コロナ禍のおうち時間が増えてきた影響で、ペットを飼う方が増えてきています。ペットを飼う際に欠かせないのが、トリミングサロンでのケア。そんなトリミングサロンを開業する場合、どのような資格が必要となるのでしょうか。
トリミングサロンを開業する際、市区町村で定められたルールに則ってお店を開く必要があります。
この記事では、トリミングサロンを開業するための資格をはじめ、トリミングサロンを開業する上で知っておきたいポイントなどをご紹介します。
トリミングサロン開業に資格は必要?
結論から申し上げますと、トリミングサロンを開業するには、決まった資格はありませんが、2つの条件が必要です。
それは「第一動物取扱業者の登録」と、「動物取扱責任者の選任」です。
特に、「動物取扱責任者の選任」では、決まった資格または条件が必要になります。
以下では、トリミングサロンを開業するための条件や資格について詳しくご紹介します。
第一種動物取扱業者の登録
第一種動物取扱業とはトリミングサロンをはじめ、動物の販売や保管・譲受飼養(老犬や老猫などの動物を有償で譲り受けること)などを営利目的で行う業種を指します。
事業所ごとに都道府県知事または政令指定都市の長の登録を受ける必要があり、動物の管理方法や施設の基準を守ることが義務付けられています。そのため、トリミングサロンを開業するには、事前に動物取扱責任者を選んでおき、管轄の保健所への登録申請が必要です。
また登録申請には、第一種動物取扱業登録申請書、実施方法、犬猫等健康安全計画などの書類が求められます。
第一種動物取扱業者が守るべき基準として、トリミングサロンであれば、適切な広さを備えたや空間の確保が定められています。また、1日1回以上の清掃や動物が逃げてしまわないようにする設備が必要です。
動物取扱責任者
第一種動物取扱業で事業を行う際には、その事業所に常にいる専任の「動物取扱責任者」を置く必要があります。この責任者は、動物の適切な管理と動物愛護法の遵守を保証する重要な役割があります。
動物取扱責任者になる条件には以下があります。
- 獣医師の免許を取得していること
- 愛玩動物看護師の免許を取得していること
- 種別に係る半年以上の実務経験または実務経験と同等の1年間以上の飼養経験と種別に係る知識及び技術について1年間以上教育する学校等を卒業
- 種別に係る半年以上の実務経験または実務経験と同等の1年間以上の飼養経験と公平性、専門性のある団体が行った試験により資格等を得ていること
参考サイト:東京都保健医療局東京都動物愛護相談センター
また、動物取扱責任者に選任された方は、市区町村が年に1回実施する動物取扱責任者研修を受講することなどが求められます。
動物取扱責任者になるために役立つ資格
ここでは、動物取扱責任者になるための条件の4つ目(種別に係る半年以上の実務経験または実務経験と同等の1年間以上の飼養経験と公平性、専門性のある団体が行った試験により資格等を得ていること)で指定されている資格をいくつかご紹介します。紹介した以外にも、たくさんの資格がありますので、ぜひチェックしてみてください。
また、こちらでご紹介しているのは、東京都で動物取扱責任者になるための参考資格になります。(参考サイト:東京都保健医療局東京都動物愛護相談センター)そのため、資格について詳しくは住んでいる自治体のサイトなどをご確認ください。
愛玩動物飼養管理士
公益社団法人日本愛玩動物協会が主催する資格です。
この資格は、動物関係法令や人と動物の関係学、動物の疾病予防、管理士の社会活動、各種動物の飼養管理、犬猫のしつけ等の知識を体系的に習得できます。
オンラインで受講することができるため、仕事や育児などと両立しながら取得することが可能です。
家庭動物管理士
一般社団法人全国ペット協会が主催している資格です。
家庭動物管理士は、ペットに関する専門家を育てることを目的としています。この資格を取ることで、ペットの世話に必要な重要な知識を身につけることができます。
試験で学ぶ範囲は、ペットの生理や健康についての知識だけではなく、ペットに関する法律、清潔を保つための衛生管理、お客様との正しい接し方まで、非常に多岐にわたります。
テキストを元にオンラインを使いながら自宅で勉強し、試験会場にて試験を受ける形になります。
トリマー
一般社団法人全日本動物専門教育協会が主催している資格です。
トリマーになるためには、高い技術力、専門的な知識、そしてセンスが求められます。ペットの毛をカットすることだけにとどまらず、ペットの適切な飼い方や健康管理についての知識も必要とされます。
受験資格として、協会の指定する学校において1年間の学科及び実技を修了する必要があります。また、試験は筆記試験と実技試験があります。
JAHA認定家庭犬しつけインストラクター
公益社団法人日本動物病院協会が主催している資格です。
JAHA認定家庭犬しつけインストラクターの資格は、犬の正しいしつけ方を教えるために必要な知識や技術の証明になります。この資格を持つ人は、動物病院やしつけ教室などで活躍し、地域社会で犬のしつけ方法を広めることにより、社会に貢献することが求められています。
オンラインで講義を受けた後、筆記試験、実技試験、面接が行われます。
認定ペットシッター
ビジネス教育連盟ペットシッタースクールが主催する資格です。
ペットに関する知識だけでなく、法律や適正飼育などのプロのペットシッターとして必要な知識と、質の高い実践的なノウハウを習得することができます。
開講コースは、通学コース、オンライン通学コース、通信コース、オンライン通信コースとあり、受験者のライフスタイルに合わせた受講が可能となっています。
トリミングサロンの開業場所とは?
トリミングサロンの経営方法はさまざまです。自宅での開業、出張型店舗、ペットショップや動物病院との併設など、選ぶ方法によって特徴やメリットが異なります。
ここでは、トリミングサロンの開業場所についてご紹介していきます。
自宅で開業
自宅でトリミングサロンを始める場合、新たに物件を借りる必要がないため、初期費用が少なく済みます。トリミングテーブルやシャンプー設備、待合スペースなど、サロンとして改装し必要な機材を揃えましょう。
また、近隣住民との騒音や衛生の問題を避けるため、地域の規制やルールを守ることも大事です。お客様だけではなく周りからも信頼できる環境を作ることが、自宅開業の成功のカギといえます。
出張型店舗
出張型トリミングサロンでは、お客様の家へ直接お伺いし、トリミングサービスを提供します。従来の来店型店舗とは異なり、動物に運搬のストレスを感じさせないことも重要になります。
出張型店舗を開業するには、専用の移動車両と機材が求められます。また、効率的な営業を行うためにも移動やスケジュール管理が必要です。
開業費用は自宅で開業する場合よりかかりますが、顧客にとっては外出する必要がなくなり、競合店が多いエリアでも顧客獲得のチャンスは掴みやすいでしょう。
テナントを借りて開業
物件を新しく借りて、トリミングサロンを開業する方法です。
サロン内の内装や間取りなどを一から作り出せることができるため、自分自身の理想のサロンを開業することが可能になります。また、立地によっては駅近などの集客に有利な場所で開業することも可能です。
一方で、物件の敷金や礼金などの契約金が大きくかかるため、開業費用が最もかさむ開業方法になります。そのため、自治体の助成金や補助金などをうまく利用することをお勧めします。
ペットショップと併設
ペットショップと一緒にトリミングサロンを開くと、トリミングサービスとペット用品の販売を一箇所で提供できるメリットがあります。
ペットショップが同じ場所にあるおかげで、お客さんはペットをトリミングしてもらっている間に、必要なペット用品を購入することができます。これにより、お店の売り上げが一気に増えることもあります。
しかし、この二つのビジネスを上手く組み合わせて成功させるには、しっかりとした計画が必要です。リスクを管理しつつ、収入計画や在庫の調整を行う必要があります。さらに、トリミングサロンとペットショップでは、必要な資格やスタッフが異なるため、それぞれに合わせた準備を進めることが大切です。
動物病院と併設
動物病院と併設すると、ペットの健康と美容の両面でサービスを提供できます。ペットの全面的なケアを提供することで、顧客の満足度を高めることができます。
例えば、トリミングと合わせて健康診断を同時に提供することが可能です。
動物病院と併設して開業する場合、病院の営業スケジュールに配慮したサロンの営業時間にする必要があります。
人気のトリミングサロンの特徴とは?
トリミングサロンが人気になるには、お客様とペットが快適に過ごせることが大切です。サロンがきれいで、スタッフがペットのことをよく知っていることも、良いサロンの重要なポイントとなります。
ここでは、人気のトリミングサロンの特徴についてご紹介します。
臭いが少ないサロン
サロンでペットの臭いや化学製品の匂いが少ないことは、お客様に対して良い印象を与えます。
サロン内の臭いを少なくする具体的な対策としては、店内では空気清浄機を使用したり、ペットの肌にも優しい天然由来のシャンプーを使うことがおすすめです。動物を扱うお店でありがちな臭いを減らしつつ、ペットの健康も守ることができます。
音が外に漏れないサロン
サロンで使うドライヤーやハサミ、バリカンの音が外に漏れないようにすることが大事です。サロンの音が外に漏れないことで、近隣住民や周囲の方々に迷惑をかけることがありません。
また、開業予算に余裕がある場合は、防音材を使うなどして、外からの音もサロン内に届きにくくするのがお勧めです。サロンの中が静かであることで、ペットも飼い主もストレスを感じにくく、リラックスした時間を過ごすことができます。
きれいな内装のサロン
サロンの中が常に綺麗であれば、ペットもそのご家族も心地良くサービスを受けることができます。明るめな照明を用いた待合室を作り、清潔感のあるトリミングスペースを保つのが大切です。
また、受付やトイレなどは定期的に清掃と消毒をし、衛生面においても配慮を怠らないようにしましょう。
ペットに詳しいスタッフがいるサロン
トリミングサロンで働くスタッフがペットのことを知り尽くしていることは、お客様からの信頼を得るためには大切なポイントです。これにより犬種や個々のニーズに合わせたトリミングやケアができます。
また、知識が豊富なスタッフは、飼い主に気が付きにくい些細な異変もトリミングを通じて早期に気づくことができます。状態に応じて、病院の受診を勧めるなど、健康管理にも貢献することができます。
トリミングサロンで集客を成功させるコツ
トリミングサロンをたくさんの人に知ってもらうには、SNSの活用やホームページの開設が必要です。そういった箇所で今回ご紹介した資格も提示できればなお集客に役立つでしょう。
また、Googleビジネスプロフィールを充実させて、Googleマップ上でもサロンの情報が掲載できれば初めてのお客様も来店しやすいでしょう。
ここでは、トリミングサロンを開業する際に集客を成功させるコツをご紹介します。
SNSをこまめに更新する
SNSは、サロンの情報をより多くの人に伝えるツールとして役立ちます。こまめにトリミングの様子を写真や動画で投稿しましょう。それによりサロンの特徴をたくさんの方に宣伝することができます。
ただし、お客様のペットの写真を載せるときは、事前に了解を得ることが大切です。マナーを守ったSNS運用は、お客様とのコミュニケーションツールにも活用できます。
また、SNSのプロフィール部分に今回ご紹介した資格を取得していることを掲載すれば、お客様からの興味や関心を得やすくなります。
Googleビジネスプロフィールをきちんと作る
Googleビジネスプロフィールは、Googleマップ上でサロンの情報を掲載することができます。
お店の場所や営業時間、連絡先を正しく書くことで新規問い合わせにも繋がりやすいです。
また、実際に来店されたお客様からのレビューコメントにもしっかりと対応することも大事です。特に、悪い口コミほど、真摯に受け止めてコメントをお返しし、真っ先に改善に繋げる必要があります。
Googleビジネスプロフィールの口コミ対策については、以下の記事で詳しく解説しています。
ホームページを作る
お店オリジナルのホームページを持つことで、サロンに興味を持たれた方に対して正しい情報を提供できます。
サービス内容や料金・スタッフの情報などを見ながらオンライン予約が行えると、問い合わせに直結しやすいでしょう。また、取得している資格や許可証も必ず掲載しておきましょう。
オンライン対応の予約システムについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
リピーターを増やす
サービスに満足いただいたお客様にアンケートを実施し、口コミを投稿していただく、というのも集客に繋がるポイントです。
アンケート用のページを表示できる専用のQRコードをレシートやスタンプカードに記載するなど、自然に口コミをいただけるような施策を行いましょう。
トリミングサロンの開業を成功させるコツ
ここでは、トリミングサロンの開業を成功させるコツをご紹介します。
余裕を持った開業資金を用意する
トリミングサロンを開業する際、店舗の家賃や内装費用に加え機材の購入など、さまざまな場面で資金が必要となります。途中で妥協や挫折してしまわないよう、余裕を持った資金計画を立てるようにしましょう。
具体的には内装費用などの初期費用の他に、6ヶ月分の運営費用を確保すると、ある程度余裕を持った運用が行えます。
自店舗ならではのコンセプトを決める
競合に打ち勝つ店舗にしていくには、お客様の記憶に残るようなサービスの提供が求められます。ターゲット顧客をしっかりと考えて、サロンのコンセプトを決めましょう。
具体的には、高級感のある内装を設けることや、犬種ごとの専門トリミングとして開業する、といったことが挙げられます。
また、コンセプトを決める際には、自店舗近くにある競合店についても調べるのがおすすめです。
どのようなサービスが行われているのか、どのような資格を掲載しているのか、また、どのようなお客様が来店しているのかを知ることで、自分のサロンの特色をさらにより際立たせることができます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、トリミングサロン開業の際に必要な資格などについて解説しました。
トリミングサロンを開業する際には、第一種動物取扱業の登録と動物取扱責任者の選定が必要です。動物取扱責任者になるには、条件や資格が必要となります。
この記事が、トリミングサロンを開業したい方のお役に立てると嬉しいです。
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