エステサロン開業には営業許可はいる?必要な届出と手続き方法を徹底解説

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昨今、美容や健康に対する関心の高まりからエステサロンの需要が高まっています。そんな中、独立開業を目指す人にとって、エステサロンの開業は人気の選択肢の1つです。そんなエステサロンの開業ですが、開業前に必要な許可や届け出を確認しておくことが大切です。

そこで今回はエステサロンに営業許可が必要なのかや、必要な届け出等について解説します。

エステサロン開業には保健所への営業許可は必要ない

じつは、エステサロン開業には保健所への営業許可は必要ありません。保健所の許可が必要になるのは、「国家資格が必要になる施術」を提供するサロンです。

以下では、保健所への営業許可が必要にならない事業と、必要な事業をご紹介します。

営業許可がいらないサロン

基本的に国家資格が必要にならない施術を行っている場合、保健所への営業許可は必要ありません。

たとえば、

  • 痩身マシーンを使った施術
  • オールハンドのマッサージ
  • アロマテラピー

などを行うエステサロンは、営業許可を取らなくても問題ありません。

営業許可が必要になるサロン

一方で、国家資格保有者のみ施術できるメニューを提供する予定のエステサロンは、営業許可の取得が必要不可欠です。

たとえば、

  • 美容師免許または理容師免許が必要になる、顔のムダ毛剃り・ヘアカット
  • 美容師免許が必要になる、まつ毛カットやエクステ
  • 美容師免許が必要になる、ウェットヘッドスパ
  • 鍼灸師の免許が必要になる鍼灸治療

などが挙げられます。

保健所の許可が必要か悩んでいる人は、施術内容に国家資格が必要であるかどうかを調べてみてくださいね。

エステサロンを開業する場合は「開業届」が必要

エステサロンを開業する場合は、営業許可ではなく、「開業届(かいぎょうとどけ)」が必要になります。

以下では、開業届の意味や、手続き方法、提出方法などを徹底的に解説します。

開業届とは?

開業届とは、「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれる書類の通称であり、開業するときに税務署に提出する書類のことをいいます。

開業届は、所得税法という法律によって、開業した日から1ヶ月以内に提出することが義務付けられています。

参考:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

開業届の入手方法

開業届は、税務署もしくは国税庁のサイトから入手できます。

自宅にコピー機がある場合、国税庁の公式ホームページにアクセスし「個人事業の開業・廃業等届出書(提出用・控用)」を印刷すると、すぐに書類作成に取り掛かれます。
より簡単に開業届を出したい人は、「freee開業」を使用することも一案です。難しい書類作成を一問一答方式で記載を手伝ってくれるため、開業初心者は使ってみてはいかがでしょうか。

開業届の書き方

開業届の書き方を実際の例を用いて解説します。

開業届
  1. 開業届の提出先・提出日
    • 開業届を出す税務署と提出日を記載します。所轄の税務署はわからない場合は、国税庁のWebサイトで調べてみましょう。
  2. 納税地・エステサロンの住所
    • 住所地・居所地・事業所の中から一つ選び、住所と電話番号を記載します。住所地は実際に住んでいる住民票を同じ住所、居所地は住民票とは異なる一時的に住んでいる住所、事業所は事務所や店舗として事業を行っている住所を指します。自宅とは別にテナントなどを借りて事業を行う場合も住所地を選択するので気をつけましょう。
  3. オーナーの氏名・生年月日・個人番号(マイナンバー)
    • オーナーの氏名・生年月日・個人番号(マイナンバー)を記載します。
  4. 職業・エステサロンの屋号
    • エステサロンを開業する場合は、職業欄を「エステティシャン」と記載します。また、屋号とは、個人事業主が事業で使用するお店・サロンにつける名前です。屋号がない場合は空欄でも問題ありません。
  5. 届出の区分
    • エステサロンの開業のため、「開業」にチェックを入れ、事業の引き継ぎを受けた場合は住所と名前を記載しましょう。
  6. 所得の種類
    • 所得の種類を選択します。「事業」にチェックを入れましょう。
  7. 開業・廃業等日
    • 開業した日付を記載します。
  8. 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
    • 開業届と同時に「青色申告承認申請書」も提出する場合は、上段で「有」にチェックを入れます。下段はエステサロンが消費税課税事業かどうかの確認になります。
  9. 事業の概要
    • 事業の開業を記載します。「エステサロン」と記入しましょう。
  10. 給与等の支払の状況
    • 家族の従業員(専従者)や家族以外の従業員(使用人)を雇う場合、それぞれの人数を記載します。給与の定め方については、日給、月給、月給とボーナスなど、給与の支払い方について記載しましょう。

開業届の提出時に必要になるもの

開業届を提出する際に必要になるものは、開業届とマイナンバーカードのみです。

開業届の提出に印鑑は不要ですが、何か不備があったときに訂正印を押す際に役に立つため、持参するのがおすすめです。

開業届の3つの提出方法

開業届には、以下の3つの提出方法があります。

  • 税務署の窓口で直接提出する
  • 税務署に書類を郵送する
  • オンラインで申請する

税務署に行くことが負担ではない人は、税務署に行って直接確認してもらうことをおすすめします。時間がない人や税務署に行くことが億劫な人は、オンラインで申請するといいですよ。

開業届を提出したら?

開業届を提出したら、屋号付きの銀行口座を開設することができます。

屋号が付いた銀行口座を開設することで、法人や会社などと取引をする際に個人名の口座よりも信用度をあげることができます。また、プライベート用と、事業用の口座を分けておくことで、確定申告をスムーズに行えるメリットもあります。

開業届を出した後は、同じ日に銀行口座の開設をすると円滑に手続きを行えますよ。

開業届を提出する時に気をつけること

開業届を提出する時に気をつけることは2つあります。それは「青色申告承認申請書を提出する」ことと、「開業届の控えを受け取る」ことです。

青色申告承認申請書を提出する

開業届を出すことの大きなメリットとして、青色申告ができる点が挙げられます。その青色申告を行うためには、青色申告承認申請書を提出する必要があります。青色申告承認申請書とは、確定申告時に「青色申告」と呼ばれる申告方法を行いたい人が税務署に提出する書類です。

こちらを提出しないと、青色申告が受けられないので、忘れずに提出しましょう。

開業届の控えを受け取る

開業届を税務署に直接提出した場合、もしくは郵送で提出した場合、開業届の控えを受け取ることができます。

開業届の提出方法によって、控えの受け取り方と受け取れるまでにかかる日数が異なります。以下の表にて詳しく解説します。

開業届の提出方法受け取る方法受け取るまでにかかる日数
税務署へ直接提出控え用のコピーまたはもう一部追加で作成したものを添えて窓口で提出当日
郵送で提出控え用のコピーまたはもう一部追加で作成したものと、返信用封筒を同封して郵送開業届を提出した日から約1週間
オンラインで提出開業届の控えはないため、e-Taxシステムから受信したメッセージが代わりになる(なし)

開業届の控えは、事業を始めたことを証明するものとして大切な書類となりますので、忘れずに受け等ようにしましょう。

領収書の控えを受け取り忘れたり、紛失してしまった場合でも、税務署に「保有個人情報開示請求書」を提出することで、控えの写しをもらうことができます。ただし、この申請を行う場合、1件あたり300円の手数料がかかります。

エステサロンを開業したら確定申告を忘れずに

エステサロンを開業したら、一年に一度、確定申告をする必要があります。確定申告には、青色申告と、白色申告の2つがあります。

青色申告

個人事業主は、確定申告を行うために、日々の取引内容を帳簿に記録しておく必要があります。

青色申告を選択する場合は、白色申告と比べて、より詳細な記帳方法が求められます。ですがその代わり、白色申告では受けることのできない青色申告ならではの税率上のメリットがあります。例えば、以下のようなメリットがあります。

  • 最大65万円の特別控除が受けられる
  • 赤字を翌年以降の所得から差し引ける
  • 家族への給与を経費にできる
  • 貸倒引当金(代金後払いのサービス・商品など)を経費にできる
  • 30万円未満の資産(パソコンなど)を取得した場合、一度に経費に計上できる

青色申告で受けられる特別控除については、控除額によって、「65万円(または55万円)控除」と「10万円控除」の2種類があります。それぞれ帳簿の種類が複式簿記と簡易簿記と異なるため、帳簿の際は注意しましょう。

青色申告は、事業を行う上で税金の負担を軽くしたいと思っている方におすすめです。

白色申告

白色申告でも、確定申告を行うために、帳簿の記帳が必要です。ですが、決められた帳簿の様式や種類などはありません。そのため、日々の取引の状態に合わせて帳簿を作成しましょう。

青色申告に比べて記帳が簡単な分、特別控除や赤字の繰越などはできません。そのため、事業所所得があまり多くない方におすすめです。

エステサロン開業時によくある質問

そしてここでは、エステサロン開業時によくある質問にお答えします。

エステサロン開業に資格は必要?

結論から申し上げますと、エステサロンの開業に資格は必要ありません。 そのため、資格がない人や経験が少ない人でもエステサロンを開業することができます。

しかし、資格を取得することは、サロン経営において大きなアドバンテージになります。資格を持っていることで、専門的な知識とスキルを備えていることをアピールでき、お客様からの信頼を得やすくなるためです。

そのため、 エステティシャンとしての価値を高めたいと思うなら、民間の資格を取得するのがオススメです。例として、以下のような資格があります。

詳しくはこちらの記事(エステサロンは未経験でも開業できる!?成功には何が必要?)をご覧ください。

マンションでもエステサロンを開業できる?

マンションでもエステサロンの開業は可能です。 そのため、自宅のマンションの1室をエステサロンとして開業することもできます。

マンションで自宅エステサロンを開業する際は、通常のエステサロンと同様の手続きが求められます。まず、開業届を提出し、施術内容によっては保健所への申請も必要となります。

ただし、マンションの契約内容によっては、営利目的での使用が認められていない場合があるので、事前に大家さんや管理会社に確認することが大切です。無断でサロンを開業すると、契約違反となり、最悪の場合、退去を求められる可能性もあります。

また、内装工事を行う際は、自治体ごとに手続きが異なるため、管轄する自治体に問い合わせる必要があります。大がかりな改装を行う場合は、建築確認申請や防火対象物工事等計画届出書などの提出が必要となる場合があります。

詳しくはこちらの記事(エステサロンの開業はマンションでもできる?注意点やメリットも解説)をご覧ください。

エステサロンの集客で気をつけることは?

エステサロンの集客において、お客様を引き付けるために、広告では印象的な表現を使いたくなるかもしれません。しかし、表現方法にはルールがあるので、それを守って広告を出すことが大切です。

エステ広告の表現方法に関連する3つの法律を紹介します。

  1. 薬機法: サロンで使う化粧品や美容器具の広告表現に注意が必要です。例えば、化粧品で「シワが消える」「美容液で肌を白くする」などと表現するのは禁止されています。
  2. 景品表示法: 商品やサービスの品質や取引条件について、不当な表示を規制する法律です。例えば、根拠なく「地域でNo.1」と表現するのは避けましょう。また、「期間限定価格」などの二重価格表示にも、一定の販売期間が必要などの規定があります。
  3. あはき法: 医療行為として「マッサージ」を行えるのは国家資格保有者だけです。国家資格のないエステティシャンは、広告やメニューに「治療します」と書くことができません。

このように、法律によって広告で使えない表現があることを理解しておくことが重要です。

詳しくはこちらの記事(エステサロンの広告における規制ガイドラインとは?【要チェック】)をご覧ください。

エステサロンは営業許可は必要ない!開業届を提出しよう

いかがでしたか?

本記事では、エステサロンに営業許可が必要ないこと、開業届の意味や、提出方法、メリットなどをご紹介しました。

エステサロンは保健所に営業届けを出さずとも、開業できます。開業の準備が整ったら、開業届を税務署に提出しましょう。開業届を出すだけではなく、開業届を出すことで得られるメリットを理解し、十二分に活用することをおすすめします。

この記事を書いた人
tol magazine

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