「施術中に電話が鳴り、対応できずに予約を逃してしまった」
「営業後の疲れ切った状態で、LINEの返信作業に追われている」
1人で運営する個人サロンにとって、予約管理は売上の要でありながら、最大のストレス源でもあります。
お客様にとって便利なLINE公式アカウントも、手動返信のままでは、オーナー様のプライベートな時間を奪う「足かせ」になりかねません。
この記事では、個人サロン経営に精通したプロの視点から、「無料・低コスト」で導入でき、「スマホだけで完結」するおすすめシステム5選を徹底比較。
さらに、InstagramとLINEを組み合わせた最強の集客導線や、リピート率を劇的に上げるメッセージ配信術まで、1人経営のサロンが生き残るためのノウハウを完全網羅しました。
本記事では「個人サロン」と「LINE」に特化して解説しますが、スタッフを雇用している中規模以上のサロンや、LINE以外の予約方法も含めて検討したいオーナー様は、以下の総合比較記事も併せてご覧ください。
- サロン全般の比較: サロン予約システム15選を徹底比較!業態別&失敗しない選び方もご紹介。
目次
なぜ個人サロンにこそ「LINE予約システム」が最強の選択肢なのか?

大手サロンのように受付専門のスタッフを雇えない個人サロンにとって、LINE予約システムの導入は「業務効率化」以上の意味を持ちます。
それは、オーナー様が「施術家」としての本質的な業務に集中するための、経営の命綱なのです。
「月間10時間以上」の事務作業をゼロにする自動化の威力
想像してみてください。1件の予約調整に、LINEの往復で合計5分かかるとします。
月に50件の予約があれば、それだけで「250分(約4時間)」です。
さらに、前日のリマインド送信、カルテの記入、来店後のお礼メッセージ送信を含めると、優に月間10時間以上を「スマホの画面を見つめる時間」に費やしていることになります。
予約システムを導入すれば、これらの作業はすべて全自動化されます。
空き枠の確認も、予約確定の連絡も、リマインドも、システムが勝手に行います。浮いた10時間を、新メニューの開発や、自身の休息、あるいは家族との時間に充てること。
これこそが、システム導入の最大の価値です。
「電話恐怖症」の現代顧客を取り込む、圧倒的なUX(顧客体験)
現代の消費者の多く、特に20代〜40代の層は「電話予約」を極端に嫌います。
「営業時間を気にしなければならない」「通話が億劫」という心理的ハードルがあるからです。
また、Webサイトでの会員登録も離脱の大きな要因です。
しかし、LINEであれば国内の9,600万人以上が日常的に使用しています。
「いつものLINE」を開き、リッチメニューをタップするだけで予約が完了する。
この圧倒的な手軽さ(UX)は、新規顧客の予約ハードルを極限まで下げ、予約率(CVR)を劇的に向上させます。
大手にはできない「個」を活かしたOne to Oneマーケティング

ホットペッパービューティーなどのポータルサイト経由の予約は、あくまで「ポータルサイトの会員」です。
しかし、LINE経由の予約は、最初から「オーナー様とお客様の直接的な繋がり」になります。
予約システムとLINEを連携させることで、来店履歴に基づいた「セグメント配信」が可能になります。
「そろそろカラーの時期ですね」「お誕生日おめでとうございます」といったメッセージを、一人ひとりに手動で送るのではなく、システムが自動で、適切なタイミングで送信してくれます。
これにより、オーナー様の労力をかけずに「私を気にかけてくれている」という特別感を演出し、強力なファン化(リピート促進)が可能になります。
失敗しない!個人サロン向けLINEシステムの「5つの選定ポイント」

「LINE連携」を謳うシステムは数多くありますが、中には設定が複雑すぎたり、個人サロンにはオーバースペックで高額なものも含まれています。
1人経営のサロンが選ぶべきシステムの基準は明確です。
1. LINE連携の「レベル」を見極める(リンク型 vs アプリ型)
LINE連携には大きく分けて2つの種類があります。
ここを理解していないと、導入後に「思っていたのと違う」というミスマッチが起こります。
レベル1:リンク型(リッチメニュー誘導)
LINEのリッチメニューに「予約する」ボタンを設置し、タップすると外部の予約ページ(ブラウザ)が開くタイプです。
- メリット: システム利用料が無料〜安価。設定が簡単。
- デメリット: 画面が切り替わるため、わずかですが離脱のリスクがある。
- 代表例: freee予約、Square予約
レベル2:アプリ型(LINEミニアプリ・チャットボット)
LINEのトーク画面上や、LINEアプリ内で予約動作がすべて完結するタイプです。
- メリット: お客様の利便性が最高に高い。離脱率が低い。
- デメリット: 月額費用がかかる(数千円〜)。開発コストがかかっているため無料版はほぼない。
- 代表例: Repitte、KaruteKun
コストをかけずに始めたいなら「リンク型」、お客様の体験を最優先し、月額コストを払ってでもリピート率を上げたいなら「アプリ型」を選びましょう。
2. 「コストパフォーマンス」と無料プランの有無
個人サロンにおいて、固定費の削減は利益確保の重要課題です。
月額1万円以上するような高機能システムは、個人サロンには重荷になることが多いです。
まずは「初期費用0円・月額0円」から始められるフリープランがあるシステム、もしくは月額2,000円〜3,000円程度の低価格帯のシステムを選ぶのが鉄則です。
機能が豊富でも、使いこなせなければコストの無駄になります。
ちなみに、「プログラミングを使ってLINE予約システムを自作すれば、もっと安くなるのでは?」と考える方や、「完全無料の予約システム」を幅広く比較されたい場合、以下の記事で詳しく解説しています。
3. スマホだけで管理が完結するか
1人経営のオーナー様は、パソコンの前に座っている時間はほとんどありません。
予約の確認、変更、お客様への返信、顧客カルテの記入など、すべての業務が「スマホ(またはタブレット)」だけでストレスなく行えるかが極めて重要です。
管理画面がスマホアプリに対応しているか、あるいはスマホブラウザでも見やすいUIになっているかを必ず確認しましょう。
4. 「顧客カルテ」との連動性
予約管理と顧客管理はセットであるべきです。
「前回いつ来店したか」「どんなメニューを受けたか」「会話の内容」といった情報が、予約が入った瞬間にスマホで確認できれば、接客の質は格段に上がります。
予約システムの中に簡易的な「電子カルテ機能」が含まれているものを選ぶと、紙カルテを探す手間がなくなり、業務効率が向上します。
5. 「LINE公式アカウント」の通数制限への対応
2023年のLINE公式アカウントの料金改定により、無料プランで送れるメッセージ数は「月間200通」までとなりました。
予約完了通知やリマインド通知をLINEのメッセージとして送るシステムの場合、予約数が多いとすぐにこの上限に達し、LINE側の有料プラン契約が必要になる場合があります。
一方、「リンク型」のシステムであれば、予約通知はメールで送られることが多いため、LINEの通数を消費しません。
ランニングコストを抑えるためには、この「通数消費」の仕組みも確認が必要です。
【2025年最新】個人サロンにおすすめのLINE予約システム厳選5選
前述の選定ポイントに基づき、個人サロンオーナー様に自信を持っておすすめできる5つのシステムを厳選しました。
なお、個人サロン向けに限定せず、「LINE連携できるシステム」や「全業種対応の予約システム」をもっと幅広く比較したい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
- LINE連携できる全ツール比較: LINEで無料の予約システムを!設定方法と連携できるおすすめツール6選を徹底比較
- 予約システム総合比較: 【2025年最新】予約管理システムの比較30選!業種別選び方のポイントも分かり易く解説。
比較一覧表
| サービス名 | freee予約(旧tol) | Repitte | LiME | STORES 予約 | Square 予約 |
| イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
| 料金(月額) | 0円~ | 2,980円~ | 0円~ | 0円~ | 0円~ |
| 無料プラン | あり | なし | あり | あり | あり |
| 連携タイプ | リンク型 | アプリ型 | アプリ型 | 通知連携 | リンク型 |
| 特徴 | スマホ完結・予約/顧客数無制限・会計連携 | LINE内完結・低コスト・チャット予約 | 美容師開発・カルテ機能が超優秀 | 回数券/月謝・LINE通知 | 事前決済・キャンセル料徴収・POSレジ |
1. freee予約(旧tol):スマホ完結・無料で始めるならこれ
freee予約は、「個人事業主・スモールビジネス」のために作られた、スマホアプリ完結型の予約システムです。
最大の魅力は、圧倒的な手軽さとコストパフォーマンスです。無料プランでも予約件数・顧客登録数が無制限で利用できます。
LINE連携は「リンク型」ですが、発行された予約用URLをLINE公式アカウントのリッチメニューに設定するだけで、すぐに予約受付を開始できます。
複雑な設定やPC操作は一切不要。まずはコストをかけずに、スマホ一つで予約管理を自動化したいオーナー様に最適です。
会計ソフトfreeeとの連携も強力で、確定申告の手間も省けます。
- こんな人におすすめ: パソコンが苦手、まずは無料で始めたい、確定申告も楽にしたい
2. Repitte(リピッテ):LINE完結型でコスパ最強

Repitteは、美容室やネイルサロンなどの「リピート業種」に特化した、LINE連携専用の予約システムです。
お客様はLINEのトーク画面から離脱することなく、チャット形式でスムーズに予約を完結できます(アプリ型)。
個人利用プランが月額2,980円(税込)から用意されており、LINE完結型のシステムとしては破格の安さです。
お客様に「新しいアプリを入れて」とは言いたくないけれど、LINEの中で最高にスムーズな予約体験を提供したいオーナー様におすすめです。
- こんな人におすすめ: お客様の利便性を最優先したい、LINE内で完結させたい
引用:Repitte
3. LiME(ライム):美容師開発のカルテ機能が優秀

LiMEは、現役美容師が開発した「カルテ管理」に強みを持つシステムです。
予約機能だけでなく、施術写真や手書きメモを無制限に保存できる電子カルテ機能が非常に優秀です。
LINE連携機能(LiMEサロン予約)を使えば、お客様はLINEから予約ができ、サロン側は予約情報と紐付いたカルテをすぐに確認できます。
「予約を取る」だけでなく、「お客様の記録をしっかり残してファン化したい」という、技術志向のオーナー様に支持されています。
- こんな人におすすめ: 施術写真やカルテをしっかり管理したい、美容師・理容師の方
引用:LiME
4. STORES 予約(ストアーズ予約):回数券・物販もこれ一つ

STORES 予約は、ネットショップ作成サービス「STORES」系列の予約システムです。
無料プランから「LINE連携(通知連携)」が可能で、予約が入るとLINEに通知が届くほか、お客様へのリマインドもLINEで送れます。
さらに、有料プランでは「回数券」や「月謝(サブスク)」のデジタル管理にも対応しています。
エステサロンやヨガ教室など、継続的なコース契約がメインのサロンにとって、物販や決済まで一元管理できる強力なツールです。
- こんな人におすすめ: 回数券や月謝制を導入したい、物販も行っている
引用:STORES 予約
5. Square 予約(スクエア予約):ドタキャン防止の決定版

Square 予約は、決済サービス「Square」が提供する予約システムです。
このシステムの最大の強みは、無料プランでありながら「キャンセル料の自動徴収」設定ができる点です。
予約時にクレジットカード情報を入力してもらうことで、無断キャンセルが発生した場合に規定の料金を徴収できます。
LINE連携は「リンク型」ですが、この強力な決済機能と併用することで、「LINEで手軽に予約できるが、ドタキャンは許さない」という、個人サロンを守る鉄壁の仕組みを作れます。
- こんな人におすすめ: 無断キャンセルに悩んでいる、対面決済もSquareで統一したい
引用:Square 予約
Instagram × LINE × 予約システムで作る「最強の集客導線」

個人サロンの集客において、Instagramは欠かせないツールです。
しかし、InstagramのDMで予約を受けていては、手間がかかる上に離脱も増えます。
ここで紹介するのは、Instagramで集めた関心を、LINEと予約システムを使って確実に「来店」へ繋げる勝利の方程式です。
ステップ1:インスタのプロフィールに「LINE登録リンク」を設置
Instagramのプロフィール欄のリンク先(URL)には、予約ページを直接貼るのではなく、「LINE公式アカウントの友だち追加リンク」を設定することを推奨します。
なぜなら、予約はいきなりハードルが高い行動だからです。
まずは「友だち追加」という低いハードルを超えてもらい、見込み客リストとして確保することが重要です。
「友だち追加で500円OFFクーポンプレゼント」などの特典をつけると、登録率はさらに上がります。
LINEへの誘導元として最も重要な「Instagram」の運用については、個人サロンや自宅サロンに特化した集客ノウハウを以下の記事で解説しています。
- あわせて読みたい: 自宅サロンの集客にはインスタがおすすめな理由3つ!運用のコツ
ステップ2:LINEのリッチメニューから「予約システム」へ誘導
友だち登録してくれたお客様に対し、LINEのリッチメニュー(画面下部の固定ボタン)で「空き状況確認・予約」を目立たせます。
ここで初めて、freee予約 などの予約システムへのリンクを設置します。
お客様は、自分のタイミングで予約システムの空き枠を見て、予約を完了させます。
ステップ3:来店後のフォローで「インスタ投稿」を促す
来店後のお礼メッセージ(LINE)の中で、「施術後の写真をインスタにアップしてタグ付けしてくれたら、次回特典あり!」といった案内を送ります。
これにより、お客様(UGC)による拡散が生まれ、新たな見込み客があなたのインスタプロフィールを訪れる…という循環が生まれます。
このサイクルを回す際、予約システムが自動化されていれば、オーナー様はインスタの発信のみに集中できます。
なおLINEとInstagramの連携は強力ですが、サロンの集客方法はそれだけではありません。
Googleマップ(MEO)やブログ、ポータルサイトなど、美容室・サロンが取り組むべき「集客のWeb戦略」全体については、以下の記事で網羅的に解説しています。
- あわせて読みたい: 美容室の集客方法11選!ゼロから始めるWeb戦略で予約が埋まる仕組み作り
LINEを活用した「リピーター育成(CRM)」の極意
予約システムを導入して「待ちの予約」を自動化したら、次はLINEを使って「攻めの予約(リピート)」を促しましょう。
システムとLINEを組み合わせることで、リピート率は劇的に向上します。
来店翌日の「サンクスメッセージ」自動化
お客様の満足度が最も高いのは「来店直後」です。
このタイミングで、「昨日はありがとうございました。
○○様のお肌の状態に合わせて、次回は3週間後くらいが目安です」といったサンクスメッセージを送ることが、次回の予約率を大きく左右します。
手動では忘れがちなこの作業も、システムを使えば自動化できます。
定型文に少しだけ手動で一言添えるだけでも、印象は大きく変わります。
来店サイクルに合わせた「リマインド配信」
お客様は、サロンに行きたいと思っていても、日々の忙しさで予約を忘れてしまいます。
そこで効果的なのが、来店履歴に基づいたリマインド配信です。「前回のカットから2ヶ月が経ちました。
そろそろメンテナンスはいかがですか?」というメッセージがLINEに届けば、お客様は「あ、予約しなきゃ」と思い出し、そのまま予約ボタンを押してくれます。
これは「売り込み」ではなく、お客様への「親切なリマインド」として受け入れられます。
誕生月や閑散期の「限定クーポン」配信
予約が少ない時期や、お客様の誕生月に合わせて、LINE限定のクーポンを配信するのも効果的です。
紙のDM(ダイレクトメール)は作成コストも郵送費もかかりますが、LINEならコストはほぼゼロです。
さらに、開封率もメールやDMより圧倒的に高いため、即効性のある集客施策となります。
「雨の日限定クーポン」などをリアルタイムで配信できるのも、個人サロンならではのフットワークの軽さを活かした戦略です。
まとめ│LINEは単なる連絡ツールではない。あなたの「最強の受付スタッフ」

個人サロンの経営は、オーナー様自身の「時間」がすべてです。
その貴重な時間を、予約の日程調整や返信作業、紙カルテの整理に費やしていては、いつまでたっても売上の天井は破れません。
LINE公式アカウントと予約システムを連携させることは、単なる業務効率化ではありません。
それは、24時間365日文句も言わず、正確に予約を受け付け、お客様にリマインドし、リピートを促してくれる「有能な受付スタッフ」を、無料(または低コスト)で雇うことと同義です。
まずは、freee予約(旧tol)のように無料で始められる「リンク型」からスタートし、LINE自動予約の快適さを体験してみてください。
空いた時間で、新しい技術を学んだり、お客様との会話を楽しんだり、あるいはゆっくり休息を取ったりする。
その「余裕」こそが、お客様に愛され続けるサロンを作るための、最も大切な要素なのです。
今回は「LINE連携」に焦点を当てましたが、LINE以外にも「ネット予約」や「電話予約」を含めた個人サロン向けの予約システム全般について知りたい方は、こちらの選び方ガイドもご覧ください。
- あわせて読みたい: 個人サロン予約システム比較12選|1人経営の悩みを解決する選び方







