脱毛サロン経営において、「機械のダブルブッキング」「複雑なコース契約の残数管理」「当日キャンセル」は大きな悩みです。
特にセルフ脱毛の普及で「無人化」への対応も急務となっています。
本記事では、脱毛機材の在庫管理や役務管理、スマートロック連携など、脱毛サロン特有の課題を解決する予約システム8選を厳選比較。
個人サロンから多店舗展開まで、あなたの経営スタイルに最適なシステムの選び方を解説します。
目次
なぜ脱毛サロンには「専用」の予約システムが必要なのか?

「美容室向けの予約システムや、Googleカレンダーではダメなのか?」という疑問を持たれるかもしれません。
しかし、脱毛サロンの運営には、他の業種にはない特殊な事情が3つあり、汎用的なシステムでは対応しきれないケースが多発します。
「人」ではなく「機械(脱毛機)」の在庫管理が最優先
美容室やマッサージ店は「スタッフ」が空いていれば予約が取れます。
しかし、脱毛サロンは違います。スタッフがいても、肝心の「脱毛機」が他の部屋で使われていれば施術はできません。
特に、全身脱毛用と部分脱毛用で機械を使い分けている場合や、機械の台数が部屋数より少ない場合、予約管理は複雑なパズルになります。
「スタッフ×部屋×機械」の3つの要素を紐付け、機械のダブルブッキングを物理的に防ぐ機能(リソース管理機能)が、脱毛サロンには不可欠です。
複雑な「コース契約・役務管理」の正確性
脱毛サロンの収益モデルの多くは、「6回コース」「12回コース」といった長期契約(役務)です。
これらは「前受金」として預かり、施術を行うたびに売上として計上(消化)していく会計処理が必要です。
紙やExcelでの管理は、残回数の数え間違いや、有効期限の誤認といったトラブルの元凶となります。
システム上で「契約回数・消化回数・残金額」を自動計算し、お客様もマイページで確認できる環境を作ることは、サロンの信用を守るために必須の条件です。
男女の「予約時間制限」とプライバシー配慮
近年増えている「男女共用サロン」や「メンズ脱毛」において、女性客と男性客が鉢合わせしないように配慮することは非常に重要です。
「男性の予約が入っている時間は、前後の枠をブロックする」あるいは「この曜日はレディース限定にする」といった複雑な予約制限ルールを、システムが自動で判別して制御できれば、オペレーションのミスによるクレームを未然に防ぐことができます。
失敗しない!脱毛サロン向けシステムの「5つの選定軸」

数ある予約システムの中から、自店に最適なものを選ぶためにチェックすべき5つの重要ポイントを解説します。
1. 「リソース(機械・部屋)管理」機能はあるか?
予約システムの中には、「スタッフの指名予約」しかできないものがあります。
これでは脱毛サロンの運営はできません。
必ず「設備(機械)」や「部屋」を予約在庫として登録でき、それらが埋まっている時間は自動的に予約不可になる「リソース管理機能」があるかを確認してください。
2. 「コース・役務管理」と「特商法対応」
コース契約の残数管理はもちろん、特定商取引法(特商法)に基づく「概要書面」や「契約書」の作成・交付をシステム上でデジタル化できるかも重要です。
中途解約が発生した場合の精算計算がスムーズに行える機能があれば、コンプライアンスリスクを大幅に低減できます。
3. 「デジタル同意書・電子カルテ」の対応(ペーパーレス化)
脱毛施術には、火傷や肌トラブルのリスク説明と、それに対する「同意書」への署名が必須です。
毎回紙で署名をもらい、ファイリングして保管するのは場所も手間も取ります。
予約時や来店時にタブレットで署名ができ、それがそのまま顧客カルテに保存される「デジタル同意書」機能があれば、業務効率は劇的に向上します。
また、施術部位の毛量や肌の状態を写真で残せる電子カルテ機能も、効果の実感を高めるために有効です。
特に脱毛サロンは、未成年のお客様が来店されるケースも多いため、親権者同意書の取得や法律面の知識が必須となります。
トラブルを防ぐための注意点については、こちらの記事も参考にしてください。
- 参考記事: 「【エステサロン必見】未成年のお客様これだけは注意して!」
4. 「セルフ脱毛(無人)」対応ならスマートロック連携
スタッフが施術を行わない「セルフ脱毛サロン」の場合、入退店管理の自動化が鍵となります。
予約システムと「スマートロック(RemoteLOCKやAkerun)」が連携し、予約確定時にお客様ごとの「入室用暗証番号」を自動発行できる機能があれば、完全無人での運営が可能になり、人件費を大幅に削減できます。
5. 「ホットペッパービューティー」等のポータルサイト連携

集客のためにホットペッパービューティー(HPB)を利用しているサロンも多いでしょう。
自社予約システムとHPBの予約台帳が連動していないと、ダブルブッキングのリスクがあります。
「サイトコントローラー」機能や「Googleカレンダー連携」を通じて、複数の予約経路を自動で一元管理できるシステムを選ぶのが賢明です。
【2025年最新】脱毛サロンにおすすめの予約システム徹底比較8選
ここからは、前述の選定軸に基づき、脱毛サロンに最適な予約システムを厳選して紹介します。
なお、脱毛に特化せず、全業種対応のシステムを含めて幅広く検討したい方や、とにかくコスト重視で探したい方は、以下の比較記事も併せてご覧ください。
無料プラン限定の比較: 「予約システム 無料」
全システムの総合比較: 「予約システム 比較」
それでは、「個人・小規模・セルフ向け(コスト重視)」と「中規模・多機能・医療提携向け(機能重視)」の2つのカテゴリで紹介します。
【個人・小規模・セルフ向け】低コスト・スマホ完結のおすすめ4選
開業初期や1店舗のみの運営、またはセルフ脱毛サロンで、まずはコストを抑えて導入したいオーナー様に最適なシステムです。
| サービス名 | freee予約(旧tol) | Square 予約 | STORES 予約 | MOSH |
| イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
| 月額費用 | 0円~ | 0円~ | 0円~ | 0円~ |
| 無料プラン | あり | あり | あり | あり |
| 特徴 | スマホ完結・個人特化 / シンプル予約 | 決済・キャンセル料徴収 / 機器管理(有料) | 回数券・月謝に強い / LINE連携 | 個人サロン特化 / サブスク・回数券対応 |
1. freee予約(旧tol)
freee予約は、スマホアプリだけで予約サイト作成から顧客管理まで完結する、個人事業主やスモールビジネスに特化したシステムです。
最大の魅力は、その手軽さとコストパフォーマンス。
無料プランでも予約件数無制限で、事前決済機能も利用可能です。
「まずは予約窓口を作りたい」「コストをかけたくない」という開業初期のサロンに最適です。
機械の在庫管理などの高度な機能はありませんが、1人で1台の機械を回すようなプライベートサロンであれば十分に対応可能です。
推奨: 個人開業、自宅サロン、機械が1台のみのサロン
2. Square 予約(スクエア予約)

Square 予約は、決済サービス「Square」が提供するシステムです。
このシステムの強みは「無断キャンセル対策」です。
無料プランであっても、「キャンセル料の自動徴収設定」が可能で、予約時にカード情報を入力してもらうことで、ドタキャン発生時に確実にキャンセル料を回収できます。
また、有料プラン(プラスプラン)にすれば「リソース(部屋・設備)管理」機能も利用でき、機械のダブルブッキングを防ぐ設定も可能です。
推奨: 無断キャンセルに悩むサロン、将来的に機械管理もしたい方
引用:Square 予約
3. STORES 予約(ストアーズ予約)

STORES 予約は、「回数券」と「月謝(サブスク)」の管理機能が非常に強力なシステムです。
お客様はスマホで回数券を購入し、予約時に残数を消化できます。
これにより、脱毛サロンの収益モデルである「コース契約」をスムーズにデジタル化できます。
無料プランからLINE連携(通知)が使えるのも強みです。
推奨: 回数券や月謝制を導入したいサロン、LINE活用したい方
引用:STORES 予約
4. MOSH(モッシュ)

MOSHは、個人のクリエイターやサロンオーナーに特化したプラットフォームです。
予約機能に加え、月額サブスクリプションや回数券の販売機能が充実しています。
スマホで完結するデザイン性の高いページが作れるため、InstagramなどSNS集客を中心とする個人サロンと相性が良いです。
推奨: SNS集客がメインの個人サロン、サブスクを導入したい方
引用:MOSH
【中規模・多機能・医療提携向け】本格運営システム4選
複数店舗展開、複雑な機械管理、電子カルテ、無人化などを実現したい本格的なサロン向けシステムです。
| サービス名 | Bionly | RESERVA | KaruteKun | hacomono |
| イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | |
| 月額費用 | 要問合せ | 0円~ | 要問合せ | 35,000円~ |
| 無料プラン | なし | あり | なし | なし |
| 特徴 | 画像カルテ・デジタル同意書 / POS一体型 | スマートロック連携 / 設備管理 / 多店舗 | LINE×電子カルテ / リピート特化 | セルフ脱毛・無人化特化 / サブスク・入会手続き |
5. Bionly(ビオンリー)

Bionlyは、美容サロン運営に必要な機能をiPadに集約したオールインワンシステムです。
脱毛サロンにとって最強の武器は「写真付き電子カルテ」と「デジタル同意書」です。
施術ごとの肌の状態や毛量を写真で記録し、同意書への署名もタブレットで完結。紙の管理から完全に解放されます。
POSレジ機能も一体化しており、コース消化と売上管理が連動するため、役務管理や経営分析も容易です。
推奨: ペーパーレス化したいサロン、施術記録・役務管理を重視する方
引用:Bionly
6. RESERVA(レゼルバ)

RESERVAは、登録事業者数26万社を誇る国内最大級の予約システムです。
「設備・備品予約」機能が充実しており、複数の脱毛機と部屋の組み合わせを厳密に管理できます。
また、「スマートロック連携(RemoteLOCKなど)」による無人化ソリューションも強力で、セルフ脱毛サロンの無人運営には最適です。
推奨: セルフ脱毛(無人)サロン、機械の台数が多いサロン
引用:RESERVA
7. KaruteKun(カルテくん)

KaruteKunは、「LINE公式アカウント」と「電子カルテ」を融合させたシステムです。
お客様は使い慣れたLINEから予約や変更ができ、回数券の残数もLINEで確認できます。
脱毛は「痛くないですか?」「肌荒れしていませんか?」といったアフターフォローが重要ですが、LINEを使えばお客様と密なコミュニケーションが取れ、信頼関係の構築に役立ちます。
推奨: LINE集客を強化したいサロン、お客様との距離を縮めたい方
引用:KaruteKun
8. hacomono(ハコモノ)

hacomonoは、フィットネスやスクールでシェアNo.1のシステムですが、「セルフ脱毛サロン」との相性も抜群です。
「入会手続き」「本人確認」「月謝決済」「予約」「QR入館証発行」までを、すべてお客様のスマホ上で完結させます。
スタッフが対面で手続きする必要がないため、完全無人店舗や24時間営業のサロンを構築するなら最強の選択肢です。
サブスクリプション(通い放題)の管理に非常に強いです。
推奨: セルフ脱毛サロン、サブスク・通い放題メインのサロン、完全無人化
引用:hacomono
【最新トレンド】「医療提携」や「物販」に対応する機能活用術
脱毛サロンのビジネスモデルは進化しています。
単なる施術だけでなく、新たな収益源を確保するために予約システムをどう活用すべきか解説します。
「医療提携(オンライン診療)」とZoom連携
最近、エステ脱毛サロンがクリニックと提携し、オンライン診療を通じて処方薬などを案内する「医療提携モデル」が増えています。
この場合、サロン内でスムーズに医師とのオンライン通話をセッティングする必要があります。
予約システムに「Zoom連携」や「ビデオ通話URL自動発行」機能があれば、お客様が来店したその場でスムーズにオンライン診療へ誘導でき、単価アップの機会を逃しません。
「店販(EC)」との在庫連携で収益最大化
脱毛効果を高めるためのホームケア商品(保湿剤やスクラブなど)の販売は、重要な収益源です。
予約システムとPOSレジ、あるいはネットショップ(EC)機能が連携していれば、施術予約と同時に商品の取り置き予約を受け付けたり、店舗に在庫がない商品をその場でECから購入案内したりといった「オムニチャネル」な接客が可能になります。
STORES予約などはこの連携に強みを持っています。
「セルフ脱毛」と「有人サロン」で変わる必須機能と活用術
あなたのサロンが「セルフ(無人)」なのか「有人」なのかによって、予約システムの活用方法は大きく異なります。
それぞれの業態で売上を最大化するための活用術を紹介します。
セルフ脱毛サロン:入退館管理と動画マニュアル
セルフ脱毛サロンの成功の鍵は、「いかにお客様を迷わせず、無人で完結させるか」です。
入退館管理
スマートロック連携機能を持つシステム(RESERVA、hacomonoなど)を導入し、予約時間限定の鍵を自動発行することで、スタッフの常駐を不要にします。
動画マニュアル
予約確定メールやLINEリマインドの中に、「脱毛機の使い方動画」や「入室手順動画」のリンクを自動で挿入します。
これにより、当日のお客様からの問い合わせ電話を減らし、スムーズな利用を促せます。
有人脱毛サロン:カウンセリング効率化と次回予約
有人サロンの価値は「カウンセリング」と「施術の質」です。
事前カウンセリング
予約時にWEB問診票(freee予約の追加質問機能など)を送付し、肌の悩みや体調を事前に把握します。
当日のヒアリング時間を短縮し、施術や提案に時間を割くことができます。
次回予約のその場確保
施術後に、タブレット上の予約システム画面を見せながら「毛周期に合わせて、次は○週間後のこの日が最適です」と提案し、その場で次回予約を確定させます。
システムが使いやすければ、このクロージングがスムーズになり、離脱を防げます。
導入後の「売上アップ」活用術:LINEと写真を武器にする
予約システムは、導入して終わりではありません。蓄積されたデータを活用してこそ、真価を発揮します。
LINE公式アカウントでの「毛周期リマインド」
脱毛は「通うタイミング」が命です。
しかし、お客様はついつい予約を先延ばしにします。
LINE連携機能を使い、前回の来店から適切な期間(例:1ヶ月後、2ヶ月後)が経過したタイミングで、「そろそろ毛周期のタイミングです。
効果を最大化するためにご予約をお待ちしています」というメッセージを自動配信(ステップ配信)しましょう。
これにより、休眠しかけた顧客を呼び戻すことができます。
「LINEで予約を取りたい」「無料でLINE連携を始めたい」という方は、LINE連携に特化した以下の比較記事で、さらに詳しいツールの選び方を解説しています。
- 関連記事: 「LINE 予約システム 無料|連携ツール徹底比較」
ビフォーアフター写真の共有による継続率アップ
「本当に毛が減っているのかな?」と不安になるお客様は多いです。
電子カルテ機能(LiMEやBionly)を使って、初来店時と現在の比較写真を並べて見せることで、効果を可視化しましょう。
「こんなに減っていますよ!」という事実は、コース契約の更新や、新たな部位の契約(クロスセル)を引き出す最強の営業ツールになります。
失敗しない導入のためのロードマップとQ&A
最後に、システム導入でよくある疑問と、スムーズな移行手順をまとめました。
Q. 無料プランから始めても大丈夫?
A. はい、特に「機械が1〜2台の個人サロン」であれば、無料プランでも十分に運用可能です。
ただし、無料プランでは「顧客データの保存容量」や「LINE連携数」に制限がある場合が多いです。
まずは無料で使い勝手を試し、会員数が増えて管理が煩雑になってきたタイミングで、有料プランや特化型システムへの移行を検討するのが最もリスクの低い方法です。
なお、システム選びと並行して、業務用脱毛機の導入費用や物件取得費など、開業資金全体の計画も重要です。
脱毛サロンの初期費用やランニングコストについては、以下の記事で詳しく解説しています。
- あわせて読みたい: 「脱毛サロンの開業資金の総額は?初期費用やランニングコストを解説」
Q. 紙のカルテや契約書はどう移行する?
A. 既存の紙データは、スキャンして画像データとして新しいシステムの顧客カルテに保存するか、次回来店時に改めてデジタル同意書にサインしてもらう運用が一般的です。
一気に全て移行しようとせず、来店されたお客様から順次デジタルへ切り替えていくのが現場の負担を減らすコツです。
導入3ステップ:まずは「予約」からデジタル化
- 予約受付の自動化: まずはWeb予約窓口を作り、電話対応を減らす。(freee予約などで即日可能)
- 決済のキャッシュレス化: 事前決済を導入し、ドタキャンを防ぐ。
- 契約・カルテのペーパーレス化: 運用が軌道に乗ったら、同意書やカルテもデジタルへ移行する。
まとめ│予約システムで「機械」と「お金」の管理から解放されよう

脱毛サロンの経営は、機械のスケジュール管理、複雑なコース契約の管理、そしてスタッフの労務管理と、非常に多くの「管理業務」に忙殺されがちです。
これらを人間の手で完璧にこなそうとすれば、ミスが起きるのは必然であり、オーナー様自身が疲弊してしまいます。
しかし、適切な予約システムを導入すれば、機械のダブルブッキングは物理的に消滅し、役務管理は自動化され、無人運営さえも可能になります。
それは、あなたが「管理業務」から解放され、「お客様の肌を綺麗にすること」や「サロンの拡大戦略を考えること」に集中するための時間を生み出してくれます。
まずは、freee予約(旧tol)やSquare 予約のような、無料で始められるシステムを使って、予約の自動化の第一歩を踏み出してみてください。
そして、ビジネスが成長したら、無人化や高度な役務管理システムへとステップアップしていく。
それが、競争の激しい脱毛業界で勝ち残るための、最も確実なロードマップです。










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