コロナ禍が明けて、対面でのサロンワークも解禁になった今、アロマサロンの人気が高まっています。アロマサロンは、エステサロンで使う高額な機器などを用意する必要がないため、開業のハードルが比較的低い業種であると言えます。そこで今回はアロマサロンを開業する際のステップや気をつけることについて解説します。
アロマサロンとは?
アロマサロンとは、アロマテラピーを基盤にしたリラックス効果や健康促進をお客様に提供するサロンとなっています。
天然の植物や花より抽出した精油(エッセンシャルオイル)を使い、お客様の心身を癒し、ストレス軽減や美容効果を追求します。
主にアロマサロンではアロマオイルを使ったマッサージやアロマディフューザーを活用した空間づくりなど、様々な手法を駆使してお客様に癒しの時間を提供します。
アロマサロン開業に資格は必要?
アロマサロン開業に資格は必要ない
近年人気のアロマサロンを開業するのに、資格は必要なのでしょうか?
結論から申し上げますと、アロマサロン開業に特別な資格は必要ありません。
そのため、未経験の方や無資格の方でもアロマサロンを開業できます。
一方で、民間資格でも資格を持っていると、ある一定の技術の証明になる上、お客様にも安心して施術を受けていただけやすくなります。
そこで、いくつかアロマセラピー関連の資格をご紹介します。
アロマサロン開業に役立つ資格
アロマセラピスト
アロマセラピストは、公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)が認定している資格になります。
AEAJが認定してイススクールにてカリキュラムを修了し、認定試験に合格すると資格が取得できます。
精油の専門知識に加え、解剖生理学や皮膚科学に関する知識や、トリートメント技術など、アロマサロン開業に必要な知識を一通り網羅できる資格となっています。
IFPA認定アロマセラピスト
こちらはイギリスの「国際プロフェッショナルアロマセラピスト連盟(IFPA)」が主催している、アロマテラピーの国際資格になります。
IFPAに認定された限られた学校で決められたカリキュラムを受け、卒業試験に合格すると、資格を取得することができます。
IFPA認定アロマセラピストは解剖生理学や病理学を始め、アロマテラピーの理論や実技はもちろん、ビジネスについての知識も学べるため、アロマサロンを開業する方に大変人気な資格となっています。
IFA国際アロマセラピスト
こちらもイギリスの「国際アロマセラピスト連盟(IFA)」が主催している、アロマテラピーの国際資格です。
IFAに認定された限られた学校で決められたカリキュラムを受け、卒業試験に合格すると、資格を取得することができます。
IFA国際アロマセラピストは、解剖生理学や病理学といった医学的な知識以外にも、ボディマッサージの実技についても学べるため、アロマサロンに役立つ知識を学ぶことができます。
アロマコーディネーター
アロマコーディネーターは「日本アロマコーディネーター協会(JAA)」が認定している資格です。
資格取得のためには、日本アロマコーディネーター協会指定のスクールのカリキュラムを修了した後、認定試験を受験し、合格する必要があります。
アロマセラピーに関するアロマオイルの知識から、フェイシャルトリートメント理論やボディトリートメント理論まで、幅広くアロマサロンに役立つ知識を取得できます。
アロマサロン開業で気をつけること
ここでは、アロマサロン開業の際に気をつけることについて解説します。
薬機法に注意
アロマ(精油類)は薬機法においては、基本的に雑貨と見なされるため、医薬品や化粧品には該当しません。
そのため、医薬品・医薬部外品・化粧品としてアロマの効果効能をアピールしたり、誤解を招くような広告や表示で販売することは法律で禁止されています。
また、製造業の許可を得ていない者が医薬品や化粧品を事業として生産・販売することも規制されています。
治療目的の施術はできない
アロマサロンで、アロママッサージの施術をする方に注意して欲しいのが、マッサージの効果の表記についてです。
マッサージにおいて、治療目的での施術は国家資格が必要になります。
国家資格を持っていない状態で、治療目的のマッサージを行なってしまうと、違法になってしまうので注意しましょう。
そのためあくまでアロマサロンで行うマッサージはリラクゼーション目的で施術を行いましょう。
使用するアロマオイルは厳選する
一般的に販売されているアロマオイルの中には、天然成分由来のエッセンシャルオイル100%ではないアロマオイルも存在します。
そのため、サロンで使用するアロマオイルは、しっかりと厳選したものを使用するようにしましょう。
しっかりと厳選されたアロマオイルを使用していることをお客様にもお知らせすることで、お客様からの信頼を得ることができます。
アロマサロン開業のステップ
ここからは、アロマサロン開業のステップについて詳しく解説します。
どんなサロンを開くか決める
まず、アロマサロンを開業することが決まったら、どんなアロマサロンを開業するのか決めます。
どんなサロンを開業するか具体的に細かく決めることで、今後サロンのメニューを決めたり、内装を決めたりする際に迷いがなく決めることができ、大変役に立ちます。
サロンのコンセプトを決める
まずサロンのコンセプトを決めていきます。
サロンのコンセプトとは、どんなお客様が、どんな時に来店し、どんな気持ちになって欲しいのかを具体的に考えていきます。
サロンのコンセプトをしっかりと決めることで、サロンをオープンした後も、サロンの向かうべき方向性が明確になっているため、ブレずに経営を続けることができます。
サロンのコンセプトの具体例としては、
- 日々仕事で疲れているお客様が、アロマの香りと施術で心身をリフレッシュし、穏やかな時間を過ごして欲しい。
- 美容や健康に気を遣っているお客様が、自分の美しさと健康をサポートするアロマトリートメントで、さらに美しくなって欲しい。
- 仕事と子育てでバランスの崩れがちなお客様が、アロマの力で心と体の調和を取り戻し、健やかな毎日を過ごして欲しい。
サロンのコンセプトはなるべく細かく、具体的に決めていきましょう。
サロンを開業する場所を決める
また、どんなサロンにするかの大切な要素として、サロンの開業場所が挙げられます。ここでは、アロマサロンの主な開業場所を3つご紹介します。
自宅で開業
ひとつ目は、自宅の一室を利用して開業する方法です。
働き方が多様化した今、営業時間を自由に決められたり、出勤するために通勤時間が発生しないため、副業として開業もできるため、人気の開業場所になります。
自宅の一室をサロンとして開業するため、新たに物件を借りる必要がなく、初期費用が大変安くすみます。また、開業後も家賃がかからないため、固定費の節約にもつながります。
ですが、自宅の一室のため、生活感を隠すのが難しく、サロンの雰囲気作りを工夫する必要があります。
また、自宅が最寄駅から遠い場合やアクセスが限られる場合は、駐車場の用意なども必要になってくるため、そちらの配慮も欠かせません。
マンションの一室を借りて開業
二つ目は、マンションを借りてその一室で開業する方法です。
自宅サロンよりもサロンの雰囲気作りがしやすく、テナントを借りるよりも初期費用が安く済むため、こちらも最近人気の開業場所となっています。
ですが、マンションを借りて開業する場合、マンションによっては商業利用ができない物件もあるため、あらかじめ管理会社などに問い合わせをするのがおすすめです。
テナントを借りて開業
三つ目は、新たにテナントを借りて開業する方法です。
自分自身の希望する場所に開業することができ、立地によっては駅近など、集客の面で有利になる場所で開業することができます。
ですが、テナントを借りる場合、初期費用が大きくかかってしまうため、開業資金は余裕を持って用意する必要があります。
開業資金を用意する
どんなサロンを開業するか決めたら、次は開業資金を用意しましょう。
開業資金は、開業する場所や内装の改装費用などによって大きく変わりますが、最低50万円から150万円必要になると言われています。
新たにマンションやテナントを借りる場合は、特に初期費用が大きくかかるため、開業資金はゆとりを持って用意することをお勧めします。
場合によっては、開業に際して助成金や補助金が使える場合がありますので、国や自治体のサイトをチェックしておきましょう。
似たような業種で、リラクゼーションサロンの助成金については、以下の記事で詳しく解説しています。
内装や備品を整える
開業資金を用意したらお店の内装や備品を揃えていきます。
内装や家具に関しては、初めに決めたサロンのコンセプトをもとに、イメージを決めていきます。イメージをもとに、内装や家具は雰囲気を統一し、カラーやトーンなどにもこだわりましょう。
施術だけでなく、お客様がサロンで過ごす時間全てを満足したものにするために、サロンの雰囲気作りはとても大切になります。
また、サロンにもよりますが、多くのサロンが揃える備品は以下になります。
- アロマオイル
- 施術用ベッド
- スツール
- タオル
- シーツ・カバー
- スリッパ
- アメニティ
- 荷物置き用のカゴ
- ハンガー
- お客様用の着替え
以上の備品の他に、感染対策としてアルコールや体温計なども用意すると良いでしょう。
お客様に素敵な時間を過ごしてもらえるよう、備品の細部まで気を配りましょう。
集客方法を考える
サロンが開業に近づいてきたら、お客様の集客方法を考えます。
集客方法としては、さまざまあり、以下の方法があります。
- ホームページの作成
- SNSの活用
- チラシ
- ポスティング
- フリーペーパーなどに掲載
お客様のターゲット層によって、最適な集客方法も変わってきます。
サロンの近辺の主婦の方がターゲットの場合、ネットの広告などよりも、チラシやポスティングが有効ですし、20代の若い世代がターゲットの場合はSNSでの集客がお勧めです。
サロンにおいてのSNS集客では、画像や動画などがメインのインスタグラムを使った集客が主流となっています。
実際、株式会社サイバーエージェントの調査によると、26歳から56歳の51%がインスタグラムを利用しているという結果があり(https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=29609)集客のツールとして大変有効であることがわかります。
インスタグラムの集客については、以下の記事で詳しく解説しています。
予約システムの導入
開業の準備が整ってきたら、予約システムの導入も検討しましょう。
予約システムを導入することで、予約の受付が24時間いつでも可能になり、お客様が予約したいと思った時に予約を承ることができます。
また、予約の日時調整やメニューの選択なども予約システム内で行なってくれるため、予約業務の作業効率化が図れます。
予約システムによっては、顧客管理や事前決済ができるものもあるため、ご自身のサロンの規模や予算に合わせて最適な予約システムを選びましょう。
以下の記事も参考にしてみてください。
開業届を出す
いざアロマサロンをオープンしたら、開業届を提出します。
開業届とは、個人で事業を始めたことを、税務署に申告するために提出するものです。
開業届を出すことは、税法において義務とされており、開業した事業主全員が提出するものとなっております。期限は開業した日から1ヶ月以内です。
開業届を出すことは義務になっている一方で、出さなかった場合の具体的な罰則は決められていません。そのため、開業して開業届を出さなかったからといって罰金や事業停止などの罰則を受けることはありません。
ですが、開業届を出すことで、サロン名義の銀行口座を開設できたり、税制の面でたくさんメリットがある青色申告が可能になるなど、さまざまな利点があります。
そのため、開業届は開業したら忘れずに出すようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回はアロマサロンの開業について開業のステップも含めて詳しく解説しました。
アロマサロンの開業は、エステサロンで使う高額な機器などを用意する必要がないため、開業のハードルが比較的低い業種です。
ぜひこの記事を開業の際の参考にしていただけると嬉しいです。
コメント