資格なしのネイリストは違法になる?違法になりうるケースやおすすめの資格もご紹介

ノウハウ

ネイルサロンでおしゃれなネイルアートを楽しむ人が増えていますが、ネイリストの資格についてはあまり知られていないのが現状です。「ネイリストって国家資格が必要なの?」「無資格でネイルサロンに勤めるのは大丈夫なの?」と疑問に思う方も少なくないでしょう。

そこで今回はそんなネイリストの資格の必要性や、どのようなケースで違法になる可能性があるのかなどを詳しく解説していきます。

ネイリストは資格がないと違法になる?

ネイルサロンのイメージ画像

ネイリストを目指したり、ネイルサロンを開業したりする時に資格が必要かどうか疑問に思う方もいますが、結論から言うと資格は特に必要ありません

資格を持たずに営業しても違法となることはありませんのでご安心ください。

ネイリストには、美容師が必要とされるような国家資格はなく、民間団体が認定している資格はあります。お客様からの信頼度を高めるためには、民間の資格を取得して技術や知識の高さをアピールするのも選択肢となります。

ネイルサロンを開業する場合も、民間の資格を持つネイリストがいることをホームページに記載したり、店頭に掲示することはお店の質の高さを証明することにもつながります。

ネイリストにおすすめな資格ネイリストの資格

ネイリストに向けて、民間団体が認定している資格をいくつか紹介します。

JNECネイリスト技能検定

JNECネイリスト技能検定は、公益財団法人「日本ネイリスト検定試験センター(略称JNEC)」が認定している資格です。

国際的に通用するネイリストの育成を目指して、正しい技術と知識の向上を目的とした資格で、30年近い試験の実施と100万人近い受験者実績があります。

1級が最高位で、1級、2級、3級の3段階があり、受験は飛び級はできず、3級から一つずつステップアップしていきます。

受験内容合格率
3級ネイリストとしてネイルケアやネイルアートに関する基本的な技術や知識約85%
2級サロンワークで通用するネイルケア、リペア、チップ&ラップ、アートに関する技術や知識約43%
1級トップレベルのネイリストとして必要とされる総合的な技術および知識約39%
JNECネイリスト技能検定の級ごとの表

JNAジェルネイル技能検定

JNAジェルネイル技能検定は、NPO法人「日本ネイリスト協会(略称JNA)」がネイルの正しい知識と安全な技術の確立を目指し、お客様が安心して施術を受けられる健全なジェルネイルの普及を目的に実施している検定試験です。

日本ネイリスト協会は1985年に設立され、検定試験を実施してきました。

プロネイリストとしてサロンワークでジェルネイルを施術するのに必要な理論と技術の修得が判断されます。

上級を最上位として、中級、初級の3段階に分けられ、筆記試験と実技試験で判定されます。

試験内容合格基準
初級ネイルケアのベーシックマスターとジェルネイルを実施するために必要な基礎的知識と技術筆記試験と実技試験の両方が100点満点のうち80点以上
中級ネイルケアとジェルネイルを施術するためにプロとしてサロンワークに必要な専門的知識と技術筆記試験は100点満点のうち80点以上、実技試験は100点満点のうち70点以上
上級ジェルネイルのスペシャリストとして必要とされる総合的知識と技術1筆記試験と実技試験の両方が100点満点のうち70点以上
JNAジェルネイル技能検定の級ごとの表

I-NAIL-A技能検定

I-NAIL-A技能検定は、NPO法人「インターナショナルネイルアソシエーション(略称I-NAIL-A)」が認定している資格です。

「ネイルスペシャリスト技能検定」と「ジェルネイル技能検定」の試験を実施しています。このほか、ネイルサロンにおける衛生管理、高齢者施設でのネイルサービスや障害者福祉、医療現場でのネイルの活用などにも力を入れています。

ネイルスペシャリスト技能検定

ネイルスペシャリスト技能検定は、学生、初心者を対象としたA級、SA級と、プロフェッショナルを対象としたPA、AA、AAA級があり、5段階に分かれます。いずれの試験も、学科試験と実技試験で判定されます。

A級、SA級は、ネイルケア、カラーリング、チップオーバーレイの基礎が問われ、PA級、AA級、AAA級はネイルケアネイルチップ、スカルプチュア(クリア・フレンチ)、カラーリング(マット赤・ホワイトパール)についてプロの技術が求められます。

ジェルネイル技能検定

ジェルネイル技能検定試験は3級、2級、1級の3段階に分かれます。受験はステップアップ方式で、3級は学科試験と実技試験の合格で認定、2級と1級は実技試験の合格で認定されます。

3級はネイルケア、プレパレーション、コーティング(クリア)、カラーコーティング(マット赤)。

2級はネイルケア、プレパレーション、チップオーバーレイ、カラーコーティング(パールホワイト)。

1級はネイルケア、プレパレーション、スカルプチュア、カラーコーティング(フレンチ)の技術を問われ、いずれの級も80点以上で合格となります。

ネイリストが違法になる可能性がある?

ネイリストに資格は必要ありませんが、間違った営業をすると違法になってしまう可能性があります。違法になるケースと注意点について解説します。

無資格で美容室で施術を行った場合

ネイルの営業が違法となるケースの一つは、美容室で美容師免許を持たないネイリストがネイルの施術を行った場合です。

美容室では、美容師法でお客様の体に触れてサービスを提供できるのは美容師免許を持った美容師だけとされています。そのため、美容室として届け出た場所で、免許を持たない人がネイルのサービスをすると違法になります。

ネイリストの民間団体の資格を持っているかどうかは関係なく、美容師免許が必要となります。

美容師がカットやシャンプーに加えて、ネイルのサービスもするというのは問題ありません。

ネイルを通して爪の病気を治すなどの表記をした場合

ネイルサロンのサービスで爪の病気を治すなどの表記をした場合も違法となる可能性があるので注意が必要です。

爪の変色や変形など、ネイルサロンを利用するお客様の中には爪のトラブルを抱えている人もいます。爪の先で菌が繁殖してしまい、緑色になるグリーンネイルを発症することもあります。

そうしたお客様に対し、例え良い薬や治療法を知っていたとしてもネイルサロンで病気を治すというような表記を広告や店頭で行った場合は違法となります。

理由は薬機法や医師法が関わるためです。

薬機法(やっきほう)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品などの品質、有効性や安全性の確保のために必要な規制をする法律です。

医薬品の販売や広告にも細かくルールが定められており、誇大広告については効能、効果に関して「明示的であると暗示的であるとを問わず」規制されています。そのため、ネイルのサービスに関連して病気を治すというような表記はできません。

医師法は医師の職務や資格などの全般を規定する法律です。

医師免許を持たない人が医療行為をすることができないということも定められています。広告についても、医療行為だと誤認される表現は規制の対象となります。

ネイルサロンで爪を治すというのは医療行為と誤認される表現になります。実際に爪の病気を治すのは基本的に皮膚科の医師になるので、無免許のネイリストは関わることができません。

根拠なく地域No.1という宣伝をした場合

ネイリストは他店よりも優れたサービスを提供できるとアピールすることも必要ですが、根拠がなく「地域で1位」というような宣伝をすると違法となるケースがあります

これには景品表示法という法律が関係します。

景品表示法は、不当景品類及び不当表示防止法の通称です。事業者が商品やサービスが魅力的であるように広告などで消費者にアピールする際、それが虚偽や誇大だった場合に消費者の選択に悪影響を及ぼすおそれがあるため、それを規制する法律です。

その中に優良誤認という項目があり、他の業者よりも特段優れていないのに優れているかのように偽って広告する行為が規制されています。

具体的な根拠に乏しいのに、ネイルサロンが地域トップのような一番であることをアピールする表現は違反となります。

期間を決めず期間限定価格で提供した場合

また、ネイルサロンで期間が未定なのに月末まで割引というような限定価格を表示すると、違法となる可能性があります

景品表示法では、有利誤認表示も規制されています。有利誤認表示とは、事業者自身の商品やサービスが実際よりも有利(安い)と偽って広告したり、他の業者の商品やサービスよりも特に安いわけではないのに、かなり安いかのように偽って広告する行為のことを言います。

期間を明示しないで「今なら〇〇円」という表現をしたり、「3月中なら30%割引」としながら期間終了後も継続したりすると有利誤認とみなされる可能性があります。

優良誤認も有利誤認も、故意ではなく誤って表記した場合も違法となるので注意しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ネイリストになるためには特に資格は必要ないので、技術があれば誰でも始めることができます。また、民間団体が認定している資格取得は、お客様の信頼度を高めるうえでプラスになります。

無資格でもなれますが、営業にあたってはいくつか気をつけなければならない法律があるので注意しましょう。

この記事がネイリストを目指す方、営業されている方の一助になれば幸いです。

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