美容業界に従事している方の中には、いつか自分のお店を持ちたいと思っている方も多いのではないでしょうか?その中でも、エステサロンの開業は、開業のための決まった資格も必要なく、人気の開業形態です。ですが、そんなエステサロン開業を成功させるには、入念な準備と、注意点の把握が欠かせません。
そこで今回は、エステサロン開業の注意点について、開業のステップとともに解説します。
サロン開業の注意点とは?
個人エステサロンを開業する際に注意した方が良い点について説明します。
ターゲットを明確にする
個人エステサロンを開業する際は、まずターゲットを明確にすることが重要です。
ターゲットが不明確だと、お客様からは「選ぶポイントに欠ける店」という印象を持たれてしまう可能性があります。幅広い客層を取り込みたい気持ちはわかりますが、若者向けと年配者向けのサービスが混在していては、お店の強みがぼやけてしまいます。お客様がサロンを選ぶ際の重要なポイントなので、注意が必要です。
客層は年齢やライフスタイル、居住地域によって異なります。多くのお客様を集めたい気持ちは誰しもありますが、どの客層にサービスを提供するかを絞り込むことが大切です。
例えば、主な顧客層を美容にお金をかける30代のOLにするのか、それともより若い20代前半の女性にするのかで、提供するサービスの内容や価格設定が変わってきます。
自身が開業するサロンのコンセプトを考慮しながら、ターゲットとする顧客層を明確に定めましょう。
価格設定を適切に
個人エステサロンでは、価格設定に注意が必要です。
個人経営のエステサロンは、スペースやエステティシャンの数に限りがあるため、1日に接客できるお客様の数に制限があります。売上を伸ばすには、単価を上げることが選択肢の一つですが、価格を高くしすぎると、顧客離れを招く恐れがあります。
それを防ぐために、開業前に競合となる周辺のエステサロンの価格帯を調査することをおすすめします。その分析結果を踏まえ、周囲の店舗と比べて極端に割高にならないよう、適切な価格設定を心がけましょう。
ただし、価格を安くするために、サービスの質を下げてしまっては本末転倒です。提供するサービスの価値に見合った価格設定を行うことが重要です。自店の強みや特徴を活かしながら、顧客に納得していただける価格を設定しましょう。
集客をしっかり行う
個人エステサロンの開業を決めたら、集客に力を入れることが大切です。
例えば、店舗周辺の住民にアピールしたい場合は、チラシの手渡しやポスティングが効果的です。より広範囲にアピールしたい場合は、ウェブ広告の活用も検討に値します。
さらに、インスタグラムなどのSNSを活用した集客も欠かせません。特に若い世代はSNSから店舗情報を収集し、来店に至るケースが多いため、力を入れるべき分野です。
開業後は、新規顧客の獲得とリピーター化が重要になります。まずは、お店のエステサービスを体験してもらうことが不可欠です。チラシやネット予約に割引クーポンを付けるなど、集客のための工夫を凝らしましょう。
さらに、口コミを促進するためのアフターフォローも大切です。SNSでの情報発信や、お客様のレビュー収集など、継続的な集客活動を行いましょう。
開業届の提出を忘れずに
個人エステサロンを開業したら、税務署に個人事業主としての開業届を出しましょう。
開業届は開業した日から1ヵ月以内に地域の管轄する税務署に提出します。
開業届を提出することで、エステサロン名義の銀行口座を開設できたり、税制面で優遇がある青色申告ができるようになります。そのため忘れずに提出しましょう。
開業届については、以下の記事でも開設しています。
個人でエステサロンを開業するメリットとは?
エステサロンを開業する際、エステティシャンがオーナーとなって個人で営む形は個人エステサロンと呼ばれ、そのメリットは自由度の高さにあります。
自分好みの店を比較的少ない開業資金で始められるなど、いくつかのメリットを説明します。
店の内装や雰囲気にこだわれる
個人エステサロンは、オーナーの思い通りに店を作ることができます。
サロンを開業する場合、自宅の一部を改装する自宅サロンか、商業施設やビルのテナントを借りる、事業利用可能なマンションを借りるといった選択肢があります。
いずれの場合も内装を自身の好みに合わせて改装することができます。好きな国や場所をイメージできるようなものにしたり、お気に入りの家具や小物を置くなど、オリジナリティのある店を作れます。
独立して店を開きたいエステティシャンの方は、こうした部分にこだわりたくて開業する人も多く、個人エステサロン開業のメリットと言えます。
アットホームさや親近感を売りにできる
個人エステサロンは、エステティシャンが1人で経営と施術をこなすか、スタッフを雇っても少人数での営業になるのでアットホームな雰囲気を作りやすいです。
自宅の一部を改装した自宅サロンやマンションのサロンでは、施術の部屋もそこまで広くないスペースになるので、よりアットホームな感じを出しやすくなります。
お客様の中には、大手サロンのような施術用のベッド数も多く、他の客と顔を合わせる機会がある店が苦手という方もいます。そういう方には、個人エステサロンの少人数でプライベート感があるサービスはアピールポイントになります。
エステの施術についても、個人エステサロンでは毎回同じエステティシャンが担当できるので、お客様の要望を丁寧に聞き、悩みを改善していくことにつなげられます。
少ない開業資金で始められる
個人エステサロンは比較的少ない開業資金で始められるのもメリットです。
提供するメニューにもよりますが、施術用のベッドやマシン、タオルやスリッパなどの備品といったものをそろえれば開業できます。自宅を改装する自宅サロンの場合は物件の契約にかかる費用も不要なので、さらに初期費用は抑えられます。
開業場所やそろえるものを工夫すれば、100万円ほどの資金で始めることも不可能ではないです。
プライベートと両立できる
個人エステサロンのメリットにプライベートとの両立が挙げられます。
理由は、時間的な自由度が高まるからです。エステティシャンとして、サロンで雇われて働いていると通勤時間や決められた勤務時間がありますが、個人エステサロンのオーナーとなれば、そういった拘束時間がなくなります。
予約を受ける時間も自身で決められるので、空いた時間にプライベートの用事を済ませることもできます。子育てや介護のような、家族の予定にも合わせて働くことができるので、プライベートと両立できるのは個人エステサロンのメリットです。
サロン開業のステップ
個人エステサロンを開業するためのステップを順番に説明していきます。
サロンのコンセプトを決める
個人エステサロンのコンセプトを決めましょう。
自身の店の売りが何で、他店にない強みが何なのかを明確にすることが大事です。
そのうえで、アットホームさが魅力のサロン、美意識が高い人向けの高級サロン、継続して通いやすい手頃な価格のサロンというような、具体的なコンセプトを決めていきます。
自身が作りたいサロンとエステティシャンとしての強みを考えながら、形にしていきましょう。
開業場所を決める
次に個人エステサロンの開業場所を決めます。
自宅
自宅を改装する場合は場所を選ぶことができませんが、初期費用を抑えることができます。
自宅の場合、住宅地でわかりにくい場所にある場合は集客に不利になることもあるので、近くの貸し看板に広告を出すなどの工夫が必要です。また、駐車場が自宅のスペースで足りないときは近隣とのトラブルを避けるためにもコインパーキングなど駐車場所の確保を忘れないようにしましょう。
賃貸物件
マンションなどの賃貸物件を借りて開業するのも手段です。
場所を選ぶことができるので集客や店のコンセプトを考えながら探せます。ただ、マンションだと住居専用が多く、事業利用ができない物件も多いので事前に確認するようにしましょう。
テナント
商業施設やビルなどのテナントを借りる場合も好みの場所を選べます。駅の近くで集客に有利な場所など、予算に応じて決めましょう。
静かで落ち着いた感じや、隠れ家感をコンセプトとする場合は、人通りが多い場所や様々なテナントが入る雑居ビルは合わないこともあるので気をつけながら選びたい部分です。
出張
店舗を持たずにお客様の自宅などに出向く出張エステも一つの方法です。
家賃などの費用がかからないので費用を抑えながら営業ができます。ただ、移動に時間がかかるケースがあることや、エステ用の道具を持ち運ぶ必要があるので体力は必要です。
開業資金を用意する
個人エステサロンの開業に向けた資金を用意しましょう。
開業資金は貯蓄による自己資金か、金融機関からの融資で調達するのが一般的です。
自己資金は自由に使うことができますが、貯めるのに一定の時間が必要です。
融資は自己資金が不足している場合に検討しますが、審査に必要書類の提出や時間がかかります。借り入れが決まった後は、利子も含めて毎月の返済を計画的にしていく必要があります。
自治体や公的機関の補助金や助成金に応募するという方法もあります。こちらも審査が必要ですが、基本的に返済の必要がないので開業時の資金繰りを支えてくれます。
開業資金の内訳
家賃
物件を借りる場合は物件取得費としてまとまった資金が必要になります。内訳としては敷金、礼金などです。マンションの物件やテナントの物件によって費用は変化しますが、家賃の2〜6ヵ月分を用意する必要があります。
例として、テナントの場合は場所や広さにもよりますが、家賃が20万円で120万円になるので、100〜200万円は初期費用として考えておいた方が良いです。
内装費用
内装費用は主に壁の張り替え、トイレのリフォームや空調設備などです。
自宅を改装する場合も一定の費用が必要です。以前に他の店で使用していた居抜き物件であれば、壁などはそのまま使えるケースもあります。
後で改装できるものは予算に応じて必要かどうかをよく検討しましょう。空調関連は、お客様が快適にサービスを受けられるようにしっかり整えることが大切です。
物件の広さにもよりますが。内装費用は数十万円〜400万円は必要になります。
設備費
エステサロンの開業には、施術用のベッドや機器などの設備が必要になります。
脱毛器や美顔器などの機器は、数十万円から100万円以上するものまで幅があります。新品で購入する他、中古を探すか、リースで借りる契約をすれば費用は安く抑えられます。
最新のマシンはお客様へのアピールポイントにもなりますが、自身の店で提供するメニューに応じて適切なものを選びましょう。設備をそろえるのに100〜300万円はかかると見ておいた方が良いです。
備品費
エステサロンを開業するためには備品もそろえる必要があります。
予約管理や顧客管理などに必要なパソコンやインターネット回線、椅子やテーブル、ベッド用のリネン、スリッパ、タオルなどが挙げられます。
そろえるものの数や質にもよりますが、10〜50万円は初期費用としてかかります。
広告宣伝費
エステサロンの開業を決めたら、集客のための広告が必要です。
チラシの配布やウェブ広告、フリーペーパーへの広告掲載など、手段は様々あります。30万円くらいは開業時に用意した方が良いです。
広告宣伝費が経営を圧迫しないように、広告の効果を見たうえで、集客につながる方法を見極めて資金を投入していきましょう。
メニューを決める
エステサロンで提供するメニューを決めましょう。エステサロンで提供するメニューを決める際は、ターゲットとする顧客層に合ったメニュー作りが重要です。
ターゲット顧客の年齢や関心事を考慮し、そのニーズに応えられるメニューを用意しましょう。例えば、若い世代向けには肌の悩みに特化したメニュー、シニア世代向けにはエイジングケアに特化したメニューなどが考えられます。
また、メニューにおいて他店との差別化を図ることも重要です。自店ならではの特徴や強みをアピールできるメニューを設定し、顧客に選ばれる理由を明確にしましょう。
設備を整える
個人エステサロンの開業に必要な機器などの設備を整えます。
購入
開業に合わせてマシンや備品は新しいものを購入するのが一般的です。
ただ、最新の機器は高額なものもあるので、自身のエステサロンで提供するメニューに合ったものを予算に応じて選びましょう。新品でなくても、中古で探すという選択肢もあります。
レンタル・リース契約
個人エステサロンで導入する機器や備品はレンタルやリース契約で借りるというのも選択肢となります。
高額な機器を買うためには初期費用も必要ですが、借りる場合はコストを抑えることができます。試しに使ってみて、自身のエステサロンのサービスやお客様に合っているかどうかを判断するという使い方もできます。
エステサロンで使うタオルやバスローブ、ベッド用リネンなどもレンタルをしている業者があるので、洗濯の手間を省きたい場合は検討すると良いでしょう。
リース契約のメリット・デメリットについては、以下の記事で解説しています。
集客を行う
個人エステサロンの開業を決めたら集客を始めましょう。
集客の方法は、店のホームページを作成したり、チラシを作成したり、美容ポータルサイトへの登録、ウェブ広告を広告会社に頼むことなどが挙げられます。
サロンのターゲットに合わせた集客方法で集客を行いましょう。
また、オープン直後は期間限定のキャンペーンなども打ちやすいです。お客様も新しいお店に興味を持ってくれることが多いので、できるだけ多くの新規顧客獲得につなげたいです。
エステサロンの集客方法について、以下の記事で詳しく開設しています。
予約システムを整える
個人エステサロンを開業する際、集客を増やすためには予約システムを整えることも重要です。
ネットを通じて24時間予約できる予約システムを整えることで、お客様は予約したいと思ったタイミングですぐに予約ができるため、予約機会の損失を防ぐことができます。また、予約の調整や顧客情報の管理を予約システムが行なってくれるため、サロン側にもメリットがあります。
予約システムによっては、SNSと連携できるものや、スマホで使えるものもあるので、サロンにあった最適な予約システムを選ぶようにしましょう。
以下の記事でサロンにおすすめな予約システムをご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
開業届の提出
個人エステサロンを開業する際、開業届の提出以外の特別な資格や申請は必要ありません。
開業届は前述のとおり、地域の管轄の税務署に提出します。用紙は税務署の窓口で受け取るか、国税庁のホームページからダウンロード、プリントアウトして使用できます。
開業届は個人事業主として事業を営み、税金の納付の関連で必要なので忘れずに提出しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
個人エステサロンを開業する際の注意点について説明してきました。個人エステサロンは自身の好みに合わせて店の内装や雰囲気などをこだわれるのが魅力です。エステティシャンとしての腕も生かしながら、素敵なお店を作ってください。
この記事が個人エステサロンを開業される方の一助になれば幸いです。
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