を変えるべきでしょう。

脱毛サロンでの施術

脱毛を行うエステサロンでは特に注意が必要です。レーザーを用いた脱毛は医療行為であり、医師免許を持たない人が営業で行うと医師法違反となります。

厚生労働省は2001年に脱毛の医師法適用について、「用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為」と通達しました。

背景には、当時は強力なレーザーを用いた脱毛で火傷などの皮膚への健康被害が数多く報告され、医師免許を持たない人がレーザー脱毛の機器を使って施術していたという状況が多かったということがあります。

エステサロンでできるのは、除毛や毛を減らすことを目的に毛の幹細胞を破壊しない程度の光をあてて脱毛する光脱毛です。一方、高い脱毛効果を得るために強力なレーザーをあてて毛を作る細胞を破壊するのは、人体の組織を壊す医療行為にあたります。

現在は脱毛機器の改良やエステサロン経営者の医師法への理解も進んだことから、医師法違反や健康被害の事例も減ってきています。

ただ、現在もエステサロンで脱毛のサービスを提供する際は、使用する機器が医療行為にあたらないものか、広告で使っている表現は医療行為を連想させないかといった注意は必要です。

あはき法

あはき法とは、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」の略称です。

あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうの営業をするためには国家試験の合格や免許の交付が必要などということが定められています。

エステサロンの広告で関わりがあるのは「マッサージ」の部分です。マッサージを行えるのは「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格試験に合格した人のみなので注意が必要です。

ハンドエステを提供するサロンでは、マッサージという表現を使いたくなってしまうかもしれませんが、トリートメントやリラクゼーションというように言い換えた方が良いです。

景品表示法

景品表示法は、不当景品類及び不当表示防止法の通称です。

事業者は自らの商品やサービスが魅力的であるように広告などで消費者にアピールしますが、それが虚偽や誇大だった場合、公正な競争が阻害されたり、消費者の選択に悪影響を及ぼしたりするおそれがあるため、それを規制する法律です。

商品の販売につけられる賞金や賞品といった景品についても規定されています。

エステサロンも対象となり、実際よりも良く見せかけることや過大な景品をつけることは規制されています。一般的な宣伝をイメージする広告に加えて、ホームページの表現や看板、店頭販売商品の説明文なども該当するので気をつけたいところです。

景品表示法で理解しておくべき「優良誤認」と「有利誤認」について説明します。

優良誤認(景品表示法第5条第1号)

優良誤認表示とは、事業者自身の商品やサービスの品質が実際よりも優れていると偽って広告したり、他の業者よりも特段優れていないのに優れているかのように偽って広告する行為のことを言います。

法律では、一般消費者に対して下記のものによって不当に顧客を誘引し、消費者の合理的な選択を阻害することを禁止すると記載されています。

  1. 実際のものよりも著しく優良であると示すもの
  2. 事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

また、故意ではなくても、誤って表示した場合も規制の対象となるので注意が必要です。

優良誤認広告の例

エステサロンの場合は、一般的には何度も通うことで得られる効果を1回で実感できるように表現することや、業界トップ、地域トップのような根拠に乏しいのに一番であることをうたう表現は違反となります。

有利誤認(景品表示法第5条第2号)

有利誤認表示とは、事業者自身の商品やサービスが実際よりも有利(安い)と偽って広告したり、他の業者の商品やサービスよりも特に安いわけではないのに、かなり安いかのように偽って広告する行為のことを言います。

法律では下記のように禁止されています。

  1. 実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
  2. 競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

こちらも優良誤認と同様に、故意ではなく、誤って表示した場合も違反とみなされるので注意しましょう。

有利誤認広告の例

エステサロンでは、二重価格や期間が不明確な割引表示は有利誤認表示にあたるおそれがあります。

二重価格は、通常10000円の商品を5000円で販売するというように価格を比べて安く表示することですが、通常価格で販売した実績がない場合や、販売した期間が短かったり古かったりすると有利誤認違反となる可能性があります。

また、期間を明示しないで「今なら〇〇円」という表現をしたり、「12月中なら20%割引」としながら期間終了後も継続したりすると有利誤認とみなされる可能性があります。

ガイドラインに違反してしまった場合はどうなる?

上記の法律に違反していることが判明した場合は、警察の捜査や消費者庁による調査の対象となります。

エステサロンの経営者が警察に逮捕されるのは、医師法違反のケースが多いです。医師免許を持たずに医療行為にあたるレーザー脱毛など機器の光の出力が強いものを使って営業していた場合です。

消費者庁が調査する景品表示法違反では、違反のおそれがある場合は指導があり、違反が認められた場合は措置命令が行われます。

優良誤認表示と有利誤認表示については、課徴金の対象となる場合があります。

ガイドラインに沿った広告作成のポイント

それでは、法律に違反しない広告を作るために注意すべきなのはどのようなポイントがあるのでしょうか。

ビフォーアフターの写真に気をつける

まず、根拠のないビフォーアフター写真には気をつけましょう。エステサロンでは効果を伝える有効な手段として広告に写真を使うケースは数多くあると思います。

しかし、数値を偽ったり、画像を加工したりして虚偽の広告を作ることは規制の対象となります。

単純な施術前後の写真だけではなく、施術内容や時間、期間や回数、施術を行った人のその間の食事などの生活習慣というように、効果を得るために要した合理的根拠を示すことが重要です。

広告に根拠があるかを意識する

広告には根拠があるかどうかを意識しましょう。

効果を示す際にはデータや論文などの資料を引用する方法もありますし、1番、1位というような他者との比較を用いる場合はいつ、どこで、どのようになったのかを示す必要があります。

割引などのキャンペーンを広告に記載する時も、今だけというような曖昧な表現は使わず、具体的に期間を書きましょう。

チェックツールやガイドブックを活用する

誤りがないかを確認するために、広告の表現に関するネットなどのチェックツールを利用するのも一つの手段です。

エステサロンが使う言葉では、医療行為とならないようにトリートメントと表記するようにいくつか言い換え可能な用語があります。

一般社団法人日本エステティック振興協議会が、ガイドブック「エステティックの広告表記に関するガイドライン」を発行しているので、参考にするのも良いと思います。

エステサロンにおすすめな集客方法

広告はお客様にエステサロンのことを知ってもらうための有効な手段です。法律などのガイドラインをしっかり守ったうえでお客様にアピールしましょう。

広告による集客方法としては、地元のフリーペーパーなどへの広告、SNSやWebのリスティング広告、美容のポータルサイトへの登録などが挙げられます。

この中でもインスタグラムやLINE、X(旧ツイッター)といったSNSを活用した集客は必須と言えます。フォロワーが多いお客様がサロンのことを投稿してくれれば、それが広告と同様の効果になります。

エステサロンにおすすめの集客方法について、以下の記事でも解説しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

エステサロンの広告にはいくつも関連する法律、ガイドラインがあり、気をつけなければなりません。難しいと感じる部分もあるかもしれませんが、根拠を示すことや過度な表現に気をつければ違反することはないと思います。

適切な広告表現を使って、お客様に選ばれるサロンになってください。

この記事がエステサロンを経営または開業される方の一助になれば幸いです。

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