セミナー、講演会、ワークショップ、音楽ライブ、そして社内研修。
人が集まる「イベント」の主催者様は、企画やコンテンツ作りというクリエイティブな業務の裏で、泥臭く膨大な「管理業務」と戦っています。
「メールでの参加申し込み管理で、エクセルが破綻しそう」
「参加費の未入金対応や、前日のリマインド送信に追われている」
「当日の受付が大行列になり、イベント開始時間が遅れてしまった」
これらのトラブルは、参加者の満足度を下げるだけでなく、主催者の精神をすり減らします。
「もっとスマートに運営したい」「集客とコンテンツ作りに集中したい」。その願いを叶えるのが、イベント・セミナーに特化した「予約システム」です。
この記事では、プロの視点から、「事前決済」「QRコード受付」「Zoom連携」など、現代のイベント運営に必須の機能を徹底解説。
さらに、個人主催の小規模セミナーから、企業の大型カンファレンスまで対応できる、厳選された12のシステムを比較します。
この記事を読めば、あなたのイベントを成功に導く「最強の裏方」が必ず見つかります。
目次
イベント・セミナー運営に「予約システム」が不可欠な4つの理由

「Googleフォームで受け付けて、エクセルで管理すれば無料だし十分では?」
小規模なイベントであれば、そう考える方もいるかもしれません。
確かに、Googleフォームを使った予約受付は手軽ですが、定員管理や自動リマインドができないため、運営の手間は減りません。
しかし、予約システムを導入するメリットは「管理の楽さ」だけではありません。
それはイベントの「収益性」「ブランド価値」そして「当日の安全性」を守るために不可欠なインフラなのです。
1. 「事前決済(チケット化)」によるドタキャン・未回収リスクの排除
無料イベントならまだしも、有料セミナーやワークショップにおいて「当日現金払い」や「銀行振込」はリスクの塊です。
当日の無断キャンセル(ドタキャン)が発生すれば、用意した席や資料、懇親会の食事が無駄になり、参加費も回収できません。
また、銀行振込の消込作業は、通帳と申込者リストを目視で照合する大変な作業です。
予約システムで「クレジットカード事前決済」を必須にし、デジタルチケットを発行することで、この金銭的リスクと管理コストを完全にゼロにできます。
2. 当日の受付を「QRコード」で秒速化し、行列をなくす

イベント当日の受付は、運営の第一印象を決める重要なポイントです。
名簿リストを紙で出力し、名前を探してマーカーで消し込む……そんなアナログな受付は、1人あたり数十秒かかり、長蛇の列を作って参加者をイライラさせます。
多くのイベント予約システムには、参加者に発行されたQRコードをスマホで読み取るだけで受付が完了する機能があります。
これにより、受付スピードは数秒になり、少人数でのスムーズな運営が可能になります。
3. 参加者リストの自動生成と「リマインドメール」の自動化
「開催前日のリマインドメール」や「終了後のアンケート・お礼メール」は、参加率(歩留まり)と満足度を高めるために重要ですが、手動で送るのは大変な手間です。
送信漏れやBCC設定ミスによる個人情報漏洩のリスクもあります。
予約システムなら、これらを全て自動化できます。
また、申し込み情報はリアルタイムで顧客リストとして蓄積されるため、次回のイベント開催時に「過去の参加者」へ一斉に告知メールを送ることも容易になり、集客の資産となります。
4. オンライン(Zoom)開催時のURL配付ミスを防ぐ
コロナ禍以降定着したウェビナー(オンラインセミナー)。
しかし、「参加URLが届かない」「リンクが間違っている」という問い合わせは後を絶ちません。
Zoom連携機能を持つ予約システムなら、予約確定と同時に参加者ごとのユニークURLを自動発行し、メールで通知します。
主催者が手動でコピペして送る必要がないため、人為的ミスを根絶できます。
失敗しない!イベント用予約システムの選び方「5つの軸」

イベントの性質によって、選ぶべきシステムは180度変わります。
「なんとなく有名だから」で選ぶと失敗します。以下の5つの軸で、自社のイベントを分析してみてください。
1. 「集客プラットフォーム型」か「自社管理型」か
これが最大の分岐点です。
集客プラットフォーム型(Peatix、Connpassなど)
サイト自体に集客力があり、ユーザーがイベントを探しに来ます。
- メリット: 新規集客に強い。チケット機能が充実している。
- デメリット: 販売手数料が高め。顧客リストがプラットフォーム側のものになりがち(自社の資産になりにくい)。
自社管理型(freee予約、RESERVAなど)
自社のHPやSNSで集客し、予約機能だけを提供します。
- メリット: 手数料が安い(または無料)。顧客リストを自社で完全に保有できる。デザインの自由度が高い。
- デメリット: 自力で集客する必要がある(SNSや広告など)。
結論: 新規集客をシステムに頼りたいなら「プラットフォーム型」、自社のSNS等で集客できるなら「自社管理型」がコストパフォーマンスに優れます。
自社のHPやSNSで集客し、予約機能だけを提供します。
もしWordPressでイベント告知サイトを作っているなら、予約機能をプラグインや埋め込みで実装する方法もあります。
2. 「単発イベント」か「定期開催(スクール形式)」か
- 単発イベント: 年に数回のフェスや講演会なら、イベントごとにページを作成する「イベント特化型(Peatix等)」が良いでしょう。
- 定期開催: 毎週開催するヨガ教室や料理教室、定期セミナーの場合は、カレンダー形式でスケジュールを表示できる「予約台帳型(STORES予約、freee予約等)」の方が、リピーターにとって使いやすくなります。
3. 「オンライン開催(ウェビナー)」への対応
ZoomやGoogle Meetを使ったオンラインセミナーの場合、参加URLの管理が肝です。
前述の通り、システムとZoomがAPI連携し、URLを自動発行・自動通知してくれる機能があるかは、運営の手間を大きく左右します。
Zoomを使ったオンラインセミナーやレッスンを開催する場合、「Zoom連携」と「事前決済」がセットになっているシステムを選ぶのが鉄則です。
オンライン開催に特化したシステムの選び方については、こちらの記事も参考にしてください。
4. 決済手数料と初期費用(コストパフォーマンス)
チケット販売型の場合、システム利用料とは別に「決済手数料(売上の4〜6%程度)」がかかります。
大規模イベントなら手数料率が数%違うだけで利益に大きな差が出ます。
また、無料イベントのみなら「完全無料」で使えるか、有料イベントならチケット1枚につきいくらの手数料がかかるかをシビアに計算しましょう。
特に有料イベントの場合、システム利用料だけでなく「決済手数料」が収益を左右します。
個人事業主でも導入しやすいオンライン決済サービスの手数料比較については、以下の記事で詳しく解説しています。
- あわせて読みたい: 【個人事業主向け】おすすめのオンライン決済サービスを比較!選び方も紹介
5. 「QRコード受付」機能の有無
リアル開催で、参加者が50名を超えるような規模の場合、QRコードによる非接触・高速受付機能がないと現場が混乱します。
専用の読み取り端末が必要なのか、スタッフのスマホアプリで読み取れるのかも確認ポイントです。
【2025年最新】イベント・セミナーにおすすめの予約システム徹底比較12選
前述の選定軸に基づき、イベント・セミナーに最適な予約システムを厳選しました。
「個人・小規模向け」「プラットフォーム型」「法人・大規模向け」の3カテゴリで紹介します。
なお、イベントに特化せず、全業種対応のシステムを含めて幅広く検討したい方や、とにかくコスト重視で探したい方は、以下の比較記事も併せてご覧ください。
- 全システムの総合比較: 【2025年最新】予約管理システムの比較30選!業種別選び方のポイントも分かり易く解説。
- 無料プラン限定の比較: 【2025年最新】無料で使えるおすすめ予約システム20選を徹底比較|選び方や注意点も解説
【個人・小規模向け】手軽に始められる自社管理型4選
自社のSNSやブログで集客力があり、コストを抑えて予約管理を自動化したい主催者に最適です。
| サービス名 | freee予約(旧tol) | MOSH | STORES 予約 | Square 予約 |
| イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
| 月額費用 | 0円~ | 0円~ | 0円~ | 0円~ |
| 無料プラン | あり | あり | あり | あり |
| 特徴 | スマホ完結・個人特化 / 決済・顧客管理 | クリエイター特化 / 感想レポート機能 | Zoom連携 / 回数券・月謝対応 | 現地決済・POSレジ連携 / キャンセル料徴収 |
1. freee予約(旧tol)
freee予約は、スマホアプリひとつで予約ページ作成から顧客管理まで完結する、個人事業主やスモールチーム向けのシステムです。
最大の魅力は「手軽さ」と「無料範囲の広さ」。
事前決済機能も無料で使えるため、小規模なワークショップやセミナーの参加費徴収に最適です。
QR受付機能はありませんが、予約完了メールを見せる運用で十分対応できます。
Googleカレンダー連携もあるため、個人のスケジュール管理とも相性抜群です。
会計ソフトfreeeとの連携で、売上管理も自動化できます。
推奨: 個人主催のワークショップ、少人数のセミナー、サロン内イベント
2. MOSH(モッシュ)

MOSHは、個人のクリエイター(ヨガ講師、コーチ、アーティストなど)に特化したプラットフォームです。
予約機能だけでなく、オンラインサロンのような月額サブスクや、デジタルコンテンツ販売機能も備えています。
イベント終了後に参加者から「感想(レビュー)」を集める機能が強く、そのレビューをSNSでシェアしやすい設計になっているため、次の集客につなげやすいのが特徴です。
推奨: ファンビジネス、オンラインレッスン、個人の活動全般
引用:MOSH
3. STORES 予約(ストアーズ予約)

STORES 予約は、特に「定期開催」のセミナーや教室運営に強いシステムです。
Zoom連携機能が優秀で、予約確定時に自動でZoom URLを発行・送付してくれます。
回数券や月謝機能もあるため、「全5回コースのセミナー」や「通い放題の勉強会」などを企画する場合に威力を発揮します。
推奨: 定期セミナー、オンラインウェビナー、スクール形式
引用:STORES 予約
4. Square 予約(スクエア予約)

Square 予約は、決済サービス「Square」が提供するシステムです。
イベント当日に「物販」を行ったり、その場で次回の予約を取って「対面決済」を行ったりする場合に最強の強みを発揮します。
POSレジと予約システムが一体化しているため、事前のチケット決済と、当日のグッズ販売の売上を一つの画面で管理できます。
推奨: 物販があるイベント、当日決済も併用するイベント
引用:Square 予約
【プラットフォーム型】集客力とチケット機能に強い4選
イベントの告知ページとしての機能も兼ね備え、広く集客したい場合に適しています。
| サービス名 | Peatix | connpass | TIGET | teket |
| イメージ | ![]() | |||
| 月額費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 手数料 | 販売手数料のみ | 決済手数料のみ | 販売手数料のみ | 販売手数料のみ |
| 特徴 | 集客力No.1 / コミュニティ機能 / QR受付 | IT・勉強会特化 / エンジニア層に強い | ライブ・エンタメ特化 / 電子チケット充実 | 座席指定可能 / 音楽・演劇に特化 |
5. Peatix(ピーティックス)

Peatixは、日本最大級のイベント・コミュニティプラットフォームです。
最大の強みは、Peatixを使っている数百万人のユーザーに対してイベントを露出できる「集客力」です。
「おすすめイベント」としてメール配信されるだけで、予期せぬ集客が見込めます。
チケット販売、譲渡、QRコード受付、参加者へのメッセージ送信など、イベント運営に必要な機能が全て揃っています。
アプリ内でコミュニティ(グループ)を作れるため、リピーターの囲い込みにも適しています。
推奨: 新規集客を強化したいイベント、中規模以上のセミナー
引用:Peatix
6. connpass(コンパス)

connpassは、IT勉強会やエンジニア向けのイベントに特化したプラットフォームです。
Twitter(X)やFacebookと連携しやすく、参加者がSNSで拡散してくれる仕組みが整っています。
IT系、テック系のセミナーを開催するなら、ターゲット層が合致するため、ここ一択と言っても過言ではありません。
推奨: IT・Web・エンジニア向けの勉強会やセミナー
引用:connpass
7. TIGET(チゲット)

TIGETは、音楽ライブやお笑いライブ、アイドルイベントなどに特化した電子チケット販売サービスです。
不正転売防止の機能や、顔認証システムとの連携など、エンタメイベント特有の機能が充実しています。
物販機能もあり、チケットと同時にグッズを事前販売することも可能です。
推奨: ライブイベント、ファンミーティング、エンタメ興行
引用:TIGET
8. teket(テケト)

teketは、アマチュアオーケストラや吹奏楽団、演劇などのイベントに特化したシステムです。
最大の特徴は、会場の図面を取り込み、「座席指定チケット」を販売できる点です。
全席指定のコンサートや発表会を行う場合、座席管理の手間を劇的に削減できます。
QRコード入場や譲渡機能も完備しています。
推奨: 座席指定が必要なホールイベント、コンサート、演劇
引用:teket
【法人・大規模向け】本格的な管理システム4選
数百名〜数千名規模のカンファレンスや、セキュリティ重視の企業セミナー向けです。
| サービス名 | EventRegist | RESERVA | ChoiceRESERVE | イーベ! |
| イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
| 月額費用 | 無料〜 | 0円~ | 要問合せ | 5,000円〜 |
| 特徴 | 法人向け / 独自ドメイン / 領収書発行 | 多機能・多言語 / 350業種対応 | セキュリティ重視 / 複数拠点管理 | 入金管理特化 / FAX・銀行振込対応 |
9. EventRegist(イベントレジスト)

EventRegistは、大規模なカンファレンスや展示会でよく利用されるシステムです。
独自ドメインでのページ作成や、来場者パスの印刷、詳細なアンケート分析など、プロ仕様の機能が満載です。
法人利用を前提としており、セキュリティやサポート体制も強固です。
「プレミアム機能」を使えば、招待制イベントやパスワード付きイベントも開催可能です。
推奨: 企業のカンファレンス、展示会、招待制イベント
引用:EventRegist
10. RESERVA(レゼルバ)

RESERVAは、350以上の業種に対応する汎用予約システムですが、「イベントタイプ」という設定を選ぶことで、セミナー管理に最適化されます。
多言語対応や、キャンセル待ち機能、団体予約機能など、細かいニーズに応えるオプションが豊富です。
スマートロック連携も可能なため、無人会場でのセミナー開催などにも応用できます。
推奨: 定期セミナー、多言語対応が必要なイベント、無人運営
引用:RESERVA
11. ChoiceRESERVE(チョイスリザーブ)

ChoiceRESERVEは、大企業や官公庁での導入実績が多い、セキュリティと信頼性に特化したシステムです。
複数の教室や会場を一元管理する機能に優れており、全国展開しているスクールや、複数の会議室を持つ企業のイベント管理に適しています。
専任のサポートチームが付くため、導入時の安心感が高いのも特徴です。
推奨: 大企業、官公庁、セキュリティ要件が厳しいイベント
12. イーベ!

イーベ!は、イベント運営事務局の負担軽減に特化したシステムです。
クレジットカード決済だけでなく、「銀行振込」や「FAX申し込み」といった、アナログな手段との連携機能が充実しています。
入金消込の自動化機能が強力で、法人向けの有料セミナーなど、請求書払いや銀行振込が多いイベントで重宝されます。
推奨: 銀行振込が多いセミナー、事務局の負担を減らしたい場合
引用:イーベ!
当日トラブルを防ぐ!イベント開催「3つの鉄則」
システムを導入しても、当日の運用設計が甘いとトラブルは起きます。
最後に、予約システムを活用してトラブルを未然に防ぐ3つの鉄則を紹介します。
1. 「QRコード」と「名簿」の二段構えにする
QRコード受付は便利ですが、「スマホの充電が切れた」「QRコードが見つからない」という参加者は必ずいます。
システムから事前に「参加者名簿(あいうえお順)」を印刷しておき、トラブル時はアナログでチェックインできる体制を整えておきましょう。
これが現場の混乱を防ぐ命綱になります。
2. リマインドメールに「会場地図」と「緊急連絡先」を入れる
システムから自動送信される「前日リマインドメール」には、単に「明日お待ちしています」と書くだけでは不十分です。
- 会場へのGoogleマップリンク
- 受付開始時間
- 遅刻時の連絡先(電話番号)
- QRコードの表示方法
これらを必ず記載しましょう。当日の「場所がわからない」という問い合わせ電話を激減させることができます。
3. キャンセルポリシーを明確にし、同意を得る
有料イベントで最も揉めるのが「キャンセル料」です。
予約システムの申し込み画面に「キャンセルポリシー(例:3日前から50%、当日は100%)」を明記し、「同意する」チェックボックスを設置しましょう。
システム上で同意を得ておくことで、万が一のトラブルの際も、規定に基づいた対応が堂々とできるようになります。
「キャンセルポリシーをどう書けばいいか分からない」「トラブルにならない文言を知りたい」という方は、以下の記事でコピペで使えるテンプレートを紹介していますので、ぜひ活用してください。
- あわせて読みたい: キャンセルポリシー例文集|無断キャンセル防止と書き方の注意点
まとめ│システムで「事務作業」を減らし、「感動」を作ることに集中しよう

イベントやセミナーの成功の本質は、主催者が作り出す「素晴らしいコンテンツ」と、参加者同士の「熱気のある場」にあります。
しかし、主催者が予約管理や入金確認、当日の受付対応に追われて疲弊してしまっては、肝心のコンテンツがおろそかになり、参加者の満足度は上がりません。
予約システムは、あなたの代わりに面倒な事務作業を完璧にこなし、お金のやり取りを安全に行い、当日の受付をスムーズにしてくれる「裏方のプロ」です。
まずは、freee予約(旧tol)のような無料で始められるシステムを使って、「申し込み受付の自動化」を体験してみてください。
事務作業から解放されたあなたが、参加者を喜ばせるための企画やコンテンツ作りに100%の情熱を注げるようになること。それが、イベントを大成功させるための第一歩です。











