「待ち時間へのクレーム」や「鳴り止まない電話対応」にお悩みではありませんか?
これらの課題を解決する予約システムですが、高額な医療専用機から無料ツールまで選択肢が多く、導入に迷われる先生も少なくありません。
実は、診療科や「自費・保険」の区分によっては、あえて「汎用的な無料システム」を選ぶのが、コスト対効果の高い正解となる場合も多々あります。
本記事では、内科・皮膚科などの診療科別の選び方と、「医療特化型」vs「汎用型」の厳選10システムを徹底比較。
先生のクリニックに最適なシステムを見つけ、スタッフの負担軽減と増患を実現するための「最適解」を解説します。
「歯科医院」や「整骨院・接骨院」の場合は、ユニット管理やレセコンの種類など選ぶべき基準が異なります。
それぞれの専門記事をご用意していますので、そちらをご覧ください。
- 歯科医院向け: 歯科医院予約システム比較10選|レセコン連携とリコール
- 整骨院・接骨院向け: 整骨院予約システム比較8選|予約優先制と自費管理
目次
なぜ今、クリニックに「予約システム」が不可欠なのか?

かつては「病院は待つのが当たり前」でしたが、今は違います。
スマホで何でも予約できる今、「待ち時間」は患者満足度(PX:Patient Experience)を下げる最大の要因であり、再来院を遠ざけるリスクそのものです。
また、2024年の診療報酬改定でも「医療DX」が推進されているように、デジタル化は国策としての急務でもあります。
「待ち時間」の解消と院内感染リスクの低減
患者様にとって「いつ呼ばれるか分からない」という時間は大きなストレスです。
体調が悪い中、混雑した待合室で長時間過ごすことは苦痛でしかありません。
予約システムを導入し、「10:00〜10:30の枠」や「あと5人待ち」といった情報をスマホで可視化できれば、患者様は自分の順番が来るまで院外で過ごしたり、自宅で待機したりできます。
「待合室に座っている時間」を物理的に減らすことは、院内感染のリスク低減にも繋がり、患者様に「安心で快適なクリニック」という強い信頼感を与えます。
受付スタッフを「電話」から解放し、離職を防ぐ
「電話対応に追われてレセプト業務が進まない」「会計ミスが起きる」「患者様と話す時間がない」。
多くの中小クリニックでは、少人数のスタッフがマルチタスクをこなしています。
ここに「予約の電話」が割り込むことで、業務効率は著しく低下します。
Web予約比率を80%以上に引き上げることができれば、電話の回数は激減します。
スタッフが本来注力すべき「患者様のケア」や「正確な事務作業」に集中できる環境を作ることは、スタッフの精神的負担を減らし、定着率向上(採用コスト削減)という経営的なメリットをもたらします。
また、患者様のスマホに必ず入っている「LINE」を予約窓口にすることで、電話予約を減らし、リコール(再来院)率を高めることができます。
クリニックでも導入しやすいLINE連携機能を持った予約システムの選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
- あわせて読みたい: LINE 予約システム 無料|連携ツール徹底比較
「発熱外来」や「ワクチン」の管理自動化
季節ごとのインフルエンザワクチンや、突発的な発熱外来の予約管理は、電話と紙台帳ではパンクしてしまいます。
システム上で「発熱外来専用の枠」や「ワクチンの在庫連動枠」を設定すれば、ダブルブッキングや在庫不足を未然に防ぎ、スムーズな動線確保(トリアージ)が可能になります。
事前のWEB問診と組み合わせることで、感染症疑いの患者様との接触時間を最小限に抑えることも可能です。
機会損失の防止と「新患」の獲得
「夜中に子供が熱を出した」「仕事中に受診できる病院を探している」。
患者様が病院を探すタイミングは、診療時間内とは限りません。
24時間365日、Webから即時予約ができる環境があれば、夜間や休日の検索ユーザーを逃さず「新患」として取り込むことができます。
特に働き盛り世代や子育て世代にとって、Web予約ができないクリニックは、それだけで選択肢から外れてしまう可能性があります。
また、夜間や休日に病院を探す患者様の多くは「Googleマップ」を利用します。
予約システムとGoogleマップを連携させ、地図上から直接予約できるようにする「MEO対策(ローカルSEO)」の手法については、以下の記事で解説しています。
- あわせて読みたい: 店舗MEO対策の基礎知識と集客効果
失敗しない!クリニック予約システムの「5つの選定軸」

システム選びで最も重要なのは、「高機能かどうか」ではなく、「自院の運用フローに合っているか」です。
ミスマッチなシステムを入れると、かえって現場が混乱します。以下の5つの軸で判断しましょう。
「順番制」か「時間帯制」か(診療科の特性)
クリニックの予約方式には大きく2つのタイプがあります。
自院の科目に合うものを選ばないと、待ち時間は解消されません。
順番制(当日の順番待ち)
「アイチケット」などに代表される形式。
「今から行って何番目」という整理券をWebで発行します。
- メリット: 患者さんが自分のタイミングで受付でき、空き時間が生まれない。
- 向いている科目: 耳鼻科、眼科、一般皮膚科、小児科など、処置時間が短く、回転率重視のクリニック。
時間帯制(日時指定予約)
「〇月〇日 10:00」と枠を確保する形式。
- メリット: 患者さんが予定を立てやすい。院側も来院数をコントロールできる。
- 向いている科目: 内科(生活習慣病)、心療内科、産婦人科、自費診療など、ある程度診療時間が予測でき、計画的な通院が必要な科目。
複合型
「午前は順番制、午後の検査枠や予防接種は時間帯制」のように使い分けられるシステムも人気です。
2. 「レセコン・電子カルテ」との連携レベル
連携あり(オンプレミス/クラウド連携)
予約が入ると電子カルテ(ORCA、CLIUS、Medicomなど)に患者頭書き情報が自動で飛び、受付済みステータスになる機能です。
- メリット: 事務作業(新患登録など)が極限まで減る。
- デメリット: 導入コスト(初期数十万〜)と月額費用(数万〜)がかかる。連携設定に時間がかかる。
連携なし(スタンドアローン)
予約システムとカルテは別々に管理します。
- メリット: コストは圧倒的に安い(無料〜数千円)。システムトラブル時のリスク分散になる。導入が即日可能。
- デメリット: 「予約画面を見て、カルテを用意する(または入力する)」という一手間が発生する。
- 判断基準: 開業初期や、自費診療のみの管理ならこちらで十分なケースも多いです。
「WEB問診」機能の有無
予約と同時に、事前にスマホで「症状」「いつからか」「既往歴」「アレルギー」などを入力してもらう機能です。
来院してからの問診票記入時間がなくなり、医師も診察前に症状を把握できるため、診察効率が劇的に向上します。
予約システムに標準搭載されているか、あるいは外部のWEB問診ツール(SymView、メルプ等)とスムーズに連携できるかを確認しましょう。
「高齢者」への対応(操作性と運用)
地域密着型のクリニックでは、スマホを持たない、あるいは操作が苦手な高齢の患者様への配慮が必須です。
「診察券を通すだけで予約できる自動再来受付機」と連動できるか、あるいは「電話予約をスタッフが簡単な操作でシステムに入力できるか(代理登録機能)」といった、デジタルとアナログのハイブリッド運用がしやすいUI(画面設計)であるかは、現場の混乱を防ぐために重要です。
導入コストと「自費診療」への対応
保険診療メインの大規模クリニックなら医療特化型が必須ですが、美容皮膚科やメンタルクリニック、あるいは内科の「自費メニュー(ニンニク注射、AGA、健診)」に関しては、必ずしも高額な医療用システムである必要はありません。
むしろ、汎用的な予約システム(freee予約など)の方が、「事前決済(ドタキャン防止)」や「クーポン配信」といったマーケティング機能に優れており、自費診療の売上アップに貢献するケースが増えています。
【費用相場】医療特化型 vs 汎用型、どっちがお得?
導入における最大の懸念事項である「コスト」について、相場感を整理します。
| 項目 | 医療特化型システム | 汎用型システム |
| 初期費用 | 20万円 〜 100万円 | 0円 〜 5万円 |
| 月額費用 | 1.5万円 〜 5万円 | 0円 〜 1万円 |
| オプション | 問診、LINE連携、再来機などは別途 | 多くの機能がプラン内で利用可 |
| 保守・サポート | 手厚い(訪問・電話) | オンライン中心(チャット・メール) |
| 5年間の総額 | 約150万円 〜 300万円 | 0円 〜 60万円 |
結論
- 医療特化型: コストはかかるが、レセコン連携や再来機連携など「院内の完全自動化」を目指すなら必須の投資。患者数が1日50人を超えるなら元が取れます。
- 汎用型: 圧倒的な低コスト。「自費診療だけ」「開業初期」「患者数がまだ少ない」場合は、こちらでスモールスタートし、浮いた資金を医療機器や広告費に回すのが賢明です。
【診療科別】成功する予約システムの選び方と運用モデル

診療科によって、最適な「患者導線」は異なります。
科目の特性に合わせた選び方を解説します。
内科・小児科:予防接種管理と発熱外来の分離
- 課題: インフルエンザ時期のパンク、ワクチンの在庫管理ミス、発熱患者の隔離。
- 必須機能: 予防接種の在庫管理(ワクチンの種類ごとの予約制限)、家族予約(兄弟同時予約)、発熱外来専用のトリアージ(事前問診での振り分け)。
- ポイント: 複雑なワクチン接種スケジュール(1回目、2回目の間隔など)を保護者が簡単に選べるUIや、システムが自動制御してくれる機能が重要です。
皮膚科・耳鼻科・眼科:驚異の回転率を支える順番待ち
- 課題: 患者数が非常に多く(1日100人以上)、待ち時間が長くなりがち。
- 必須機能: 順番受付(現在の待ち人数表示)、呼び出し通知(あと〇人になったらLINE/メール通知)。
- ポイント: 1件あたりの予約処理スピードが命です。高齢の患者様も多いため、院内に設置したタッチパネルで番号札を発券し、それをシステムに連動させる運用が一般的です。
心療内科・精神科:プライバシー保護と再診率向上
- 課題: 待合室で長時間待つことへの心理的負担、初診の離脱、無断キャンセル。
- 必須機能: 時間帯予約(30分枠など完全予約制)、再診予約の簡易さ、プライバシー保護(番号呼び出し等)。
- ポイント: 定期通院が治療の鍵となるため、受付で次回の予約をスムーズに取れる機能や、無断キャンセルを防ぐリマインドメール機能が重要です。
美容皮膚科・自費診療:事前決済でドタキャンを根絶
- 課題: 施術単価が高く枠も長いため、無断キャンセルの損失が甚大。コース契約の管理。
- 必須機能: クレジットカード事前決済、コース消化管理(役務管理)、LINE連携(リピート促進)。
- ポイント: 保険診療とは異なり、ここは「サービス業」の側面が強くなります。医療用システムよりも、サロン用や汎用型のシステムの方が、決済機能や顧客管理(CRM)機能が充実しており、使い勝手が良い場合があります。
自費診療は単価が高いため、直前の無断キャンセルは大きな痛手となります。
予約時にクレジットカード情報を登録してもらうことで、強力な抑止力になります。
クリニックでも導入しやすいオンライン決済サービスの手数料や選び方については、こちらの記事も参考にしてください。
【2025年最新】クリニック予約システム徹底比較10選
上記の選定軸を踏まえ、おすすめのシステムを「医療特化型(高機能)」と「汎用・低コスト型」に分けて紹介します。
【医療特化型】電子カルテ連携・本格運用向け6選
保険診療メインで、レセコン連携やWEB問診など、医療機関としての機能をフル活用したい医院向けです。
| サービス名 | デジスマ診療 | CLINICS予約 | メディカル革命 | iTicket(アイチケット) | 3Bees(スリービーズ) | MRSO(マーソ) |
| イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ||
| 特徴 | アプリ完結・後払い / 電子カルテ一体感 | シェアNo.1 / オンライン診療・検索連携 | 複合予約 / 検査機器・複数医師管理 | 順番待ち特化 / 知名度抜群 / シンプル | 低コスト / 順番・時間帯対応 / Bee診察券 | 健診・ドック特化 / ポータルサイト集客 |
| 向いている診療科 | 全科(特に内科・皮膚科) | 全科 | 総合・小児科・産婦人科 | 耳鼻科・眼科・皮膚科 | 小規模クリニック | 健診センター・内科 |
1. デジスマ診療

エムスリーデジカルが提供する、次世代型システムです。
「予約・問診・決済・次回来院予約」までを、患者様のスマホアプリ一つで完結させます。
最大の特徴は「あと払い(クレジットカード自動決済)」機能。診察終了後、会計を待たずにすぐ帰宅できるため、患者満足度が非常に高く、会計業務もほぼゼロになります。
引用:デジスマ診療
2. CLINICS(クリニクス)予約

業界トップシェアを誇るクラウド診療支援システムです。
予約だけでなく「オンライン診療」とのシームレスな連携が強み。
病院検索サイト「CLINICS」からの集客も見込めます。
電子カルテとの連携実績も豊富で、大規模な医療法人から個人クリニックまで幅広く対応します。
3. メディカル革命 byGMO

「時間帯予約」と「順番待ち」を高度に組み合わせることができる柔軟性が強みです。
「検査機器の在庫」と「医師の空き」を同時に管理するなど、複雑な予約ルールにも対応可能。
産婦人科や小児科など、処置内容によって所要時間が大きく変わる科目に適しています。
4. iTicket(アイチケット)

「順番待ち予約」の代名詞的存在です。
機能はシンプルですが、患者様側への認知度が非常に高く、「アイチケットなら使える」という患者様も多いです。
耳鼻科や眼科など、とにかく回転率重視で、当日の混雑状況を整理したい医院に特におすすめです。
5. 3Bees(スリービーズ)

「予約」「順番管理」「自動精算機」など、クリニックに必要なDXツールを安価に提供するシリーズです。
必要な機能だけをモジュール(部品)のように組み合わせて導入できるため、コストを抑えつつ段階的にIT化を進めたい開業医に適しています。
6. MRSO(マーソ)

人間ドックや健康診断に特化した予約システムです。
日本最大級の健診予約ポータルサイト「MRSO」と連動しており、自院のホームページだけでなく、ポータルサイトからの強力な集客が期待できます。
健診センターや、ドックに力を入れたい内科クリニック向けです。
引用:MRSO(マーソ)
【汎用・低コスト型】自費診療・開業初期・部分導入向け4選
レセコン連携は必須ではない、または美容・自費メニューだけを切り出して管理したい医院向けの、コスパ最強システムです。
ここからは、電子カルテ連携などの専門機能は持たないものの、圧倒的な低コストで導入でき、自費診療や美容メニューの管理に適した「汎用型」のシステムを紹介します。
なお、医療特化に限らず「無料で使えるシステム」や「全業種対応のシステム」をもっと幅広く比較したい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
- 無料ツール比較: 【2025年最新】無料で使えるおすすめ予約システム20選を徹底比較|選び方や注意点も解説
- 総合比較: 【2025年最新】予約管理システムの比較30選!業種別選び方のポイントも分かり易く解説。
| サービス名 | freee予約(旧tol) | Square 予約 | STORES 予約 | RESERVA |
| イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
| 月額費用 | 0円~ | 0円~ | 0円~ | 0円~ |
| 無料プラン | あり | あり | あり | あり |
| 特徴 | スマホ完結 / 自費メニュー管理 / 会計連携 | キャンセル料徴収 / POSレジ無料 | 回数券・コース管理 / LINE連携 / Zoom連携 | 多言語対応 / ワクチン予約 / セキュリティ |
7. freee予約(旧tol)
freee予約は、スマホアプリで完結する個人・スモールビジネス向けシステムです。
医療特化ではありませんが、予約件数無制限の無料プランがあり、「美容点滴」や「栄養指導」「カウンセリング」「予防接種」など、特定のメニューだけをWeb予約化したい場合に最適です。
顧客メモ機能を使えば、簡易的なカルテとしても利用可能。会計ソフトfreeeとの連携で、自費診療の売上管理も楽になります。
推奨: 自費メニューの部分導入、開業初期のコスト削減、訪問看護
8. Square 予約(スクエア予約)

Square 予約は、決済機能に強いシステムです。
「無断キャンセル料の自動徴収」機能が無料で使えるため、高単価な美容皮膚科や、カウンセリング枠の予約で威力を発揮します。
「リソース管理機能」を使えば、処置室や機械のダブルブッキングも防げます。
推奨: 美容皮膚科、審美歯科、無断キャンセル対策
9. STORES 予約(ストアーズ予約)

STORES 予約は、「回数券」や「月謝」の管理に強みがあります。
美容クリニックのコース契約や、メディカルフィットネスの会費管理などに最適です。
LINE連携機能も標準で備えており、リマインド通知をLINEで送ることで、来院率を高めることができます。
推奨: コース契約がある美容クリニック、リハビリテーション
引用:STORES 予約
10. RESERVA(レゼルバ)

RESERVAは、350業種以上に対応する国内最大級の予約システムです。
「ワクチン接種予約タイプ」などのテンプレートがあり、自治体や大規模病院での導入実績も豊富です。
多言語対応に強いため、外国人患者が多いクリニックにも適しています。
推奨: ワクチン接種管理、外国人対応、セキュリティ重視
引用:RESERVA
【新提案】自費診療は「汎用システム」で管理するハイブリッド戦略
「電子カルテと連動した高いシステムを入れないとダメだ」と思い込んでいませんか?
実は、保険診療は既存のレセコンや簡易な順番待ちシステムで回し、「自費診療(美容・健診・カウンセリング)」だけを、使い勝手の良い汎用型システム(freee予約など)で管理する「二刀流」の運用が、コスト対効果の面で非常に賢い選択肢となります。
なぜ「二刀流」がおすすめなのか?
| コスト削減 | 医療特化型システムで「Web予約」や「事前決済」のオプションを追加すると、月額費用が跳ね上がります。 汎用型なら、それらの機能が無料〜低価格で使えます。 |
| 集客力の強化 | 自費メニューの集客はInstagramやLINE、HPが主戦場です。 汎用型システムはスマホでのUI/UX(使いやすさ)が優れており、SNSからの予約転換率(CVR)が高い傾向にあります。 |
| リスク分散 | 万が一、院内のレセコンサーバーや医療用予約システムがダウンしても、クラウド型の汎用予約システムは独立して動いているため、自費診療の予約・受付は止まりません。 |
導入・移行を成功させるための「院内定着」ロードマップ
システムを導入しても、スタッフが使いこなせなければ意味がありません。
スムーズな移行のための手順を紹介します。
Step1:現状分析と要件定義
まずは、「初診は30分、再診は10分」「処置Aができるのは看護師Bさんだけ」といった、暗黙の了解になっている院内の予約ルールを全て書き出し、明文化します。
これをシステムの設定に落とし込むことがスタートラインです。
Step2:スタッフ教育と運用ルールの策定
受付スタッフだけでなく、医師や看護師も含めて、全員で操作を練習します。
「電話予約が入った時」「キャンセルが出た時」「急患が来た時」など、具体的なシナリオでシミュレーションを行い、現場の不安を解消します。
Step3:患者様への周知と「移行期間」の設計
いきなり「明日からWeb予約のみ」にするのは危険です。
3ヶ月程度の移行期間を設け、院内掲示、診察券へのQRコード貼り付け、ホームページのお知らせなどで、Web予約の開始を周知します。
特に高齢の患者様には「次回から、ご家族の方にこのQRコードから予約してもらってくださいね」と案内カードを渡すのも効果的です。
Step4:運用開始後のPDCA
導入後は、予約枠の埋まり具合や、待ち時間の変化をモニタリングします。
「10:00の枠がいつも空くなら、枠数を減らす」「処置に時間がかかるなら、枠を広げる」など、実態に合わせて設定を微調整していくことが、スムーズな運用のコツです。
よくある質問(Q&A)
クリニックの予約システム導入に関するよくある疑問にお答えします。
Q. 高齢者が使いこなせるか不安です
A. 無理にWeb予約を強要する必要はありません。
高齢の患者様には従来通りの「電話予約」や「窓口予約」を残し、スタッフがシステムに代理入力すれば良いのです。
若い世代がWeb予約に移行するだけでも、電話の総数は減り、スタッフは高齢の患者様の対応に時間を割けるようになります。
Q. 導入までどれくらいの期間が必要ですか?
A. 医療特化型でレセコン連携を行う場合、申込みから稼働まで1ヶ月〜3ヶ月程度かかります。
一方、freee予約のような汎用型(スタンドアローン)であれば、アカウント登録から設定まで数時間〜数日で完了し、即日から予約受付を開始できます。
Q. 既存のレセコンと連携できない場合は?
A. 古いレセコンや特殊なメーカーの場合、連携できないことがあります。
その場合は「連携なし(汎用型)」での運用を検討しましょう。
予約画面とカルテ画面を並べて見ながら運用することになりますが、コストを抑えられるメリットもあります。
まとめ│システムで「待ち時間」を減らし、選ばれるクリニックへ

クリニックの経営において、予約システムは「受付業務の自動化」だけでなく、「患者満足度の向上」と「スタッフの負担軽減」を実現するための強力な武器です。
「待ち時間が長い」「電話が繋がらない」といった不満を解消し、スマートに予約・通院できる環境を整えることは、地域で選ばれ続けるための必須条件となりつつあります。
まずは、freee予約(旧tol)のような無料で始められるシステムを使って、「自費メニュー」や「発熱外来」「予防接種」など、一部の枠からデジタル予約を取り入れてみてください。
その便利さを実感できれば、もう手書きの予約表や、鳴り止まない電話に悩まされる日々には戻れなくなるはずです。
空いた時間で、一人ひとりの患者様と向き合い、より良い医療を提供する。
そのための第一歩を踏み出しましょう。










