エステサロンを経営する上で、売上の伸び悩みに頭を悩ませる経営者は多いはずです。アフターコロナを控え、顧客獲得競争が一層激しくなる中、いかに売上を伸ばせるかが経営の命運を左右するでしょう。売上アップには、客単価をあげることや集客数を伸ばすことが必要不可欠です。そこで今回は、そのようなエステサロンの売上向上に欠かせない具体的な対策を詳しく解説していきます。
売上はどうやって構成されている?
エステサロンで売り上げを増やしたいと思った時、まずは自身の店の売り上げがどのように構成されているのかをしっかり把握する必要があります。
売り上げは基本的に、客単価、収益率、集客数から導き出されます。
集客を増やすことは売り上げに直結しますし、1人のお客様により多くのメニューを選んでもらうようにして客単価が上がれば売り上げも増えます。
たくさんお客様を集めることができてもコストがかかりすぎていると収益率(利益率)が低く、売り上げにつながっていないというケースもあり得ます。その場合はコストの見直しが必要になるでしょう。
売り上げを増やすためには客単価、収益率、集客数の様々な側面から対策することが大切になります。
売上管理の際に役立つ用語
エステサロンの経営者として売り上げを考えるときには、マーケティング的な視点も重要になります。
エステサロンの経営にも役立つ、LTV(ライフタイムバリュー)とCPA(コスト・パー・アクション)の二つのマーケティング用語を紹介します。
LTV(ライフタイムバリュー)
LTVは「顧客生涯価値(Life Time Value)」の略称です。
ある顧客が自社の商品やサービスを利用し始めてから終了するまでに、その顧客からどれだけの利益を得られるかを示す指標です。
LTV=平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間
LTVは上記の計算式で求められます。1回で終わってしまうよりも、2回目以降に継続した方が頻度や継続期間の数値が高くなり、LTVも高くなります。
エステサロンの場合は購買頻度は、来店頻度と置き換えることができます。リピーターが増えることでLTVは高くなります。
平均顧客単価は売り上げを顧客数で割った数値です。エステサロンのLTVを考えるとき、自身の店がどの数値に問題があるかを分析する必要があります。
そうすれば自身のサロンのどこが弱いのかがわかり、単価が上がるようにした方が良いのか、リピーターが増えるようにした方が良いのかなど、具体的な改善策に繋げられるからです。
CPA(コストパーアクション)
CPAは「顧客獲得単価(Cost Per Action)」の略称です。
顧客を獲得するために、1人あたりにかかった費用を示します。
CPA=コスト÷コンバージョン数
CPAは上記の計算式で求められます。エステサロンの場合、例えば10万円の広告費をかけて10人の新規顧客が来店した場合、1人あたり1万円のCPAになります。単純計算ですが、1人あたりの売り上げが1万円以上ないと赤字となってしまいます。
CPAはより低い方が広告など集客のために行なっている施策の効果が高いことになります。新規顧客に限らず、総広告費とリピーターも含めた全体の顧客数でCPAを見ることもできます。
エステサロンでもウェブ広告やチラシの配布など、集客のための宣伝広告費を使うと思いますが、それが効果があるのかどうかを見極めるためにもCPAを計算してデータを見ることは大切です。
CPAが高すぎる場合は集客方法を見直す必要があるか、エステのサービスの質の向上のためにコストをかけた方が良いなど、具体的な改善策が考えられます。
エステで売り上げを上げるためには?
それでは、エステサロンで売り上げを増やすためにはどのような方法があるでしょうか。
新規顧客を獲得する
新規顧客の獲得は、エステサロンが売り上げを増やすために最も重要と言えます。新規顧客はその後もリピーターとなって売り上げにつながる可能性があるからです。
新規顧客を獲得するためのポイントをいくつか説明します。
サロンにしかない強みを確立する
他店との差別化が、新規顧客の獲得のためには重要です。
施術やサービスで自身のサロンにしかない強みを確立できれば、「このエステサロンだから行きたい」、「このサロンでないと受けられない」というように、お客様が選ぶ動機となります。
店のインテリアなど、内装の雰囲気にこだわることで他店との違いを作ることもあります。店のコンセプトやターゲットをはっきりさせ、来てもらいたい客層に強みをアピールしましょう。
メニューの見直し
新規顧客獲得のためには定期的なメニューの見直しも大切です。
新しいお客様でもわかりやすいメニューの設定や、ライバル店より安い価格やクーポンを提供することで、一度試してみようというきっかけになり得ます。
ただ、あまりにも安い価格だとお客様が品質面などで不安を感じ、集客数の悪化を招くこともあるので適切な価格を考えましょう。
SNSを活用する
エステサロンの新規顧客獲得にはSNSの活用が欠かせません。新規のお客様のほとんどがインターネットでお店のことを調べますし、来店のきっかけがSNSという割合は確実に増えています。
20代から30代の女性の多くがインスタグラムをコミュニケーションツールとして使っており、友人や知人の投稿でお店のことを知る機会も少なくありません。
SNSと連携した予約システムを導入すれば、よりスムーズな予約ができるので効果的です。
インターネット広告を利用する
集客のためにインターネット広告も一つの手段となります。
ユーザーが検索するキーワードに応じて出るリスティング広告や、特定のWebサイトのユーザーに表示されるディスプレイ広告などがあり、ターゲットとする客層や予算によって選ぶと良いでしょう。
フリーペーパーなどへの掲載
紙媒体でフリーペーパーの中には、地域に根ざしていてよく読まれているものもあります。
そうした地域密着のフリーペーパーであれば、エステサロンの近くに住んでいるお客様にリーチできる可能性があるので、フリーペーパーへの掲載をすることも選択肢となります。
チラシを配る
チラシの配布は古くから行われている宣伝手法です。
地域の方々がターゲットの場合、直接ターゲット層にサロンをアピールするチャンスになります。
ですが、チラシの印刷や、実際に配る労力などのコストがかかるので費用対効果を考えたうえで実施した方が良いです。
ホームページ・ブログを更新
ホームページやブログは新規のお客様が店のことを具体的に知ろうと思った時に見ることが多いので、定期的に更新しましょう。
ホームページはお客様の信頼度を高めるためにも必要ですし、ブログがあまりにも更新されずに放置されているとお客様が不安に思うこともあります。
店のコンセプトや雰囲気を伝えるためにもホームページやブログは充実させたいところです。
紹介制度の導入
新規のお客様にまた新たなお客様を紹介してもらうのも効果的な手段です。
紹介した方とされた方の双方が割引を活用できるような紹介制度を導入することで、集客アップにつなげられます。
客単価を上げる
売り上げを増やすためには、客単価を上げるのも一つの方法です。いくつかの施策を紹介します。
物販を併用する
エステサロンでは化粧品などの物販も客単価アップに貢献します。
施術に実際に使用したものや、セルフケアに役立つサプリメントなど、施術後に勧めることで購入してもらえば施術代に上乗せされます。
ただ、押し付けのような積極的すぎる売り込みは抵抗を感じるお客様もいるので、お客様に本当に必要となりそうなものを適度に提案することが大切です。
オプションメニューの設定
オプションメニューを用意することも客単価アップに効果があります。
角質ケアやパックのような、通常の施術に加えて案内できるものはお客様も選びやすいです。
ただ、長時間を必要とするものや、高額になってしまうものはそのお客様に合わない場合もあります。時間や予算に応じてお客様に合ったものを提案しましょう。
セットメニューや期間限定メニューの作成
客単価を上げるためには、セットメニューや期間限定メニューをとり入れるのも効果的です。
セットメニューにしてトータルで割安な料金設定にすることで、お客様はお得感を得られます。期間限定メニューも季節限定やイベントに合わせるなど、特別感を出すことでお客様が選ぶきっかけとなります。
お客様が支払う料金が高くなっても、満足感を得られることが重要です。
リピート率を上げる
お客様のリピート率を上げることも売り上げを維持し、増やしていくために重要です。
アフターケアをしっかりと行う
次の来店につなげるためにも、アフターケアをしっかりと行いましょう。
アフターカウンセリングでお客様に施術の内容がどうだったかを確認することや、それをふまえて次回の施術内容を提案するなど、コミュニケーションが大事です。
お客様一人ひとりに合った提案をすることで、お客様が特別感を感じることができてリピートにつながります。
施術から一定期間が過ぎたら、状況を聞いたり、次回来店を勧めたりするメールやDMを送るのもおすすめです。
お客様アンケートの実施
リピート率を上げるためには、お客様の声をエステサロンの経営に反映させることも大切です。
そのためにお客様アンケートを実施すると良いですが、その際はお客様の正直な声を聞き出すことが重要です。
来店後にメールやLINEで回答を依頼したり、美容ポータルサイトの口コミ、店のSNSへの書き込みなどで、サロンでは直接言えないことも書いてもらうと良いです。
ポイントカードの作成
ポイントカードは継続して利用する一つの動機となり得ます。
ポイントが貯まったら無料で受けられるサービスや、割引を用意することで、たくさん通ったお客様がお得感を得られるような仕組みを作ると良いでしょう。
次回来店クーポンの発行
次回の来店時に使えるクーポンの発行もリピート率を上げる効果があります。
施術の会計時に渡したり、一定期間後にメールやLINEで送ることで次回予約のきっかけになることもあります。
エステサロンの平均売上はどれくらい?
エステサロンのオーナーをしていると、平均の売り上げがどのくらいなのかは気になる部分でしょう。
エステサロンの規模にもよりますが、エステティシャン1人あたりの月の売り上げは100万円が目安と言われています。
客単価が1万円だとした場合、1日に対応できる顧客数は4人程度で1日の売り上げが4万円。これを月に25日営業した場合の売り上げが100万円です。
客単価を高められれば、その分売り上げもアップすることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
エステサロンで売り上げを増やすためのポイントを説明してきました。お客様の数を増やすか、単価を上げるか、リピート率を上げるかが鍵になります。
経営者として自身の店のどこに問題があるのかを分析するため、マーケティング的な視点を持つことも重要です。
いずれにしてもお客様の満足度を高め、選ばれるサロンになるということが大切になります。
この記事がエステサロンを経営される方の一助になれば幸いです。
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