美容業界では、サロンで働くための選択肢として「業務委託」と「シェアサロン」があります。フリーランスの美容師を目指す方の中には、どちらを選択するべきか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解することで、自分に最適な働き方を見つけやすくなるでしょう。以下に、業務委託とシェアサロンの違いについて詳しく解説します。
業務委託とシェアサロンの違いとは?特徴を解説
語句だけ聞いてもなかなか具体的なイメージがつきにくいですよね。ここからはシェアサロン、業務委託それぞれの特徴について、特徴を交えながら紹介します。
シェアサロンとは
シェアサロンとは、美容の施術をするためのスペースや個室を有料で借りて業務を行う形態のことです。
一般的には、一つのシェアサロンを複数人で共有して使います。サロン内には施術に必要な机や椅子などの設備や機械が揃っています。そのため開業資金が十分でない方や、副業として自由に働きたい人に向いています。
シェアサロンを利用する人は「フリーランス」の扱いになり、月額や時間貸し、歩合制など契約内容に応じて利用料を支払う仕組みです。そのため、シェアサロンを契約する際は、よく契約内容を確認するようにしましょう。
シェアサロンの集客
シェアサロンでの営業は、集客を自分で行う必要があります。もともと自分のお客様がいる場合はスムーズに始められるかもしれませんが、ゼロからの集客の場合、固定客となるようなお客様を獲得するには時間がかかるかもしれません。
SNSやブログなどを通して、積極的に発信し、自分の存在をお客様に見つけてもらえるようにすることが大切です。また、ホットペッパービューティーやminimoなどのポータルサイトに掲載するのもおすすめです。
中には、集客支援をしてくれるシェアサロンもありますので、集客に自信がない方はそのようなサロンを選ぶのもいいでしょう。
シェアサロンの出勤形態(働く自由度や休み)
シェアサロンは自分で営業時間や休みを決められる場合が多いのが特徴です。
育児のために夕方以降は仕事ができない方や、他と兼業している方も働きやすいと言えるでしょう。
休みについても予約が入っていない時であれば簡単に取ることができます。
シェアサロンの収入
シェアサロンの収入は、契約内容によって異なりますが、業務委託と違って会社を介さないため、還元率は高めです。
還元率は80〜90%のところもあれば100%還元の場合もあります。契約時にしっかりと確認しましょう。
還元率が高い代わりに、サロンの使用時間や場所などの単位でレンタル料を支払う必要があります。
シェアサロンのメニュー設定
シェアサロンでは提供するメニューや料金を自由に設定できます。
自己ブランディング力が高ければ、施術の価値を高めることができ、多少施術の料金が高くてもお客様を獲得できる可能性があります。そのため、自分の得意分野や専門性を活かしたメニューを用意するのがおすすめです。
シェアサロンでは、お客様のニーズに応じてサービスを柔軟に変更できるのに加え、唯一無二のサロン作りがしやすいと言えるでしょう。
シェアサロンの設備や備品
シェアサロンによっては施術につかう台や椅子などの設備が備えられていることもありますが、薬剤などの消耗品の備品は自分で揃えなけらばなりません。多くのシェアサロンでは、サロン内で備品を販売しているサロンもありますので、自分で調達するのが難しい場合は利用するのも一つの案です。
自分で用意した備品や消耗品は、自分で管理する必要があります。他の人と共有することはできないので、数量や在庫を把握しておくことが大切です。定期的に在庫をチェックして、随時必要なものを仕入れるようにしましょう。
シェアサロンの確定申告
シェアサロンとの契約はフリーランスとして行われるため、個人事業主にあたります。そのため、毎年確定申告をする必要があります。
日々の業務に加えて経費や収益の管理は怠らないことが大切です。
業務委託とは
業務委託とは、サロンと美容師が業務委託契約を結んで施術を行う形態のことです。雇用主と従業員の関係ではないため、サロンの従業員に比べて自由な働き方が可能です。報酬体系としては歩合制である場合がほとんどです。
シェアサロンとは違い、サロンの管理下で働く働き方なので、シェアサロンよりは自由度が少ないと言えるでしょう。
業務委託の集客
シェアサロンは集客を全て自分で行う必要がありますが、業務委託はサロン側が主体となって集客を行ってくれる場合が多いです。そのため、自力で集客を行うのが苦手な方や、自分のお客様をもともと持っていない方でも働きやすいと言えます。
さらに自分で集客したい、という場合はサロンと相談の上でSNSを運用したりHPを作ったりしても良いでしょう。
業務委託の出勤形態(働く自由度や休み)
業務委託はサロン側が営業時間や定休日などを定めている場合が多く、それに従う必要があります。
そのため時間的な自由度はシェアサロンに比べて低めだと言えるでしょう。
業務委託の収入
業務委託の収入は基本成果報酬制で対応したお客様の数や施術数によって決まります。
報酬の還元率はサロンによって異なりますが、一般的にはフリーで40〜50%、指名で50〜60%と言われています。
業務委託のメニュー設定
メニューはシェアサロンは全て自分で決めることができますが、業務委託はサロン側の方針に従う場合が多いです。
料金設定やサービス内容、接客方法なども店やブランドの雰囲気に合わせて設定されている傾向にあります。
業務委託の設備や備品
シェアサロンは備品などは自分で用意しなければなりませんが、業務委託は施術に使う設備や備品はサロン側が調達してくれることが多いです。
薬剤などの消耗品でかさんでしまいがちな自己負担となる費用を抑えられるのはメリットと言えるでしょう。
業務委託の確定申告
業務委託でも、サロンと個人の契約となり、フリーランスの扱いとなります。そのため、確定申告は自分で行う必要があります。
そのため日頃の業務に加えて収益や経費の管理を行わなければなりません。
シェアサロンで働くメリットと気を付けるポイント
シェアサロンで働くメリットと気を付けるポイントをご紹介します。
シェアサロンで働くメリット
シェアサロンのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
高い収入を目指せる
シェアサロンはお客様と美容師の間に会社が介入することがないため、お客様からいただいた料金のほとんどが自分の収入になります。
お客様が増えれば増えるほど収入が上がるため、自分の頑張り次第では高収入を目指すことが可能です。自分の頑張りが目に見えて反映されるので、やりがいにも繋がりやすくなります。
自分のスタイルで営業ができる
シェアサロンは、自分の裁量に合わせて営業スタイルを決めることができます。そのため、提供するメニューや料金設定、営業時間や休みなども自分で決めることが可能です。
そのため、子育てをしながらサロン運営をしたい人や、働ける時間が限られている人にとっては非常に働きやすい環境と言えるでしょう。
シェアサロンで働く際に気を付けるポイント
シェアサロンで働く際に気を付けるポイントを以下で紹介します。
集客が難しい
シェアサロンは、場所は他のサロンと共同で使用しますが、実質自分のお店を経営している状態です。そのため、集客も一から自分で行う必要があります。
安定した収入を得るためには、SNSやインターネット広告などを効果的に使って戦略的な運営が求められます。
備品の調達は自己責任
シェアサロンは、基本水回りや家具など最低限の設備が揃っていますが、施術に用いる薬剤や器具など細かなものは自分で調達する必要があります。
複数店舗を持つサロンなどは、大量に安く調達できるルートを確保していることが多いですが、個人経営となると割高になってしまったり、こまめに在庫管理をする必要があったりと煩雑さが伴います。
責任感が必要
シェアサロンで働く場合、フリーランスとなり、集客や在庫管理などは全て自分で行わなければならず、もしトラブルなどが発生した場合、全て自分の責任となります。
また、売上や税金などの管理も全て自己責任となるため、責任感が必要になります。
業務委託で働くメリットと気を付けるポイント
業務委託で働くメリットと気を付けるポイントをご紹介します。
業務委託で働くメリット
業務委託のメリットを紹介します。
設備費用の負担が少ない
施術に使う道具や薬剤などはある程度頻繁に交換する必要があるため、それだけ費用が発生します。
業務委託ではサロンが必要な備品を用意してくれるので、それだけ費用や発注の負担が減るのが魅力です。
集客をサロン側に任せられる
業務委託の場合、集客はサロン側に一任出来ます。
複数店舗を展開するサロンならば、ある程度の知名度もあるので安定した顧客の獲得が期待できるでしょう。
集客にはSNS用の投稿を作ったり、広告料を支払って依頼したりする必要がありますが、そういった手間や費用がかからず、施術に専念できる点は大きな魅力ではないでしょうか。
安定した収入を得られる
業務委託は、多くが成果報酬制のため、仕事をやればやった分だけ収入になります。
サロンが顧客と自身の間に入るため、収入の還元率が低めなのが難点ですが、シェアサロンとは異なり最初から集客に時間を割く必要がないため、その分数をこなせばそれだけ安定した収入が得られます。
業務委託で働く際に気を付けるポイント
ここまでで、業務委託のメリットはご理解いただけたのではないでしょうか。
業務委託における注意すべきポイントを把握しておくことも大切です。以下で紹介します。
収入の還元率が低い
業務委託は完全歩合制といういわゆる成果報酬型の報酬制度が一般的です。還元率としては、フリーだと40〜50%、指名だと50〜60%が多いと言われています。
数字で示されているようにフリーの方が指名より還元率が低いので、固定客を獲得しないと安定した収入につながらないと言えるでしょう。そのため、リピーターを獲得するために、接客やスキルの向上などを怠らないようにしましょう。
したがって業務委託はシェアサロンと比べると、高収入を狙いづらい傾向にあります。
勤務時間などの自由度が少ない
業務委託の場合、営業時間や提供サービスメニューなどはサロンから指示されたものに従う場合が多いです。
そのため、自分なりの施術を行いたい、好きな時間に勤務したい、というニーズは満たせないことがある点に留意しましょう。
シェアサロンがおすすめな人の特徴
ここまで、シェアサロンのメリットや業務委託との違いについて解説しました。シェアサロン、業務委託どちらで働くかは、自分の目標やライフスタイルなどと照らし合わせることが大切です。
まずはシェアサロンがおすすめな人について解説します。
自分のペースで働きたい人
シェアサロンはいわばフリーランスのような立場のため、営業時間やメニューなどを自由に設定できます。
そのため、働ける時間が子育て等で限られている人でも続けやすい形態です。
また、自分の事業に対する構想が固まっており、それを実現したい、という思いがある人にも適していると言えるでしょう。
店の経営に興味がある人
シェアサロンは、実店舗こそないものの、集客や経理、マーケティングなど自分のお店を持つのと同じ業務が求められます。
そのため、自分の施術におけるスキルだけでなく、裏方仕事まで一通り挑戦してみたい、という方には向いている形式です。
業務委託がおすすめな人の特徴
続いて業務委託がおすすめな人について解説します。
安定した収入を得たい人
業務委託は成果報酬制のため、仕事をこなした分の給料を安定して得られます。
集客もサロンのブランド力があれば心配ないため、還元率はシェアサロンより低いものの、やった分が報酬になるのが業務委託です。
超高収入よりも安定を求める方には業務委託が向いているのではないでしょうか。
自分の施術に集中したい人
業務委託は、自分で集客を1からする必要がありません。そのため、仕事の時間の多くを自分の施術に当てることができます。
SNS運用やマーケティングなどの裏方仕事よりも自分の本業に専念したい、という方には業務委託がおすすめと言えるでしょう。
面貸しとの違いは?
最後に、シェアサロンや業務委託と比較されることが多い面貸しという形式についても紹介します。
面貸しとは?
面貸しとは、既存の美容室などのサロンの空いているスペースを区切って、フリーランスの美容師などに貸し出すシステムのことです。
面貸しは、サロンが利用していない席などを有効活用するために、予約が入っていない時間帯やサロンの開店前・閉店後などの時間帯で貸し出しを行います。そのため、サロンによって面貸しできる時間や数に違いがあるのが特徴です。
面貸しについては、以下の記事で詳しく解説しています。
シェアサロンや業務委託との違い
シェアサロンや業務委託は契約中であれば時間に関係なく営業が可能ですが、面貸しはサロンの空いている席を、空いている時間にのみ、借りることができます。
そのため希望した時間全てで借りることができない場合があるので注意が必要です。
まとめ
ここまで、シェアサロンと業務委託それぞれの特徴やメリット、違いについて紹介しました。
業務委託とシェアサロンのいずれかの働き方を選ぶ際には、それぞれの違いや特徴を理解することが重要です。
シェアサロンと業務委託には、
- シェアサロンは、業務委託よりも働く時間や施術内容などの自由度が高い
- 業務委託はサロン側に集客を任せられ、シェアサロンは自力で集客する必要がある
- 収入は、シェアサロンの方が集客できれば高収入が期待できる
のような違いがあります。
自分のスタイルや目標に合わせた働き方を選ぶことで、より充実した美容師ライフを実現してみてください。
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