外出が増え、美容に関する関心が高い方も増えてきました。そんな方々のために、エステやヘアケア、ネイルなどさまざまな美容サービスを行うのがトータルビューティーサロンです。お客様一人一人のニーズに応え唯一無二の体験を提供できることから最近導入するサロンが増えています。
この記事ではそんなトータルビューティーサロン開業のステップや必要な資格、成功事例など、開業に役立つ情報を詳しく解説します。
そもそもトータルビューティーサロンとは？
トータルビューティーサロンは、エステやヘアケア、ネイルなどさまざまな美容サービスを総合的に提供する施設です。
通常は髪をケアする美容室、ネイルを行うネイルサロンなど、サービスごとに店が分かれており、複数部位をケアしたい場合はハシゴしなければなりませんが、トータルビューティーサロンに行けば一度で美容関係のケアが全て行えます。
そのため、時間を効率的に使いたい忙しい方や、総合的に美容ケアを受けたい美意識の高い方などに特に人気となっています。
どんな施術を行うの？
トータルビューティーサロンではどのようなメニューを提供しているのでしょうか。以下で代表的なものを紹介します。
トータルビューティーサロンでは、以下で紹介する施術に加えてお客様に丁寧なカウンセリングを行いよりパーソナライズしたサービスを提供したり、追加メニューでメイクもしてくれたりと多岐にわたる施術を行っているところが多いです。
ヘアケア
ヘアケアにおいては、個々の要望に合わせて、髪型を整えるカットはもちろん、カラーやパーマで印象を変えたり、トリートメントで髪に艶やハリを与えたりします。
また、最近人気のヘッドスパは、頭皮ケアと一緒にリラックスもでき、取り入れるサロンが増えています。
ネイル
マニキュアやジェルネイル、ネイルアートなどネイルサロンで受けられるサービスを提供します。
ネイルだけでなく、ハンドマッサージやフットケアなど、関連サービスもセットで提供するサロンもあります。
エステ
エステは顔と体の両方に対し幅広いメニューを提供します。
フェイシャルでお顔のケアをしたり、ボディエステで産後の体型戻しをしたりと、用途は様々です。そのほかにも痩身エステや小顔矯正などもあります。
また、アロマを使った施術は、お客様の日頃の疲れを癒してくれまるため、人気の施術の一つです。
脱毛
光脱毛やレーザー脱毛を提供しているサロンもあります。
店によって方式は異なりますが、全身脱毛が可能なサロンや、希望部位のみ脱毛できるサロンもあります。
まつげパーマやマツエク
自まつげに人工まつげを接着して長くボリューミーに見せるマツエク(まつ毛エクステ)やパーマ液で自まつげにカールを作るまつ毛パーマなど、一般的なアイラッシュサロンで受けられる施術も提供しているサロンが増えてきています。
トータルビューティーサロンを開業するメリット
様々なメニューを提供できる
トータルビューティーサロンでは、ヘアケア、ネイル、エステ、脱毛、まつげパーマやマツエクなど、多岐にわたる美容サービスを一つの場所で提供することができます。
お客様のニーズに合わせて細かくサービス内容をカスタマイズできるため、満足度を高められます。
客単価が上がる
トータルビューティーサロンは複数のサービスを提供できる環境であることで、客単価が高い傾向にあります。
例えばヘアカラー中にお客様の肌のお悩みを聞き取り、カラー後のエステを提案する、といった流動的なサービス提供が可能になります。
リピーターになってもらいやすい
お客様が複数のサービスを一度に利用することで、満足度が高まります。さらに、初めての来店でヘアカットを受けたお客様が、その後にネイルやエステを試してみることで、別のサービスにも興味を持ってもらえるかもしれません。
以上のように複数のサービスによってお客様のニーズを補い合うことで、リピートしてもらえる確率が高まるのが魅力です。
トータルビューティーサロン開業のステップ
ここからはトータルビューティーサロン開業のステップについて見ていきましょう。
サロンのコンセプトを決める
ターゲット層やコンセプトなど具体的なイメージを立てましょう。
特にトータルビューティーサロンはサービス内容が幅広い分、コンセプトを定めないとお客様に何が強みなのかが伝わらず興味を持ってもらえなくなってしまいます。
そのため、まずは市場分析をしてニーズやトレンドの調査をした上で、例えば50代以上向けにアンチエイジングをテーマにしたサロンであったり、働き盛りの30,40代向けに非日常感を提供するサロンであったりと、ターゲットに合わせた店作りをしていきましょう。
提供するメニューを決める
サロンのコンセプトに基づき、提供するメニューを決定します。
この時、集客のために多くのメニューを採用したくなりますが、かえって多すぎるとお客様が決めづらかったりコンセプトとずれて満足度の低下につながったりするので、ターゲットに合わないメニューは外す、などの取捨選択が重要です。
開業場所を決める
開業場所は、競合店の有無や、アクセスの便利さ、捻出できる費用などを考慮して選びます。
駅が近くにあるなどアクセスの良い物件はお客様を集めやすい分賃料も比例して高い傾向にあり、反対に郊外や住宅街の中などは賃料は低めですが、集客をより戦略的に行う必要があります。
このように場所によってメリット・デメリットが異なるため、ターゲット層に合わせて選ぶと良いでしょう。
内装工事を行う
開業する場所が決まったら、続いては内装工事を行います。壁の塗装や床材・フローリングの設置などが含まれます。
お客様がリラックスして施術を受けられるかどうかはこの段階が大きく影響するため、しっかりレイアウトを決めた上で行ってください。
さらに、室内の間取りなどはスムーズに営業できるようにするためにスタッフが動きやすい動線を意識すると良いでしょう。
必要な家具や備品を揃える
施術用の椅子やエステ用ベッド、美容器具、消耗品など、選んだメニューに応じた家具や備品を準備します。
トータルビューティーサロンは複数のサービスを提供する関係上、一般的なサロンよりも機器を揃えるのに費用がかかることが多いので、リースや中古品も上手く活用しつつ調達するのをおすすめします。
スタッフの採用
施術の技術はお客様の満足度に直結するため非常に重要です。提供するメニューに応じて美容師やネイリスト、エステティシャンなど必要な人材を揃えましょう。
スタッフを採用するには、求人を出したり人材派遣会社に依頼したりといった方法があります。
開業届の提出
最後に行うのが開業届の提出です。
開業届は仮に提出しなかった場合でも罰則等はありません。しかし、提出することで青色申告と呼ばれる最大65万円の控除が受けられたり、サロン名義の銀行口座が開設できたりとメリットが多いため、できるだけ提出すると良いでしょう。
開業してから1ヶ月以内に提出するのを忘れないようにしましょう。窓口に提出書類を取りに行くのが難しい方は、ネットでも入手が可能です。
トータルビューティーサロン開業にはいくら必要？
サロン開業に必要な費用は、自宅かテナントか、駅近物件か住宅街で開業するのかなど、条件により値段が大きく変わります。
特にトータルビューティーサロンの場合はどこまでサービスを拡大するかで必要な機器や物件の広さが違ってくるので一概に言うのは難しいと言えます。
そのため目安にはなりますが、「2023年度新規開業実態調査」によると、サロンを始めとする店の開業に必要な費用は平均1027万円、中央値が550万円とされています。
よって、かかる費用としては500〜1000万円ほどかかると想定しておくと良いでしょう。
トータルビューティーサロン開業には資格は必要？
サロンで施術を行うには、資格が必須となる場合と持っていなくても施術ができる場合があります。以下で詳しく解説します。
美容師
トータルビューティーサロンでヘアカラーやヘアカットを行うには、美容師免許が必要です。加えてまつエクやまつ毛パーマを行うアイリストも美容師免許がないと施術できない点に注意しましょう。
美容師になるには養成学校の専門課程を修了した後国家試験に合格しなければなりません。
養成学校は通う場合2年、通信の場合3年かかるため、美容師になるにはある程度の期間が必要です。
ネイル資格
ネイリストになるために必須の資格はありませんが、民間資格を取得することで技術の証明になるだけでなく、より効率的に衛生管理の方法やスキルを身につけられます。
おすすめの資格は以下の2つです。
- ネイリスト技能検定試験
- ジェルネイル技能検定試験
ネイリスト技能検定試験
日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が行っている試験です。
ネイリスト資格の中では最も有名な資格の一つで、1級、2級、3級とラインナップがあり1級が最も難しい試験となっています。
ジェルネイル技能検定試験
日本ネイリスト協会が行っているジェルネイルの知識や技術を図る資格です。
こちらも非常に有名な資格で、初級、中級、上級で構成されています。ジェルネイルの知識を特につけたい方におすすめの資格です。
ネイリストの資格については以下の記事（資格なしのネイリストは違法になる？違法になりうるケースやおすすめの資格もご紹介）でも詳しく解説しています。
エステ資格
エステティシャンになるにも、ネイリストと同様に必須資格は特にありません。
持っておくとスキルの証明になる資格をいくつか紹介します。
日本エステティック協会「認定エステティシャン」
日本エステティック協会が実施している、エステサービスを適切に提供できると認められた人が獲得できる資格です。スクールを受講し、試験に合格することが条件となっています。日本エステティック協会はエステ業界でも歴史ある団体なので、資格取得により技術への信頼を得やすくなるでしょう。
日本エステティック業協会「AEA認定エステティシャン」
日本エステティック業協会が行っている、エステティシャンの技術と知識レベルを判定する試験です。認定校でのカリキュラムを修了し、試験に合格することで獲得できます。基礎・上位・最上位に分かれており、基礎資格でも1年以上の実務経験が必要です。
上記した認定エステティシャンと並んで有名な資格なので、迷ったらどちらかを取得すると良いでしょう。
エステティシャンの資格については、以下の記事（エステティシャンに国家資格は必要？持っておくと便利な民間資格もご紹介）でも詳しく解説しています。
脱毛資格
脱毛を行うために必須の資格は特にありませんが、高度な技術が求められる分野のため、資格を持っていると有利に働くことが多いです。以下でおすすめの資格を紹介します。
日本安全脱毛普及協会「脱毛士」
脱毛士は、日本安全脱毛普及協会という脱毛器の安全な使用や美容の発展を目的に作られた団体が行っている資格試験です。3級、2級、上級と階級が分かれており、2級以降は実務経験も必要です。
上級では接客スキルも試験項目に入っているなど、脱毛技術以上のことが学べる資格と言えます。
日本スキン・エステティック協会「認定電気脱毛士」
認定電気脱毛士は、アメリカの米国電気脱毛協会という歴史ある団体が推奨している資格です。この資格を有するエステティシャンがいる脱毛サロンはCPE(Certified Professional Electrologist)マークを付ける許可が出て高い技術の証明として利用できるので、お客様から信頼を得るのに効果的な資格と言えるでしょう。
トータルビューティー専門のスクールに通うのもおすすめ
トータルビューティーサロンを開業する際には、各分野の専門知識と技術を習得するために、トータルビューティー専門の学校に通うのもおすすめです。
専門学校にあるトータルビューティー科やトータルビューティーを学ぶスクールなどで学ぶことができます。
こうしたスクールに通うことで複数分野の知識を包括的かつ効率的に学べるとともに、国家資格である美容師免許や民間資格取得のサポートも受けられます。
また、将来的なキャリア形成のサポートをしてくれるところもあるので、自分のニーズに合わせて選んでみてください。
トータルビューティーサロンにおすすめな集客方法
トータルビューティーサロンを成功させるためには、効果的な集客を行いお客様に興味を持っていただくことが重要です。以下に、代表的な集客方法を解説します。
SNS
InstagramやFacebookなどのSNSを活用することで、不特定多数の潜在顧客にサロンの存在を知らせることができます。
サロン内部の雰囲気やスタッフが施術に取り組む様子、お客様の仕上がりなどを定期的にSNSにアップすることで、サロンの雰囲気や施術の様子が視覚的にわかりやすく伝えることができます。
また、スタッフについての投稿をすることによって、親しみを持ってもらえたり技術への信頼を持っていただけたりといった効果が期待できます。
SNSのプロフィール欄には、興味を持ってもらえたらすぐ予約できるよう、予約サイトのURLやホームページのURLを貼っておくと良いでしょう。
ホームページ
ホームページを開設することで、SNSよりも詳細にサロンの魅力や強み、サービス内容を知ってもらうことができます。さらに、ホームページの存在により、本格的に経営を行っている印象をお客様に与えることができ、信頼度の向上につながります。
ホームページを作るには、知識がなくても作れるWordPressなどのツールを使うなどして自作するパターンと、業者などに依頼して作ってもらうパターンがあります。
どちらのパターンを選ぶにしても、
- サービス内容
- 料金
- 営業時間や定休日
- 住所、周辺駅からのアクセス
などは忘れず記載しましょう。
予約システム
オンライン予約システムを導入することで、よりお客様が簡単に予約でき、集客につながります。
さらに、予約システムにより24時間365日予約が受けられるだけでなく、電話などで予約対応にあたっていた時間をより施術にあてたり他の事務作業に使ったりと時間の有効活用が可能です。
サロンにおすすめな予約システムは以下の記事で詳しく紹介しています。
チラシ
チラシは近隣の方にサロンの存在を知ってもらいやすくする方法として効果的です。
特に開業時のキャンペーンや季節ごとのクーポンなどを宣伝することでより認知度を高めることができます。
チラシを作る際は、ターゲット層に対して特にアピールできるようデザインやレイアウトを工夫しましょう。サロンの魅力をアピールするために情報を入れすぎ、見づらくなってしまう、というのがやりがちな失敗なので情報はなるべくシンプルにまとめましょう。
また、来店につながるよう予約システムやホームページのURLを掲載するとさらに効果的なのでやってみてください。
おすすめのチラシ作成アプリは以下の記事で紹介しています。
トータルビューティーサロン開業の成功事例
成功事例を知ることで、自分のサロン運営の際の参考にすることができます。
そこでこの章ではトータルビューティーサロン開業の成功事例をいくつか紹介します。
AFLOAT(アフロート)グループ
アフロートグループは東京都や愛知県を中心にヘアケアやリラクゼーション、メイクなどさまざまなサービスを提供しているトータルビューティーサロンです。
「外面だけでなく内面も綺麗にする」ことをコンセプトに掲げ、一人一人に合う新しいヘアスタイルやメイクなどを提供しています。
複数店舗を展開する中でも、お客様一人一人に向き合い、似合うヘアスタイルやメイクを提案する、という店の強みが一貫しており、お客様の満足度の高さにつながっている点が成功要因と言えるでしょう。
Cu
サロンCuは東京都内に数店舗あるトータルビューティーサロンで、ヘアケアやネイル、アイラッシュなど幅広いサービスを提供しています。
Cuが高い支持を集めている要因としては、普段忙しい方でも便利に利用してもらえるよう、待ち時間がほとんどないような予約管理の徹底であったり、一人一人のライフスタイルに合ったサービス提案だったりと、非常に丁寧な接客を貫いている点が挙げられるでしょう。
まとめ
いかがでしたか？
ここまで、トータルビューティーサロンの開業に必要なステップや資格、集客方法や実際の成功事例などについて紹介しました。
トータルビューティーサロンは店側も幅広いサービスを提供できることから集客につなげやすいだけでなく、お客様も細かいニーズを満たしやすい利便性の高い業態です。
今回紹介したステップや集客方法を押さえながら、サロンの成功を目指しましょう。
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