「本日14時にご予約の〇〇様が、まだお見えにならない…」。
サロンやクリニック、飲食店など、予約制でビジネスを運営されている方にとって、予約時間にお客様が来ないという状況は、頭を悩ませる深刻な問題です。
単にスケジュールが狂うだけでなく、その時間に得られるはずだった売上が失われ、他のお客様をお断りしていた場合は機会損失にも繋がります。
なにより、大切なお客様の身に何かあったのではないかという心配も尽きません。
このような時、どのような言葉で、どのタイミングで連絡をすればよいのでしょうか。
事務的に催促すれば、お客様の気分を害してしまうかもしれません。
かといって、何も連絡をしなければ、無断キャンセル(ノーショー)として処理せざるを得ず、お客様との関係が途切れてしまう可能性もあります。
このさじ加減は非常に難しく、多くの店舗経営者やスタッフが頭を抱えているのが現状です。
この記事では、そんな「予約時間に来ないお客様」への対応に悩むあなたのために、プロの視点から、状況に応じた最適なメールの書き方を、具体的な例文を6パターン交えながら徹底的に解説します。
単なる例文の紹介に留まらず、お客様の心理や来店されない理由の考察から、メールを送る際の基本マナー、無断キャンセルを未然に防ぐための具体的な予防策まで、網羅的に掘り下げていきます。
この記事を最後までお読みいただければ、お客様との良好な関係を維持しながら、毅然と、かつ丁寧に対応するための知識とスキルが身につきます。もう、連絡一本に悩むことはありません。お客様との信頼関係をさらに深め、安定した店舗運営を実現するための一助となれば幸いです。
目次
お客様が予約時間に来ない…考えられる5つの理由と心理

お客様が予約の時間になっても姿を見せない時、私たちはつい「忘れられたのだろうか」「無断キャンセルだろうか」とネガティブな想像をしてしまいがちです。しかし、一方的に決めつけて対応を誤ると、お客様との大切な信頼関係にひびが入りかねません。
まずは、お客様がなぜ予約時間に来られないのか、その背景にある様々な理由と心理を理解することから始めましょう。相手の状況を想像することで、より適切で思いやりのあるコミュニケーションが可能になります。ここでは、代表的な5つの理由を掘り下げて考察します。
うっかり忘れ・日時の勘違い
最も多いのが、この「うっかり忘れ」や「日時の勘違い」というケースです。特に、数週間前や1ヶ月以上前に予約を入れた場合、日々の忙しさの中で予約の存在そのものを忘れてしまったり、日付や時間を間違えて記憶してしまったりすることは誰にでも起こり得ます。
例えば、「15日」を「金曜日」と紐づけて覚えていたが、実際は木曜日だった、午前と午後を勘違いしていた、といったケースは少なくありません。この場合、お客様に悪気は全くなく、むしろ連絡を受けて「申し訳ない」という気持ちになることがほとんどです。
したがって、高圧的な態度や責めるような文面は絶対に避け、あくまで「ご確認ですが」というスタンスで丁寧に連絡することが、後の良好な関係を維持する鍵となります。
急な体調不良や交通障害
予約当日、予期せぬトラブルに見舞われることもあります。急な発熱や腹痛といった体調不良、家族の不幸、そして予期せぬ事故や電車の遅延などの交通障害です。こうした不可抗力な事情の場合、お客様自身も「早く連絡しなければ」と焦っていることが多いですが、それどころではない状況に陥っている可能性も十分に考えられます。
特に深刻な体調不良や事故の場合、連絡をすること自体が困難です。このような状況を想定し、一方的にキャンセル処理をするのではなく、「何かお困り事でもございましたでしょうか」と、まずはお客様の安否を気遣う一文を添える配慮が、お客様に安心感を与え、店舗への信頼を高めることに繋がります。
予約のダブルブッキング
お客様自身が、他の予定と予約が重なっていることに気づいていないケースもあります。
スマートフォンのカレンダーアプリや手帳でスケジュール管理をしていても、入力ミスや確認漏れでダブルブッキングが発生することはあり得ます。
この場合も、お客様に悪気があるわけではありません。むしろ、指摘されて初めて気づき、平謝りされることも多いでしょう。
こうした可能性を念頭に置き、あくまで事実確認として「本日のご予約について」と連絡することで、お客様も素直に状況を説明しやすくなります。
予約したこと自体への躊躇・不安
特に、初めて利用するサービスや、高額なメニューを予約した場合に起こりうる心理です。予約をした時は楽しみだったものの、日が近づくにつれて「本当にこのサービスは自分に合っているのだろうか」「もっと安いところがあるのではないか」といった不安や躊躇が生まれ、結果的に足が遠のいてしまうケースです。
また、美容整形クリニックやカウンセリングなど、デリケートな悩みを扱うサービスでは、来店への心理的なハードルが直前で高まってしまうこともあります。このようなお客様の不安な心理を理解し、寄り添う姿勢を見せることが重要です。決して追い詰めるような連絡はせず、改めてサービスの魅力を伝えたり、「またの機会にお待ちしております」と伝えたりすることで、将来的な再来店に繋がる可能性があります。
悪意のある無断キャンセル(ノーショー)
残念ながら、ごく少数ではありますが、キャンセル連絡が面倒、あるいは特に理由なく、意図的に無断キャンセルをするケースも存在します。このような「悪意のあるノーショー」は、店舗にとって最もダメージが大きく、対応も難しくなります。
しかし、最初から悪意があると決めつけて対応するのは危険です。前述したようなやむを得ない事情があった可能性もゼロではないからです。まずは他のお客様と同様に中立的な立場で連絡を取り、それでも応答がない、あるいは同様の行為を繰り返すといった場合に限り、キャンセルポリシーに則った毅然とした対応を検討する必要があります。お客様の大多数は善良であるという前提に立ち、冷静に対応することが肝要です。
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こうした悪意のある無断キャンセルは、店舗にとって特に大きな損害となります。だからこそ、予約の段階で「無断キャンセルしにくい仕組み」を導入しておくことが、最も効果的な自己防衛策と言えるでしょう。
例えば、スマートフォンアプリから誰でも簡単に使える予約システム「freee予約」なら、予約サイト作成と同時に「事前決済機能」といった設定を手軽に追加できます。
安易なキャンセルを強力に抑止するこれらの仕組みは、すでに数万のスモールビジネス事業者に導入され、継続率98%と高い評価を得ています。
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【状況別】予約時間に来ないお客様へのメール例文(来店前)
予約時間を過ぎてもお客様がお見えにならない。そんな時、まず必要になるのが来店前の確認連絡です。
この段階でのコミュニケーションは、お客様との関係性を左右する非常に重要な局面と言えます。
高圧的にならず、かといって状況を放置もできない。ここでは、時間の経過とともに状況が変化することを見据え、3つのステップに分けたメール例文と、それぞれのポイントを詳しく解説します。これらの例文をベースに、自店のスタイルに合わせて調整してご活用ください。
参考:【2025年最新】無料で使えるおすすめ予約システム20選を徹底比較|選び方や注意点も解説
①予約時間を少し過ぎた時点での「確認」メール(丁寧)
予約時間を5分から10分程度過ぎた段階で送る、最初の確認メールです。この時点では、お客様が道に迷っている、交通機関が少し遅れている、あるいは単純に時間を勘違いしているといった可能性が最も高いと考えられます。
そのため、相手を責めるようなニュアンスは一切排除し、あくまで「ご状況の確認」と「手助けの申し出」に徹することが重要です。
件名:【店舗名】本日のご予約の件でご連絡いたしました
本文例文:
〇〇様
いつもお世話になっております。
〇〇(店舗名)の〇〇(担当者名)です。
本日〇時〇分よりご予約をいただいておりますが、ご都合いかがでしょうか。
もし、お店の場所が分かりにくい、交通機関の遅れなど、何かお困りのことがございましたら、どうぞご遠慮なくこちらの番号(00-0000-0000)までお電話ください。
〇〇様にお会いできることを、スタッフ一同、心より楽しみにお待ちしております。
ポイント解説
このメールの目的は、お客様を安心させることです。「ご都合いかがでしょうか」という柔らかい表現で、プレッシャーを与えずに状況を尋ねています。また、「お店の場所が分かりにくい」「交通機関の遅れ」といった具体的な可能性をこちらから提示することで、お客様が返信しやすくなる心理的効果も狙っています。
万が一、お客様が予約を忘れていた場合でも、この丁寧な文面であれば素直に謝罪し、日程変更などの次のアクションに繋がりやすくなります。最後に「楽しみにお待ちしております」と添えることで、歓迎の意を示し、ポジティブな印象で締めくくることができます。
②予約時間から15分程度経過した際の「心配」メール
最初のメールを送っても返信がなく、予約時間から15分から20分程度が経過した場合、次のアクションを考えなければなりません。単なる遅刻ではなく、何かトラブルに巻き込まれた可能性も出てきます。
ここでは、「催促」から「心配」へとトーンを少し変え、お客様の安否を気遣う姿勢を前面に出すことが大切です。これにより、万が一お客様が本当に困っている場合に、店舗への信頼感を深めることができます。
件名:【店舗名】ご予約の件、その後いかがでしょうか?
本文例文:
〇〇様
〇〇(店舗名)の〇〇です。
先ほどもご連絡いたしましたが、本日〇時〇分からのご予約の件、その後のご状況はいかがでしょうか。
もし、道中でお困りのことや、何かトラブルなどがございましたら、ご遠慮なくお知らせください。
〇〇様の身に何もなければ良いのですが、スタッフ一同、少し心配しております。
なお、ご予約時間を30分以上過ぎてご来店、またはご連絡がない場合は、誠に勝手ながらキャンセルとさせていただく場合がございますので、何卒ご了承ください。
ご連絡をお待ちしております。
ポイント解説
このメールでは、「心配しております」という言葉を明確に入れることで、単なる確認ではなく、お客様の身を案じているというメッセージを伝えます。これがクッションとなり、後に続くキャンセルポリシーに関する記述を和らげる効果があります。キャンセルポリシーについて触れることは、後のトラブルを避けるために重要です。
「誠に勝手ながら」「何卒ご了承ください」といった丁寧な言葉を使い、あくまでルールとして提示する形をとります。この段階で電話を一本入れてみるのも有効な手段です。メールと電話を組み合わせることで、連絡がつく可能性が高まります。
③電話も繋がらない場合の「最終確認」メール
予約時間から30分以上が経過し、メールにも電話にも応答がない場合、残念ながら無断キャンセル(ノーショー)の可能性が非常に高まります。この段階では、次の予約のお客様も控えているため、区切りをつける必要があります。
このメールは、本日の予約がキャンセル扱いになることを通知する最後の連絡です。感情的にならず、事務的かつ丁寧に事実を伝えることに徹します。
件名:【店舗名】本日ご予約のキャンセルにつきまして
本文例文:
〇〇様
〇〇(店舗名)の〇〇です。
本日〇時〇分にご予約をいただいておりましたが、その後ご連絡がございませんでしたので、誠に恐縮ですが、当店のキャンセルポリシーに基づき、本日のご予約はキャンセルとさせていただきました。
もし、何か緊急のご事情などがございましたら、お手数ですが、営業時間内に店舗までご連絡いただけますと幸いです。
〇〇様がまたのご機会にご来店いただけますことを、心よりお待ちしております。
ポイント解説
このメールの目的は、予約がキャンセルになったという事実を明確に伝え、記録に残すことです。「キャンセルとさせていただきました」と過去形で伝えることで、決定事項であることを示します。ただし、お客様との関係を完全に断ち切る必要はありません。
「何か緊急のご事情などがございましたら」と相手の状況を慮る一文や、「またのご機会に」という言葉を加えることで、やむを得ない事情があったお客様が再度連絡しやすくなる余地を残しておきます。このメールを送ることで、店舗としては一定の対応を完了したことになり、次の業務に気持ちを切り替えることができます。
参考:営業時間変更のお知らせ【例文12選】│お客様に誠意が伝わる書き方とWEBサイト&SNS別テンプレート集
【状況別】予約時間に来ないお客様へのメール例文(無断キャンセル確定後)
残念ながらお客様からの連絡がなく、無断キャンセル(ノーショー)が確定してしまった後。この段階での対応は、今後のそのお客様との関係をどうしたいか、そして店舗の損失をどう考えるかによって、大きく方向性が分かれます。
感情的に対応するのではなく、店舗としての方針に基づき、冷静かつ戦略的にコミュニケーションをとることが求められます。ここでは、「事実確認」「関係維持」「キャンセル料請求」という3つの異なる目的に合わせたメール例文をご紹介します。
④無断キャンセル当日の「事実確認」メール(中立的)
無断キャンセルが確定した当日の営業終了後などに送る、最もスタンダードなメールです。このメールの目的は、お客様を責めることではなく、予約があった事実と、来店がなかった事実を客観的に通知することにあります。
やむを得ない事情があったお客様が、後日気まずさを感じることなく連絡できるような、中立的なトーンを保つことが重要です。
件名:【店舗名】本日〇月〇日のご予約についてのご連絡
本文例文:
〇〇様
いつもお世話になっております。
〇〇(店舗名)の〇〇です。
本日〇時〇分より、〇〇(コース名など)にてご予約をいただいておりましたが、ご来店が確認できませんでした。
何かご事情がおありでしたでしょうか。
もし、日程のお間違いなどでしたら、改めてご予約をお取りすることも可能ですので、お気軽にご連絡ください。
〇〇様からのご連絡をお待ちしております。
ポイント解説
この文面では、「無断キャンセル」や「連絡がなかった」といった直接的な言葉を避け、「ご来店が確認できませんでした」という柔らかい表現を使っています。そして、「何かご事情がおありでしたでしょうか」と問いかけることで、お客様が返信をするきっかけを作っています。
重要なのは、再予約の可能性を提示している点です。「改めてご予約をお取りすることも可能です」とこちらから提案することで、お客様の心理的ハードルを下げ、関係の再構築を目指す意図を示しています。この一本のメールが、うっかり忘れてしまっていた優良顧客を繋ぎ止めるきっかけになることも少なくありません。
⑤今後の再予約を促す「気遣い」メール(関係維持重視)
特に、これまで何度も利用してくださっているリピーターのお客様や、優良顧客が無断キャンセルをされた場合に有効なメールです。
店舗の損失よりも、お客様との長期的な関係を維持することを最優先に考えます。キャンセルに対する言及は最小限に留め、お客様の身を案じ、次回の来店を心からお待ちしているという姿勢を前面に押し出します。
件名:【店舗名】〇〇様、いかがお過ごしでしょうか?
本文例文:
〇〇様
〇〇(店舗名)の〇〇です。
その後、いかがお過ごしでしょうか。
本日、ご予約をいただいておりましたが、〇〇様のお顔を拝見できず、スタッフ一同、何かお変わりはなかったかと案じております。
もし急なご体調不良などでなければ良いのですが。
お忙しい毎日をお過ごしかと存じますので、どうぞご無理なさらないでください。
また〇〇様がリフレッシュしたくなった時には、いつでもお立ち寄りくださいね。
次にお会いできる日を、心より楽しみにしております。
ポイント解説
このメールの鍵は、予約の件に直接触れるのではなく、「いかがお過ごしでしょうか?」という時候の挨拶から入ることです。そして、来店がなかったことに対する言及も「お顔を拝見できず、案じております」という、あくまでお客様を心配する表現に留めます。
キャンセルを一切責めず、相手の状況を思いやる姿勢を貫くことで、お客様は「申し訳なかった」という気持ちと同時に、店舗に対する温かい感情を抱くでしょう。この丁寧な対応が、お客様のロイヤリティを高め、より強固な信頼関係を築くことに繋がります。ビジネスライクな関係を超えた、ファン作りの一環と捉えることができます。
⑥キャンセルポリシーに基づく「キャンセル料請求」メール(毅然とした対応)
事前に明確なキャンセルポリシーを定め、予約時に同意を得ている場合に限り、キャンセル料を請求するという選択肢があります。このメールを送る際は、感情的にならず、あくまで契約とルールに則って手続きを進めるという毅然とした態度が求められます。
必要な情報を漏れなく記載し、誤解の余地がないように、明確かつ簡潔な文章を心がける必要があります。
件名:【重要】【店舗名】ご予約の無断キャンセルに伴うキャンセル料のご請求について
本文例文:
〇〇様
〇〇(店舗名)です。
〇月〇日(〇)〇時〇分にご予約いただいておりました件につきまして、当日、ご来店およびご連絡がございませんでした。
つきましては、ご予約時に同意いただいております当店のキャンセルポリシーに基づき、下記の通りキャンセル料をご請求させていただきます。
ご予約日時:2025年〇月〇日 〇時〇分 ご予約内容:〇〇コース キャンセル料:〇〇円(例:ご予約コース料金の100%) お支払い期限:2025年〇月〇日
お支払い方法につきましては、下記をご確認ください。
【銀行振込の場合】
銀行名:〇〇銀行 〇〇支店
口座種別:普通
口座番号:1234567
口座名義:カ)テンポメイ
【クレジットカード決済の場合】
以下のURLより決済手続きをお願いいたします。
https://example.com/payment
誠に恐れ入りますが、上記期限内にお支払い手続きを完了いただけますようお願い申し上げます。
本件に関するお問い合わせは、本メールへの返信にてお願いいたします。
ポイント解説
件名に「【重要】」と入れることで、お客様に見落とされることを防ぎます。本文では、まず無断キャンセルであった事実を客観的に述べ、次に「キャンセルポリシーに基づき」という正当な根拠を明確に示します。
請求金額、算出根拠、支払期限、支払方法といった必要事項を箇条書きで分かりやすく整理することが不可欠です。感情的な言葉は一切含めず、ビジネスライクに徹することで、相手も感情的にならずに対応しやすくなります。
このメールを送ることで、店舗の損失を補填するとともに、安易な無断キャンセルに対する抑止力としての効果も期待できます。
メールを送る前に!押さえておくべき5つの基本マナーと注意点
予約時間に来ないお客様へのメールは、非常にデリケートなコミュニケーションです。一つの言葉選び、一つのタイミングが、お客様とのその後の関係を大きく左右します。効果的な例文を知っているだけでは不十分で、その根底にあるべきマナーと心構えを理解しておくことが、トラブルを未然に防ぎ、お客様との信頼を維持するために不可欠です。
ここでは、メールを送る前に必ず心に留めておきたい5つの基本的なマナーと注意点を詳しく解説します。
参考:お店側からの予約変更メール例文7選|誠意が伝わる書き方とクレームを防ぐポイント
感情的にならず、冷静な文章を心がける
予約を無断でキャンセルされると、店舗側としては怒りや失望、焦りといったネガティブな感情が湧き上がってくるのは自然なことです。しかし、その感情をメールの文面に決して表してはいけません。感情的な文章は、相手にプレッシャーを与え、反発心を生むだけです。
たとえお客様に非があったとしても、それを責めるような言葉は逆効果にしかなりません。深呼吸を一つして、常に「自分はプロとして対応している」という意識を持ちましょう。
客観的な事実と、相手を気遣う言葉、そして店舗としての方針を、冷静かつ丁寧な言葉で綴ることが、結果的に物事をスムーズに進めるための最善策です。文章を作成した後は、一度時間をおいてから読み返し、感情的な表現が含まれていないかを確認する習慣をつけることをお勧めします。
お客様を責めるような表現は絶対に避ける
「なぜ連絡をくれなかったのですか?」「来られないなら連絡するのが常識です」といった、お客様を詰問したり、非難したりするような表現は厳禁です。前述の通り、お客様が連絡できなかったことには、やむを得ない深刻な事情があったのかもしれません。そのような状況のお客様に追い打ちをかけるような言葉は、顧客を永遠に失うだけでなく、悪評が口コミサイトなどに広がるリスクさえあります。
常に「何か事情があったのかもしれない」という想像力を働かせ、「〇〇様」という個人ではなく、「大切なお客様」という存在に対してコミュニケーションをとる姿勢が重要です。主語を「あなた」にするのではなく、「私(店舗)」を主語にすることで、表現は格段に柔らかくなります。
例えば、「なぜ来なかったのですか?」ではなく、「ご来店が確認できず、心配しておりました」といった形です。
送信するタイミングを見極める(早すぎず、遅すぎず)
連絡のタイミングは、その効果を大きく左右します。早すぎると、単なる交通遅延で焦っているお客様をさらに急かすことになり、不快感を与えてしまいます。逆に遅すぎると、お客様がすでに帰宅してしまっていたり、店舗側も次の対応が取りづらくなったりします。
一般的には、予約時間を5分〜10分過ぎたあたりで最初の連絡を入れるのが適切とされています。この時点ではまだ「遅刻」の可能性が高いからです。その後、15分〜20分経っても連絡がなければ再度連絡、30分以上経過した場合はキャンセル扱いとする、といったように、社内で段階的なルールを設けておくと、誰が対応しても一貫性のある対応ができます。
このルールは、お客様にもキャンセルポリシーとして事前に周知しておくと、よりスムーズです。
メールの件名だけで内容がわかるようにする
お客様は毎日多くのメールを受け取っています。その中で、あなたの店舗からのメールを確実に見てもらうためには、件名が非常に重要です。単に「ご連絡」や「〇〇(店舗名)より」だけでは、他のダイレクトメールに紛れて見過ごされてしまう可能性があります。
「【〇〇サロン】本日のご予約の件でご連絡いたしました」「【重要】ご予約の無断キャンセルとキャンセル料について」のように、【店舗名】を冒頭に入れ、用件を具体的に記載することで、メールの重要度と内容が一目でわかります。これにより、開封率が格段に上がり、迅速なコミュニケーションに繋がります。
誰が送ったか分かるように、店舗名と担当者名を必ず記載する
基本的なことですが、意外と忘れがちなのが署名です。メールの末尾には、必ず「店舗名」「担当者名」「住所」「電話番号」「ウェブサイトURL」などを明記した署名を入れましょう。誰から送られてきたメールなのかが明確になるだけでなく、お客様が電話で連絡を取りたいと思った時に、すぐに番号がわかるという利便性も提供できます。
また、担当者名を記載することで、機械的な自動送信メールではなく、一人の人間としてあなたに対応しているという温かみが伝わり、お客様も安心して返信しやすくなります。テンプレート任せにせず、最後に必ず署名を確認する癖をつけましょう。
メールだけじゃない!電話やSMSを効果的に使うタイミング

予約時間に来ないお客様への対応は、メールだけに限定する必要はありません。むしろ、状況に応じて電話やSMS(ショートメッセージサービス)といった他の連絡手段を組み合わせることで、より迅速かつ確実なコミュニケーションが可能になります。
それぞれのツールの特性を理解し、最適なタイミングで使い分けることが、問題解決への近道です。ここでは、メール以外の連絡手段を効果的に活用するための考え方と具体的な方法について解説します。
なぜメール以外の手段も有効なのか?
即時性と確実性の観点から
メールの最大の弱点は、相手がいつ読むかわからないという点です。お客様がメールを頻繁にチェックする習慣がなければ、送信してから数時間、あるいは翌日まで気づかれない可能性もあります。一方、電話は相手が応答すればその場で直接コミュニケーションが取れるため、最も即時性が高い手段です。
また、SMSはスマートフォンのプッシュ通知で表示されることが多く、メールよりも開封率が高いというデータもあります。特に緊急性が高い状況、例えば予約時間を過ぎて安否が気遣われるような場面では、電話やSMSの即時性と確実性が大きな力を発揮します。お客様が移動中でメールを打てない状況でも、電話なら応答できるかもしれません。
メッセージの伝わり方の違い
テキストのみのメールでは、どうしても事務的で冷たい印象を与えてしまうことがあります。特に、キャンセルポリシーや請求に関するシビアな内容を伝える際には、文章のニュアンスが誤解を招くリスクも伴います。その点、電話であれば声のトーンや話し方で、こちらの気遣いや丁寧な姿勢を直接伝えることができます。
「心配しております」という一言も、肉声で伝えることで、その真剣さがより深く相手に届きます。もちろん、感情的にならない冷静な対応は電話でも同様に重要ですが、血の通ったコミュニケーションを図る上では非常に有効な手段と言えるでしょう。
電話をかけるべきベストなタイミングとは?
電話は強力なツールですが、かけるタイミングを間違えると、かえってお客様に不快感を与えてしまう可能性があります。予約時間を1分過ぎただけで電話を鳴らすのは、あまりにもせっかちで高圧的な印象を与えかねません。まず最初のコンタクトは、前述の通り予約時間を5分〜10分過ぎた時点でのメールが適切です。
そのメールに返信がなく、さらに時間が経過した「予約時間から15分〜20分後」が、電話をかける最初のベストタイミングと言えるでしょう。この段階であれば、「メールをお送りしたのですが、ご覧いただけましたでしょうか。何かお困り事ではないかと心配になりまして…」と、メールをフックにすることで自然な会話に繋げることができます。
また、無断キャンセルが確定した後、キャンセル料の請求など、特に重要かつデリケートな内容を伝える前段階として、「後ほどメールにて詳細をお送りしますが、まずはお電話でご説明を…」と一本電話を入れておくと、その後のやり取りがスムーズに進むことがあります。
SMS(ショートメッセージ)の活用法と例文
SMSは、70文字程度の短いテキストを手軽に送れるツールで、高い開封率が魅力です。電話をかけるほどではないけれど、メールよりは早く確実に気づいてほしい、という場面で非常に役立ちます。
SMSが有効なシーン
- 最初のメールを送った後、補助的な確認として送る場合。
- お客様が電話に出られなかった際に、用件を簡潔に伝える場合。
- リマインドメールの補完として、予約前日に「明日はお待ちしております」と一言送る場合。
SMSの例文
例文1:来店前の確認
【〇〇サロン】本日14時のご予約の件でご連絡いたしました。ご状況はいかがでしょうか。道に迷われましたらお電話ください。03-1234-5678
例文2:電話に出られなかった際のフォロー
【〇〇クリニック】〇〇です。先ほどお電話いたしましたが、ご不在のようでしたのでSMSにて失礼します。本日15時のご予約の件です。ご確認後、折り返しいただけますと幸いです。03-1234-5678
このように、SMSでは要件を簡潔に伝え、次のアクション(電話をください、など)を明確に示すことがポイントです。
ただし、長文や複雑な内容は伝達に適さないため、あくまでメールや電話への誘導、あるいは簡単な確認に留めるのが賢明な使い方です。複数の手段でしつこく連絡するとお客様に恐怖感を与えかねないため、あくまで「補完的な手段」としてバランスを考えて活用しましょう。
そもそも予約に来ない事態を防ぐ!無断キャンセル(ノーショー)を防ぐ7つの予防策

これまで、予約時間に来ないお客様への事後対応について詳しく解説してきましたが、最も理想的なのは、そもそもそうした事態が発生しないようにすることです。無断キャンセル(ノーショー)は、店舗の売上損失だけでなく、スタッフのモチベーション低下にも繋がる深刻な問題です。
しかし、諦める必要はありません。これから紹介する7つの予防策を計画的に実施することで、無断キャンセルの発生率を劇的に下げることが可能です。事後対応に追われる日々から脱却し、安定した店舗運営を目指しましょう。
予約確認の徹底(リマインドメール・SMSの自動化)
なぜリマインドが重要か
お客様が予約に来ない最も多い理由は「うっかり忘れ」です。これを防ぐ最も効果的な方法が、予約日の前日や当日に送るリマインド連絡です。手動で行うのは大変ですが、多くの予約システムには、リマインドメールやSMSを自動で送信する機能が備わっています。
例えば、「予約日前日の18時」や「予約日当日の3時間前」など、最適なタイミングで自動的に通知を送ることで、お客様の記憶を喚起し、「うっかり忘れ」を大幅に減らすことができます。この一手間が、機会損失を防ぐ上で計り知れない価値を持ちます。
【2025年最新】予約管理システムの比較30選!業種別選び方のポイントも分かり易く解説。
事前決済システムの導入
金銭的なコミットメントの効果
特に、高額なコースや長時間の施術、あるいは飲食店のコース料理など、キャンセルされた際の損害が大きいサービスには、事前決済システムの導入が非常に有効です。予約時に全額または一部(デポジット)をクレジットカードなどで支払っていただくことで、お客様の予約に対するコミットメント、つまり「必ず行こう」という意識が格段に高まります。
人間は、金銭を支払ったものに対しては、それを無駄にしたくないという心理(サンクコスト効果)が働くため、安易なキャンセルや無断キャンセルの強力な抑止力となります。最近では、個人経営の店舗でも簡単に導入できる決済サービスが増えています。
キャンセルポリシーの明確化と周知徹底
ルールを明確にすることが信頼に繋がる
「いつまでに連絡すればキャンセル料はかからないのか」「無断キャンセルの場合はいくら請求するのか」といったキャンセルポリシーを明確に定め、それをウェブサイトや予約フォーム、予約確認メールなど、お客様の目に触れるあらゆる場所に明記しておくことが極めて重要です。
ポリシーが存在するだけでなく、予約成立のプロセスにおいて「キャンセルポリシーに同意する」というチェックボックスを設けるなど、お客様が確実に認知し、同意したという証拠を残すことが後のトラブルを防ぎます。明確なルールは、お客様に安心感を与え、店舗の毅然とした姿勢を示すことにも繋がり、結果的に店舗への信頼を高めます。
予約時に顧客情報を正確にヒアリングする
連絡が取れる状態を確保する
予約を受ける際には、氏名だけでなく、必ず電話番号とメールアドレスの両方を正確にヒアリングしましょう。特に電話番号は、緊急時に直接連絡が取れる生命線です。メールアドレスが間違っていたり、迷惑メールフィルターで届かなかったりする場合でも、電話番号があれば連絡を取ることが可能です。
また、初めてのお客様であれば、予約の動機や来店経路などを軽く伺うことで、コミュニケーションが生まれ、単なる「予約枠の一つ」から「特定のお客様」へと意識が変わり、無断キャンセルの抑止に繋がるという心理的効果も期待できます。
お客様とのコミュニケーションを密にする(SNS、ニュースレター等)
関係性の構築がノーショーを防ぐ
お客様との関係が、単発の「予約客」で終わっているか、継続的な「ファン」になっているかで、無断キャンセルの発生率は大きく変わります。日頃からInstagramやLINE公式アカウント、メールマガジンなどを通じて、お店のこだわりや新メニューの情報、スタッフの日常などを発信し、お客様との接点を持ち続けましょう。
これにより、お客様は店舗に対して親近感を抱き、「あのお店に行きたい」「あのスタッフさんに会いたい」という気持ちが強くなります。このような良好な関係性が構築されていれば、都合が悪くなった場合でも、申し訳ないという気持ちから、きちんと事前に連絡をくれる可能性が飛躍的に高まります。
参考:LINEで無料の予約システムを!設定方法と連携できるおすすめツール6選を徹底比較
予約のしやすさとキャンセル・変更のしやすさを両立させる
利便性の高さが誠実な対応を促す
予約システムが複雑だったり、電話がなかなか繋がらなかったりすると、お客様は予約をすること自体を諦めてしまいます。24時間いつでも予約できるオンライン予約システムの導入は、今や必須と言えるでしょう。そして、それと同じくらい重要なのが、「キャンセルや変更のしやすさ」です。
キャンセルや変更の手続きが煩雑だと、お客様は「面倒だから、まあいいか」と連絡を怠り、結果として無断キャンセルに繋がってしまいます。予約確認メールに、キャンセル・変更手続きができるURLを明記しておくなど、お客様が数クリックで手続きを完了できるような導線を設計することが、誠実な対応を促す鍵となります。
無断キャンセルを繰り返す顧客への対応策を決めておく
毅然とした対応で他の顧客を守る
残念ながら、注意喚起や対策を講じても、無断キャンセルを繰り返すお客様は存在します。このようなお客様に対しては、店舗として毅然とした対応策をあらかじめ決めておく必要があります。例えば、「2回連続で無断キャンセルをされた場合は、次回以降の予約を事前決済のみに限定する」あるいは「今後のご予約をお断りする」といったルールです。
これは、店舗の損失を防ぐだけでなく、真面目に予約ルールを守ってくださっている他のお客様を守るためにも必要な措置です。ルールを設ける際は、必ず法的な観点も確認し、誰に対しても公平に適用することが重要です。
まとめ│信頼関係を育むコミュニケーションで、選ばれ続けるお店へ
予約時間にお客様が来ないという事態は、店舗運営において避けては通れない課題の一つです。この記事では、その対応策として、お客様の心理分析から始まり、状況に応じた具体的なメール例文、無断キャンセルを未然に防ぐための7つの予防策まで多角的に掘り下げてきました。
重要なのは、これらの一つ一つのテクニックが、ある共通の目的のために存在しているということを理解することです。その目的とは、「お客様との長期的な信頼関係を構築し、維持すること」に他なりません。
メールの文面一つとっても、相手を責めるのではなく、まずは安否を気遣う言葉を選ぶ。キャンセルポリシーを設けるのも、一部の不誠実な行動から、ルールを守ってくださる大多数の優良なお客様と、店舗の健全な運営環境を守るためです。
事前決済やリマインドメールの導入は、お客様の「うっかり」を防ぎ、予約当日に最高のサービスをスムーズに提供するための、店舗側からの思いやりとも言えます。つまり、すべての対策は、お客様と店舗、双方にとってより良い関係を築くためのコミュニケーションツールなのです。
今日から、まずは自店のキャンセルポリシーが明確になっているかを見直し、リマインドメールの設定を確認することから始めてみてください。そして、万が一お客様が時間通りに来られない事態が発生した際には、この記事を参考に、冷静かつ心のこもった対応を心がけてください。その一つ一つの丁寧なコミュニケーションの積み重ねが、お客様の中に「このお店は信頼できる」「またここに来たい」という感情を育み、数ある競合の中からあなたのお店が選ばれ続ける、何よりの強みとなるはずです。
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