ネイルサロンでキャッシュレス決済を導入すると、スムーズな会計やポイント還元によって、お客様と店舗側の双方にメリットが得られます。
しかし近年はキャッシュレス決済の種類が増えているため「どんな種類のキャッシュレス決済を導入したら良いのかわからない」「導入方法が難しそう」などのお悩みを抱える経営者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、ネイルサロンで導入したいキャッシュレス決済の種類や注意点について解説します。
ネイルサロンで導入したいキャッシュレス決済の種類
現在、日本のみならず世界中でキャッシュレスでの決済が増加しています。
経済産業省の調査によると、日本国内の2023年のキャッシュレス決済比率は堅調に上昇し、39.3%(126.7兆円)となっています。
そこで今回は、ネイルサロンで導入したいキャッシュレス決済の種類を紹介します。
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、日本国内で最も普及している決済方法であり、利用頻度も高いキャッシュレス決済です。
ネイルサロンでクレジットカード決済を導入することで、お客様の利便性が向上し、新規顧客の獲得や売上アップにつながる可能性があります。
主要なクレジットカードの国際ブランドには、以下のようなものがあります。
- VISA(ビザ)
- Mastercard(マスターカード)
- JCB(ジェーシービー)
- American Express(アメリカンエキスプレス)
- Diners Club(ダイナースクラブ)
- 銀聯(ぎんれん)カード
- ディスカバーカード
2023年の一般社団法人日本クレジット協会の調査結果によると、20歳以上の日本人は1人あたり約3枚のクレジットカード所持しています。
このデータからも、クレジットカード決済の普及率と保有率の高さがうかがえます。多くの顧客がクレジットカードを利用している現状を踏まえると、ネイルサロンにおいてクレジットカード決済の導入は必須といえるでしょう。
電子マネー決済
電子マネー決済を導入することで、ネイルサロンは18歳以下の若年層や収入のない主婦層などの新たな顧客の獲得が期待できます。
電子マネーの利用には審査が不要で、収入がなくても利用できるという特徴があるため、クレジットカードを持たない層にもアプローチが可能になります。
主な電子マネー決済の種類は、以下の通りです。
- iD
- QuickPay
- WAON
- nanaco
- Suica
- PASMO
電子マネー決済は、大きく分けて流通系と交通系の2種類に分類されます。流通系には、イオングループのWAONやセブン&アイグループのnanacoなどがあり、交通系には、JR東日本のSuicaや首都圏の主要私鉄・バス会社などで導入されているPASMOなどがあります。
これらの電子マネーは、全国のコンビニエンスストアやスーパーマーケット、自動販売機など、日常生活で広く使われています。ネイルサロンが電子マネー決済を導入することで、お客様の決済方法の選択肢が広がり、来店頻度の向上につながる可能性があるでしょう。
QRコード決済
QRコード決済は、スマートフォンの決済アプリとQRコードまたはバーコードを利用した、近年急速に普及している決済方法です。コード決済やスマホ決済とも呼ばれています。
主なQRコード決済の種類は、以下のとおりです。
- 楽天ペイ
- PayPay
- メルペイ
- auPay
- J-Coin Pay
- AEONPay
QRコード決済は、利用者と導入店舗の両方にとって参入のハードルが低く、利便性が高いのが特徴です。
利用者は、自身のスマートフォンにインストールした決済アプリを使うだけで決済が完了します。一方、店舗側も専用のカードリーダーなどの設備を導入する必要がなく、QRコードやバーコードを提示するだけで済むため、導入コストを抑えられます。
また、QRコード決済は、キャッシュレス決済の中でも手数料率が比較的低く、店舗側の負担が少ないことも魅力の一つです。
ネイルサロンにおいてQRコード決済を導入することで、幅広い年齢層の顧客に対応でき、利便性の向上と売上アップが期待できるでしょう。
ネイルサロンでキャッシュレス決済を導入するメリット
そもそもキャッシュレスを導入するか迷っている方もいらっしゃるかもしれません。ネイルサロンでキャッシュレス決済を導入するメリットは、複数あります。ここでは導入に関して悩んでいる方に向けて、メリットを紹介します。
客単価アップが見込める
キャッシュレス決済を導入することで、ネイルサロンの客単価アップが期待できます。
お客様は、手持ちの現金を気にすることなく決済できるため、ATMで現金を引き出す手間が省けます。これにより、財布の中身を気にせずにネイルのメニューを選ぶことができるようになります。
現金決済の場合、お客様は財布の中身と予算を合わせる必要がありますが、キャッシュレス決済では、提示された金額を支払えるかどうかのみが判断基準となります。
そのため、キャッシュレス決済の導入により、お客様はオプションメニューを追加しやすくなり、結果的に客単価の上昇につながります。
客単価アップは、売上増加に直結するため、ネイルサロンの経営にとって大きなメリットといえるでしょう。キャッシュレス決済の導入により、お客様満足度の向上と売上アップの両立が可能になります。
防犯リスクを低減できる
キャッシュレス決済では、現金の直接のやりとりが発生しません。
そのため、ネイルサロンにおける現金の取り扱い量が減り、防犯対策として効果的です。
キャッシュレス決済の導入により、現金の利用率が下がれば、銀行でおつりを用意する手間が省けるだけでなく、現金を持ち運ぶ機会も減らすことができます。これにより、現金の紛失や盗難のリスクを大幅に低減できます。
つまり、キャッシュレス決済の導入は、ネイルサロンが犯罪に巻き込まれる危険性を減らす有効な手段といえるでしょう。
特に、女性が一人で管理することが多いネイルサロンにとって、現金を扱う機会を減らすことは防犯面での大きな安心材料となります。
レジ業務の負担が軽減できる
ネイルサロンでキャッシュレス決済を導入することで、現金の取り扱い量が少なくなり、レジ業務の負担を大幅に軽減できます。
これにより、浮いた時間を他の業務に充てたり、ゆとりのある休息時間の確保ができたりと、サロン運営の効率化が図れます。
実際、レジ1台あたりの締め作業には平均約25分もの時間が費やされています。キャッシュレス決済の導入により現金の取り扱いが減れば、この作業時間を大幅に短縮できるでしょう。
顧客満足度がアップする
キャッシュレス決済サービスの多くは、利用金額に応じたポイント還元を行っています。このポイント還元に魅力を感じる顧客層を取り込むことで、ネイルサロンの集客数増加やリピーター獲得につなげることができます。
また、一部のキャッシュレス決済サービスでは、期間限定の高還元イベントを実施しています。ネイルサロンがこうした高還元イベントの対象店舗に選ばれれば、来店数の増加が見込めるでしょう。
店舗側が独自のイベントやキャンペーンを行わなくても、キャッシュレス決済サービスの高還元イベントを活用することで、新規顧客の獲得が可能となり、集客活動の負担を減らすことができます。
さらに、顧客が溜まったポイントをネイルメニューの支払いに利用する場合、心理的な支払いのハードルが下がるため、より高単価のメニューを選択してもらえる可能性が高まります。
キャッシュレス決済を導入する際の注意点
ネイルサロンでキャッシュレス決済の導入には複数のメリットがある一方で、注意点もあります。ここからはキャッシュレス決済を導入するときの注意点を紹介します。
初期費用・導入コストに注意する
キャッシュレス決済を導入する際には、基本的に専用の決済端末が必要となります。
導入コストは、選択するキャッシュレス決済の種類によって異なりますが、おおむね5万円から10万円程度が目安です。ただし、多機能な決済システムを導入する場合には、さらに高額な初期費用が発生する可能性もあります。
キャッシュレス決済の導入は、ネイルサロンの経営に大きなメリットをもたらす一方で、導入コストが経営の負担になってはいけません。
後悔のないキャッシュレス決済の導入のためには、自社の予算や目的に合ったサービスを選ぶことが重要です。初期費用だけでなく、ランニングコストや手数料なども含めて、トータルでの費用対効果を十分に検討しましょう。
また、導入前にキャッシュレス決済サービスの内容を詳しく調べ、実際に使用するスタッフの意見も取り入れながら、慎重に選定することをおすすめします。
認知度が高いキャッシュレス決済を導入する
キャッシュレス決済を導入する際は、認知度の高いサービスを選ぶことが重要です。あまり知名度のないマイナーなサービスでは、期待するような集客効果が得られない可能性が高いためです。
特に、キャッシュレス決済の導入で集客力アップを狙うネイルサロンは、キャンペーンの実施や高還元イベントを積極的に行っているサービスを選ぶのが賢明でしょう。
このようなイベントやプロモーションを行なっているキャッシュレス決済を導入することで、多くのお客様にサロンを知ってもらうことができ、新規顧客の獲得につながります。
汎用性の高い決済端末を導入する
キャッシュレス決済の世界では、トレンドの移り変わりが非常に速いのが特徴です。そのため、導入コストを抑えつつ、長期的に利用できる決済端末を選ぶことが重要になります。
具体的には、クレジットカード決済に加え、電子マネー決済やQRコード決済など、幅広い決済方式をカバーできる端末がおすすめです。特にクレジットカード決済は、利用者数の多さから考えて、必須の対応項目と言えます。
一方、電子マネー決済やQRコード決済は、現時点では利用者数にばらつきがあるものの、今後の普及拡大が見込まれる有望な決済方式です。
将来を見据えた決済端末の選定は、ネイルサロンの長期的な経営戦略にとって重要な選択となります。汎用性の高い決済端末を導入することで、将来かかる可能性のある追加コストを抑えつつ、時代の変化に対応していくことができるでしょう。
ネイルサロンのキャッシュレス決済サービスでおすすめなのはどれ?
ここからはメリットと注意点を踏まえて、ネイルサロンにおすすめのキャッシュレス決済サービスを紹介します。
クレジットカード(VISA・JCB)
クレジットカード決済は、ネイルサロンの決済方法で抑えておきたいキャッシュレス決済です。
特に、1万円以上の高額メニューを提供しているネイルサロンでは、クレジットカード決済を導入することで、お客様から喜ばれる可能性があります。
そしてそんなクレジットカード決済の中でも、VISA・JCBは特に保有率が高い国際ブランドです。これらのブランドに対応することで、高額施術の提供がスムーズになり、サロンの収益アップにつながるでしょう。
ただし、クレジットカード決済の導入には、専用のカードリーダーが必要となるため、初期費用がかかります。導入コストを十分に検討し、サロンの経営戦略に合った判断を下すことが重要です。
PayPay
PayPayは、利用者数・知名度ともに高いQRコード決済サービスです。
2023年4月時点でPayPayの利用者は5,700万人であり、LINE Payとの連携によってさらに顧客を取り込む効果が期待できます。
PayPayの手数料は、決済1回につき税別1.6%または1.98%と設定されています。
売上金は月に一度、手数料無料で指定の口座に振り込まれるため、サロン側の資金管理の面でも利便性が高い決済方法です。
また、PayPayは専用の決済機器を必要としないため、導入時のコストを抑えることができます。ランニングコストの低さは、ネイルサロンの経営にとって大きなメリットとなります。
メルペイ
メルペイは、大手フリマアプリ「メルカリ」が提供するQRコード決済サービスです。お客様は、メルカリでの売上金やチャージした残高を利用して、メルペイで決済することができます。
メルペイの大きな魅力は、初期費用や月額費用が一切かからないことです。キャッシュレス決済の導入コストを最小限に抑えたいネイルサロンにとって、メルペイは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
加盟店手数料は2.6%に設定されており、売上金の入金は月1回または2回から選択可能です。
そもそものメルカリの利用者が多いため、これからさらにメルペイの利用者は拡大していく見込みです。そのためメルペイを導入することで、ネイルサロンはこの大規模な顧客基盤にアプローチすることができます。
iD
iDは、クレジットカード会社が提供する電子マネー決済サービスの一つです。
iDの大きな特徴は、電子マネーでありながら事前のチャージが不要な点です。この利便性の高さから、iDは電子マネーの中でも特に普及率が高くなっています。
MMD研究所が2022年に実施した調査によると、マートフォン非接触決済サービスの利用者のうち、21.6%がiDを利用していることが明らかになりました。この数字は、iDの利用者数の多さを裏付けるものと言えます。
利用者数の多い電子マネーを導入したい場合には、iDがおすすめです。
ネイルサロンのキャッシュレス決済の導入方法
ネイルサロンのキャッシュレス決済の導入方法は、直接契約と決済代行会社を経由する方法の2種類があります。
直接契約では、キャッシュレス決済サービス1社ごとに契約します。それぞれで専用端末やQRコードの掲示なため導入コストがかかりやすい傾向にありますが、直接契約は決済代行会社を経由するよりも手数料が抑えられる場合が多いです。
決済代行会社を経由する方法では、簡単な契約で複数社のキャッシュレス決済サービスと契約できます。しかし決済代行会社を経由するため、手数料が高くなりやすいのがデメリットです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、ネイルサロンで導入したいキャッシュレス決済の種類や導入のメリットなどを解説しました。
キャッシュレス決済の導入は、お客様がお支払いの選択肢が増えるだけでなく、サロン側も会計業務の効率化が図れるため、お客様とサロン側の両方にメリットがあります。そのため、ネイルサロンはぜひキャッシュレス決済を導入してお客様の満足度を高めましょう。
この記事がネイルサロンを運営している方の助けになりましたら嬉しいです。
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